呼吸器疾患の診かた考えかた

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呼吸器疾患の診かた考えかた

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  • サイズ B5判/ページ数 258p/高さ 26cm
  • 商品コード 9784498031180
  • Cコード C3047

出版社内容情報

《内容》 呼吸器疾患を臨床の場でいかにとらえ,診断したらよいかの基本から実際までをわかり易く説いたテキスト.問診・病歴の取り方,身体所見の取り方と意味づけから症候・各種検査所見の読み方を簡潔且つ具体的に解説した.次いで重要な呼吸器疾患診断のポイントを,図・表・チャートなどを使って示してある.医学生・研修医の方々が最新の呼吸器診断学を能率よく学ぶことの出来る本. 序  呼吸器疾患は日常診療では頻度が高く,国際疾病傷害死因分類をみてもその種類が他臓器より格段に多いことは自明です.また,近年気管支喘息や肺癌などは著しく増加し,社会的にも関心を集めています.  呼吸器疾患の診断,病態の把握,治療においては,膨大な情報,知識が必要とされます.これらの情報は,常に新しいものが加わり,しかも分子生物学的研究から在宅医療の実際まで広範囲にわたっています.臨床医学といえども,今日はevidence-based medicineと言われるように,明確に科学的に裏付けられた成果に基づいて,診療を実施することが求められています.医師は,常に最新の医療情報を求め,多くの医学論文を読み,理解し,新しい臨床医学を自ら構築する必要があります.一方,臨床の現場では,医学の先人たちが築いてきたように,患者から詳しく話を聞き,それを科学的に分析し,科学的な観察眼をもって診察する,という医学の基本姿勢はいささかも軽んじてはいけません.近年,呼吸器のみならず各分野において新しい検査法が次々と導入され,患者を診ずして,検査を繰り返す,という愚を聞くことも少なくありません.不必要な検査はいたずらに患者を苦しめることになり,しかも医療費の無駄使いということになり,社会的にも許されるものではありません.  本書では,研修医や内科を志す若い医師が呼吸器疾患患者を診療する際,どのように考えて診断を進めて行くかをわかりやすく学ぶことができるように企画しました.例えば,患者の主訴や症状からどのような鑑別診断を念頭において病歴をとるか,より正確な身体所見の取り方,胸部X線写真や呼吸機能から始まる検査法をどのように適用するかなどを第一線の専門医が具体的に解説しています.また,各論では,比較的多い呼吸器疾患を取り上げ診断のポイントについて詳しく解説しました.本書に記載されている事柄は呼吸器疾患の臨床を学ぼうとする医師にとって必要な基本的な中核部分を解説したものと自負しております.  本書が21世紀の医療を担う若い医師たちに活用されれば編集者の望外の喜びであります. 1999年2月 鈴木俊介   木田厚瑞    《目次》 目次 1章 呼吸器疾患の診療の考え方 〈木田厚瑞,神野 悟〉 1  A.医療倫理に関する問題  1  B.呼吸器疾患の表現形態  2  C.呼吸に関係する諸臓器  2  D.呼吸器疾患に対するアプローチの仕方  2  E.臓器としての肺の役割  2  F.肺の構造の特異性  3  G.肺の臓器特性  3  H.呼吸器疾患の診療  4     2章 病歴の取り方-ポイントと注意点 〈川上雅彦〉 5  A.病歴の聴取と記載  5  B.各症候の問診  5  C.服薬状況・薬剤過敏症の問診  11  D.職歴・生活習慣・居住歴の問診  11  E.家族歴の問診  12     3章 身体所見の取り方と意味づけ 13 1.一般身体所見 〈塚本玲三〉 13  A.意識状態  13  B.体格  14  C.バイタルサイン  16  D.体位と呼吸様式  19  E.その他の身体所見  21 2.呼吸音,聴診 〈村田 朗〉 23  A.肺音の発生と伝播  23  B.呼吸音の分類  23  C.呼吸音とその異常  24  D.副雑音の発生と分類  24  E.聴診方法  25  F.聴診器  26     4章 診断の進め方 27 I.症候からのアプローチ 1.息切れ 〈鈴木俊介〉 28  A.息切れとは  28  B.原因  29  C.重症度分類  29  D.問診のポイント  29  E.身体所見  30  F.検査項目  31  G.チェックポイント  31 2.喘鳴 〈工藤 誠,秋山一男〉 32  A.喘鳴とは  32  B.聴診上の特徴  32  C.疑われる疾患  32  D.聴診上の注意点  33 3.咳 〈宮下 明〉 34  A.咳はどのようにして起こるか  34  B.問診のポイント  35  C.急性の咳  35  D.慢性の咳  35  E.検査,診断  35  F.よくみられる原因について  35 4.喀痰,血痰 〈三上正志〉 38  A.喀痰・血痰の病態生理  38  B.鑑別診断  38  C.鑑別に必要な検査  40 5.胸痛 〈飛田 渉〉 41  A.胸痛とは  41  B.問診のポイント  41  C.