出版社内容情報
《内容》 ◆本書は膨大な量の情報の中から,特に注目すべきトピックを選び,その分野の第一人者が内外の文献をふまえて最新の進歩を展望している.◆文献抄録ではなく,その内容,評価が理解できる.◆どのような重要な業績,文献があったかを確実にフォローできる.◆主要文献を網羅しているので,reference sourceとしても極めて便利である.序 20世紀から21世紀に移り,前世紀からの科学技術の進歩はさらに進展すると考えられている.特に分子生物学の進展は遺伝子配列の解析まで可能にしてきた.また一方,世界的にも高齢化現象が現れてきているが,我が国は欧米にも類を見ない程急速に高齢化が進んで,21世紀前半には人類がかつて経験したことのない異常な高齢化社会に移行してくると言われている.当然,高齢化社会は医学医療のレベルにも影響し,循環器領域においても疾病構造の変化として現れてきて,動脈硬化性疾患が年々増加してきて,しかも多くの他疾患を合併してきた. このような状況の中で21世紀の循環器病学はどの方向に進もうとしているのだろうか.いまや,遺伝子診断・治療が注目を浴びてきて,科学研究費の申請にも遺伝子領域を含まないと審査に合格しない雰囲気でもあり,学位審査も80%は遺伝子関係でもある.ゲノム全盛時代といっても過言ではない雰囲気である. 30数年前宇宙船アポロが月に着陸した時全世界の人々はその偉業に興奮し,多くの人に人類がそのうち宇宙を征服できるのではないかとの幻想も抱かせた.しかし,人類が到達できたのはたかだか光が30秒前後で往復できる程度の距離なのである.最近ハワイにできたスバル望遠鏡ではなんと140億光年の光を捕らえると言う.しかも,宇宙はそれ以上に拡大している.我々の到達したのはこの宇宙の広がりと歴史のなかでもピンポイントでしかない.同様に遺伝子の配列が全て解読できるということは素晴らしい成果であるが,それでもっても小宇宙とよばれる人体の秘密のほんの一部がわかったに過ぎない.むしろ,解明されていないことの巨大さに我々は謙虚にならなければならないであろう. 動脈硬化,老化のメカニズム,その治療も徐々に解明はされつつあるが,あくまでそれは一部が解明されたに過ぎず,後世の研究により補填され,上塗りされ,あるいは完全に置き換えられて科学が進歩していくものであろう.その意味では科学研究は永遠のロマンであるが,それが過信となり,あるいは盲信となり,真実から離れ,バブルとなってしまわないように研究者も臨床医も日常的な注意が必要であろう.それには医学・医療の原点に常に戻る習慣を身につけていなければならないであろう.それは知識だけでなく,研究成果を患者のための医学・医療にするための知恵を一人一人の研究者,臨床医が付けることであろう. しかし,急速に拡大してきている知識や情報はもはや一人の研究者や一人の臨床医に負えなくなってきている.バブルに陥らないように,Annual Review は分子生物学だけでなしに,循環器領域全般にわたって,最新の情報を簡潔にまとめ,現代における新しい医学の方向性を指し示すべく,本邦における一流の研究者・臨床医に執筆をお願いしている.複雑に絡み合った病状から,真の病態を見きわめ,それに即した治療をすることがなかなか難しくなってきている状況において,このAnnual Reviewが知識を整理し,医学の原点に思いを致すことの便となることができれば,編者の望外の喜びである. 2000年12月 編集者一同 《目次》 目 次I.循環器の生物学 1.心血管異常と遺伝子 <森田啓行 永井良三> 1 2.22q11.2欠失症候群(先天性円錐動脈幹部心奇形)の原因遺伝子 <山岸敬幸 山岸千尋> 13 3.心血管細胞を骨髄細胞より作る <福田恵一 真鍋知宏> 20 4.心筋細胞cAMP--最近の話題 <遠藤政夫> 24 5.