内容説明
本書は、取得原価主義会計の今日的存在意義や限界を、断片的にではなく、総合的・重層的に調査・研究することを目的として、同じような問題意識をもつ会計学と法律学を研究する研究者が共同で行った研究の成果の一端である。もとより、本書の研究は、取得原価主義会計を再検討するという意味では、第一歩でしかない。同じ問題意識をもった研究会のメンバーではあっても、それぞれが違った立場から問題意識をもっており、したがって、それぞれが答えとする方向も違っている。本書は、そうした各研究者の姿勢を尊重することにして、いわば問題を提起するための、議論のたたき台としてのペーパーとして、世に出すことにしたものである。
目次
日本的会計制度の特質と取得原価主義会計
取得原価主義会計のフレームワーク
利益情報の役割と資産評価
国際会計基準委員会の会計測定論に関する一視点
取得原価主義会計を支えた環境要因
証券取引法、銀行法の改正と時価主義会計の導入
商法における債権者保護思考と取得原価主義会計
収益費用アプローチから資産負債アプローチへの転換
明治期商法における財産評価規定
昭和期商法における取得原価主義規定〔ほか〕