イラスト心臓病診断

沢山俊民

中外医学社（1996/02発売）

• サイズ B5判／ページ数 219p／高さ 26cm
• 商品コード 9784498036727
• NDC分類 492.12
• Cコード C3047

出版社内容情報

《内容》　本書は各種心臓病の身体所見，検査所見の特徴をひと目でわかる1枚のイラストにまとめ，そのコメントと実際の典型写真を附したものである.イラストには，成人男子と女子，小児の3つパターンがあり，心臓を中心とした上半身と各種正常波形などから成るいわば“白地図”である.これにそれぞれ2色刷で異常所見が記入されている.各項目がこのイラストと簡潔なコメントおよび心電図，X線，エコーなどの実際の写真から構成されており，正常と対比しながら各種所見の特徴のポイントを要領よく学ぶことが出来る.ユニークな学習書，アトラスとして心臓病診療に携わる方々や医学生，研修医に役立とう.序　東京都内と大阪市内には米国製の「ハーベイジュニア」という等身大の心臓病患者上半身シミュレータが1台ずつ設置されている.この装置はカセットテープを交換することによって25種類の心臓病患者を演じてくれる.この模擬患者を診ることによって心臓血管系の診察(頚静脈拍動の視診に始まり，血圧の測定，動脈拍動の触診，前胸部拍動の視診・触診さらに聴診)が習練可能である.各病態・疾患に対応したイラスト波型(頚静脈波，頚動脈波，心尖拍動図，心音図)が付属の小冊子に纏められている.　今回の「イラスト心臓病診断」のアイデアはこのシステムからヒントを得たものである.つまり本書は従来の書物や教科書とは異り，心臓血管系の所見がとられるべき箇所に正常波形(男女とも30歳台のもの)があらかじめ印刷されていて，その上に朱色で異常波形や数値が記入してある.さらにハーベイ人形の場合とは異って，心電図も胸部X線所見もイラストできるよう工夫した.　要するに本書は，心臓病患者の診断に最少限必要な身体所見，心電図，胸部X線所見がすべてひとつの上半身イラスト図の上にて表現できるようにしてある.all-in-one illustrationとでも呼ぼう.　本書の対象は，一応内科の循環器疾患に関する講義を受けたあと医学部学生諸君，研修医ならびに一般実地医家の方々である.イラストの所見が理解できれば，次のステップとして，読者自身が未記入白紙をコピーし，目前の患者の身体所見をイラストし，それに心電図所見とX線像を合わせ記入すれば，自己の習練に役立つものと確信する.　この小冊子の内容と特徴をあげると，心臓疾患の数は48種類にのぼる.総論編と各論編に大別した.男女・年代によって疾患の種類が異るため，実例にもとづいて性別と年齢を記載した.上半身が描かれたイラスト頁には，身体所見(視診，触診，聴診所見つまり，頚静脈拍動，頚動脈拍動，血圧値，胸壁拍動，心音図など)，心電図，胸部X線像を図式化し，主所見を表示した.イラストのみでは理解が不充分とみて，症例毎に適宜実物(図，写真)を加えた.それらの種類と数は症例によって異る.全例について病歴，身体所見ならびに検査所見(特殊検査，主として心エコー図を含む)を箇条書きにし，イラスト所見と関連させた.疾患によっては顔面，下半身，手指などのイラストも加えた.下欄には，その他の所見を適宜記入した.自己習練self-assessmentの意味で，未記入のイラスト用紙(成人男性用，成人女性用ならびに小児用)を添付しておいた.末尾にQ&Aコーナー(応用編)を設けた.1996年1月沢山俊民　　　　《目次》　目次心臓病診断のプロセスについて 1凡例1.前胸部の異常拍動一部位と範囲 7凡例2.過剰心音一部位と時相 8凡例3.心雑音・血管雑音一部位と性状 9A-1.健常例　 1.健常高年男性 10 2.健常若年女性 18 3.健常小児 22A-2.異常例　 1.左室肥大(左室圧負荷) 26 2.左室拡張(左室容量負荷) 30 3.左室機能亢進状態 34 4.左室機能低下状態 38 5.高血圧 42 6.肺(肺動脈)高血圧 46 7.うっ血性心不全(左心系，慢性) 50 8.うっ血性心不全(右心系，慢性) 54B-1.弁膜症　 1.僧帽弁閉鎖不全(僧帽弁逆流)(慢性，重症) 58 2.僧帽弁逸脱(クリック・雑音症候群) 62 3.僧帽弁腱索断裂 66 4.僧帽弁狭窄，洞調律 70 5.僧帽弁狭窄，心房細動 74 6.大動脈弁閉鎖不全(慢性，重症) 78 7.僧帽弁狭窄兼大動脈弁閉鎖不全 82 8.大動脈弁狭窄 86B-2.先天性奇形　 1.心房中隔欠損 90 2.心室中隔欠損 94 3.動脈管開存 98 4.肺動脈弁狭窄 102 5.ファロー四徴症 106 6.エプスタイン奇形 110 7.心内膜床欠損(不完全型) 114 8.大動脈縮窄(成人型，管後型) 118 9.アイゼンメンジャー症候群 122B-3.心筋症　 1.肥大型閉塞性心筋症 126 2.肥大型非閉塞性心筋症(特に心尖部肥大型) 130 3.拡張型心筋症 134 4.拘束型心筋症 138B-4.動脈疾患　 1.大動脈炎症候群(汎動脈炎症候群，高安動脈炎) 142 2.高血圧性心疾患 146 3.解離性大動脈瘤(大動脈解離，Stanford分類のA型) 150B-5.心膜疾患　 1.急性心膜炎 154 2.慢性収縮性心膜炎 158 3.非炎症性心膜液貯留 162B-6.冠動脈疾患　 1.急性心筋梗塞(前壁) 166 2.急性心筋梗塞(下後壁・右室) 170 3.陳旧性心筋梗塞(前壁，心室瘤合併) 174 4.労作狭心症 178 5.異型狭心症，冠動脈攣縮性狭心症 182 付則　心筋梗塞に関する一般事項 186B-7.甲状腺疾患　 1.甲状腺機能亢進，甲状腺中毒心 188 2.甲状腺機能低下，粘液水腫 192B-8.肺性心　 1.急性肺動脈血栓塞栓症(肺塞栓) 196 2.原発性肺高血圧 200B-9.その他　 1.人工ペーシング(VVIペーシング，右室ペーシング)，洞機能不全症候群 204Q&A 208略語 214未記入原図 217