アドレノメデュリン--最近の話題 <江藤胤尚> 33 6.心筋の電気的リモデリング <山下武志 飯沼宏之> 39 7.血管リモデリング <長谷川仁志 三浦 傅> 45 8.血管新生 <新谷 理 室原豊明 池田久雄 今泉 勉> 54II.疾患の病因と病態 1.Williams症候群 <松岡瑠美子> 59 2.Fontan循環 <近藤千里> 66 3.先天性心疾患の肺高血圧の病理 <八巻重雄> 71 4.multiple risk factor syndrome <山田信博> 77 5.不安定プラークの臨床 <児玉和久 平山篤志> 83 6.no-reflow現象 <浅沼博司 北風政史 堀 正二> 88 7.心房細動の臨床 <山下武志> 95 8.心不全と運動耐容能 <野原隆司> 101 9.サーカディアンリズムと循環器疾患 <山本啓二 島田和幸> 106 10.高齢者の心疾患(虚血性を除く) <矢部敏和 土居義典> 112III.診断の進歩 1.先天性心疾患の遺伝子診断の実際 <城尾邦隆> 118 2.血管内超音波検査(IVUS) <田村 勤> 126 3.心筋代謝画像による病態診断 <今井嘉門> 135 4.ドプラ心エコー図--最近の話題 <石蔵文信 別府慎太郎> 143 5.冠循環の臨床(flow and pressure wireの応用) <高沢謙二> 151 6.運動負荷試験--最近の話題 <吉田典子 池田久雄 今泉 勉> 155IV.治療の進歩(内科,小児科) 1.太い動脈管開存のカテーテル塞栓術 <木村晃二> 161 2.プライマリステント <光藤和明> 164 3.虚血性心疾患予防の動向 <岡村智教 上島弘嗣> 170 4.閉塞性動脈硬化症の遺伝子治療 <宮田哲郎> 176 5.肥大型心筋症の治療と予後 <岩見元照 古賀義則> 182 6.難治性心室不整脈の治療と予防 <村川裕二> 190 7.重症心不全治療の進歩 <加賀谷 豊 白土邦男> 195 8.合併症を有する高血圧の治療--最近の話題 <松岡博昭> 200 9.循環器疾患におけるevidence based medicine --1999~2000年の大規模臨床試験サマリー-- <桑島 巖 藤田直也> 207 10.循環器疾患診療におけるcost-benefit --臨床経済学の基本的概念について-- <大久保一郎 嶋本 喬> 213V.心臓血管外科と遠隔成績 1.左心低形成症候群に対するNorwood手術 <角 秀秋> 219 2.修正大血管転位症のダブルスイッチ手術 <寺田正次 今井康晴> 230 3.小児における弁置換術 <関口昭彦> 234 4.ロボット心臓手術の現況と将来 <四津良平 川田志明> 239 5.大動脈弁形成術の現況 <北村信夫> 243 6.全腱索温存--僧帽弁置換術 <大北 裕> 247 7.大動脈解離に対するステントグラフト内挿術 <下野高嗣> 254 8.頸動脈狭窄症に対するステント療法の適応と限界 <坂井信幸 永田 泉> 261 9.大動脈弁輪拡張症に対する大動脈弁温存術式の長期成績 <湊谷謙司 北村惣一郎> 267 10.先天性心疾患手術後の遠隔期の不整脈 <長嶋正實> 273 11.先天性心疾患術後の遠隔期運動負荷試験 <大内秀雄> 279 12.閉塞性動脈硬化症に対する大腿膝窩動脈バイパスの遠隔成績 <多田祐輔> 284索 引 291
目次
1 循環器の生物学
2 疾患の病因と病態
3 診断の進歩
4 治療の進歩(内科、小児科)
5 心臓血管外科と遠隔成績
著者等紹介
菅野和夫[スガノカズオ]
東京大学教授
落合誠一[オチアイセイイチ]
東京大学教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。



