内容説明
赫々たる大戦果!でもそれって本当?昭和18年から20年まで中国大陸で鎬を削った日本軍戦闘機隊、そして米中の戦闘機隊が報じている空戦ひとつひとつの戦果を、それぞれ対戦相手の損害記録を調査して確認。空中戦の実相が初めて明らかになった。
目次
飛行第25戦隊―中国大陸の精鋭「さかがわぶたい」(「ウォーホーク」と「隼」、中国大陸の空戦;B‐24不落伝説の終焉;戦闘機乗り共、見つけたら叩き殺してやる!;「第19号作戦」ハイフォン上空の悲劇 ほか)
飛行第48戦隊―実戦で鍛えられ成長していった新編成部隊(「一号作戦」のために繰り上げられた実戦投入;「九江のエース」に気をつけろ!;新戦隊長「行きがけの駄賃」撃墜;衝陽上空、P‐51との決戦死闘 ほか)
著者等紹介
梅本弘[ウメモトヒロシ]
1958年茨城県生まれ、武蔵野美術大学卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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nnpusnsn1945
42
中国戦線における陸軍隼戦闘隊の記録だが、意外に敢闘している。序文に著者は宮崎駿氏と戦闘で何機撃墜したかよく話す事が執筆の切っ掛けになったようだ。日本軍と連合軍側の記録と照らして25戦隊と48戦隊がどう戦ったか伺える。大陸打通作戦は航空基地を巡る攻防ゆえ激戦になった。陸軍飛行戦隊の戦果は挙がったものの、打通作戦そのものが机上の空論で終わったため、虚しい限りである。余談だが宮崎監督は反戦派ではあるものの相当なマニアであると本書の序文でより確信した。2021/06/19
roatsu
10
終始支那方面で戦った飛行第25戦隊と48戦隊という陸軍戦闘機隊を中心に、米・支の記録も閲覧してその戦闘の実態を詳らかにした労作。何機撃墜したかという趣味的視点から入っているが知られざる陸軍航空隊の敢闘と現代日本人が知っていると言い難い支那戦線の様相も伝える良い資料になっている。著者の他の作品でもそうだが、虚勢や身びいきを一切排した空戦の記述は厳しい史実をしっかり現代の読者に伝えてくれて価値が高いと思う。米機の頑強さ、翼下の土地は敵性支那人がひしめき不時着すら戦死に繋がる過酷な戦地だった点が印象深い。2015/08/07
maddroid02
1
やってみたくてもなかなかできない、敵味方両軍の記録を照らし合わせて本当を損失をつまびらかにしようという本作。陸軍機にはとんとうとく一式戦についてもほとんど知らなかった自分が興味深く読めた。意外と撃墜していないし撃墜されてもいないのがわかる。一回の戦闘で一〇〇人単位の兵士が死んでいく海軍とも様相がかなり違う。地上部隊が航空支援と呼応して戦闘を行っているし、陸軍意外とちゃんとしているじゃんという印象。機械化部隊はどこもそれなりにしっかりしていると言うことかもしれない。2015/10/14