内容説明
第二次世界大戦中、ドイツ軍は膨大な数の車両や兵器を独自開発して戦場に投入したが、これらとは別に特異な車両が存在していた。ポーランド、ベルギー、オランダ、フランスといった占領国の車両を一部改修してそのまま転用し、制式名称をつけて部隊配備した「捕獲車両」である。ドイツ軍車両研究の第一人者である著者が、数少ない資料を基にまとめあげた傑出の一冊、堂々日本語版完成!貴重な写真・図版を500点余掲載。
目次
ポーランド共和国
オランダ王国
ベルギー王国
フランス共和国
大英帝国
ソビエト連邦
イタリア王国
北アメリカの連合諸国
著者等紹介
高橋慶史[タカハシヨシフミ]
1956年、岩手県盛岡市生まれ。慶応義塾大学電気工学部卒業後、ベルリン工科大学エネルギー工学科へ留学。帰国後の1981年から電力会社勤務。オール電化住宅の普及と営業に勤しむ傍ら、第二次大戦を中心としたドイツ・ミリタリー史を研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Panzer Leader
18
WW2ドイツの捕獲した戦車のみならず乗用車・トラック等含めた全ての車両をどの様に運用・改造していったかを国家別・体系的に概説した労作。特に戦争初期に降伏したフランスに関する記述は本書の半分を占める。その中でも後のバウ・コマンド(特別生産本部)の責任者となったベッカー少佐の記述が興味深い。一介の砲兵中隊長に過ぎなかった自分の部隊を捕獲車両を使って馬匹牽引から機械化部隊に変貌させて戦闘を継続した。またイギリス製車両を改造し砲兵自走砲を始めて開発。後にフランス製車両の改造車両はほぼ全て彼の部隊が生産した。 2016/09/11
しいかあ
2
原書の題名は「捕獲した自動車と装甲戦闘車両」みたいな意味なので、戦車の話を期待していると大量のトラックと牽引車両に辟易とさせられる。たまに戦車も出てくるけど、記述を読む限りほとんど役に立った形跡はない。流石にイギリスが落としていった戦車はそれなりに使い物になったっぽいけど。ロシアでT34でも拾えればよかったんだろうけれど、泥濘のロシアからそんなものを引っ張ってくるような余裕はなかったらしい。現地調達で自走砲を作ってしまったり、フランスの車両を魔改造しまくったベッカーさんの話が面白い。2016/09/20
畝傍
1
米ソという二大工業国家を敵に回し戦ったドイツの積極的に運用した(せざるを得なかった)鹵獲戦車の運用状況、性能評価を詳細に示した本。大変興味深い内容だった。 凄まじいお値段故軽々に薦められないが…。2016/01/30