原因疾患  41  D.鑑別診断  41  E.チェックポイント  42 6.発熱 〈宍戸春美,杉田知妹〉 43  A.病態生理  43  B.鑑別診断  43  C.発熱の鑑別に必要な検査  44 II.検査所見からのアプローチ 検査のための肺・気管支解剖図 〈鈴木俊介〉 45 1.胸部X線,CT  〈赤宗明久,吉野内猛夫,池添潤平〉 48  A.腫瘤影  48  B.肺胞性陰影  51  C.間質性陰影  53  D.胸膜病変  56  E.胸部CT  58 2.呼吸機能検査  60 a.検査の進め方と意味づけ 〈鈴木俊介〉 60  A.スパイロメトリー  60  B.肺気量  63  C.閉塞性換気障害  63  D.拘束性換気障害  63  E.肺拡散能力  64  F.抵抗,肺圧量曲線(コンプライアンス)  65  G.クロージングボリューム  66  H.呼吸筋力  67 b.血液ガス分析 〈鈴木基好〉 68  A.採血の注意  68  B.PaO2とその異常  68  C.PaCO2とその異常  70  D.酸塩基平衡とその異常  70  E.血液ガスの読み方のこつ  72 c.運動負荷試験 〈藤本繁夫〉 73  A.運動負荷試験とは  73  B.目的と対象  73  C.試験方法とモニタリング項目  74  D.検査データからのアプローチ  75 3.肺循環検査 〈国枝武義〉 79  A.右心カテーテル法  79  B.右心カテーテル法で何がわかるか  80  C.肺循環の評価上の注意事項  81  D.肺循環検査が必要な呼吸器疾患  81  E.その他の肺循環検査法  82 4.喀痰検査 〈三上正志〉 83  A.細菌学的検査  83  B.細胞診  86  C.喀痰の病理  88 5.気管支鏡検査  90 a.生検組織診,細胞診 〈西川正憲〉 90  A.気管支鏡の種類  90  B.適応  90  C.手技の実際  91  D.検査所見の記録  91  E.偶発症と対策  92  F.気管支鏡検査の心構え  92 b.気管支肺胞洗浄法(BAL) 〈志村早苗〉 93  A.方法  93  B.適応および禁忌  94  C.確定診断が得られるBAL所見  94  D.診断に役立つBAL所見  94 6.超音波検査  〈檀原 高,植木 純,福地義之助〉 97  A.超音波断層法の特徴  97  B.超音波断層法の注意点  97  C.呼吸器領域の超音波断層法の応用  99  D.超音波ガイド下穿刺  99 7.RI検査 〈本田憲業〉 101  A.核医学検査の特質  101  B.呼吸器核医学検査の種類  101  C.換気・血流シンチグラフィ  102  D.肺腫瘍シンチグラフィ  104  E.その他  104 8.胸腔鏡検査 〈蘇原泰則,村山史雄〉 106  A.胸腔鏡検査  106  B.検査対象  106  C.検査方法  107  D.代表的な病変の胸腔鏡所見  108  E.胸腔鏡検査の成績とその意義  108 9.血液検査  111 a.一般生化学検査 〈西村和幸,玉置 淳〉 111 b.バイオマーカー 〈石崎武志〉 114  A.肺腫瘍マーカー  114  B.サルコイドーシスのバイオマーカー,ACE  116  C.肺血管炎のバイオマーカー,ANCA  116  D.間質性肺炎・肺線維症の参考バイオマーカー  116 10.気管支喘息のための検査 〈田村 弦〉 117  A.皮内テスト  117  B.ピークフロー測定  118  C.気道過敏性試験  119 11.レーザー治療 〈小中千守〉 121  A.高出力レーザーを用いる病巣焼灼法  121  B.光線力学的治療(PDT)  121 5章 主な呼吸器疾患診断のポイント 125 1.急性上気道炎(かぜ症候群を含む)  〈永武 毅〉 126  A.概念  126  B.病原体と主たる感染臓器  126  C.疾患分類と臨床上の特徴  127  D.急性上気道炎と下気道感染症  129 2.肺炎  130 a.細菌性肺炎 〈宍戸春美,御手洗 聡〉 130  A.肺炎の定義あるいは概念  130  B.細菌性肺炎へのアプローチ  130 b.ウイルス性肺炎 〈宍戸春美,杉田知妹〉 134  A.ウイルス学的分類  134  B.臨床的分類  135  C.ウイルス性肺炎  135  D.各論  136 c.肺真菌症 〈宍戸春美,杉原栄一郎〉 139  A.肺アスペルギルス症  139  B.肺カンジダ症  141  C.肺クリプトコッカス症  141  D.その他の真菌症  141 3.気管支喘息 〈工藤 誠,秋山一男〉 142  A.定義  142  B.病態  142  C.臨床像  142  D.診断手順  143  E.鑑別すべき疾患  144 4.慢性閉塞性肺疾患 〈木田厚瑞〉 145  A.概念  145  B.危険因子  146  C.臨床像  147  D.問診および病状の鑑別  147  E.理学所見と肺機能の異常  148 5.びまん性汎細気管支炎 〈山田浩一〉 150  A.病理  150  B.臨床症状  151  C.検査所見  151  D.関連疾患,周辺疾患  151  E.X線写真および画像所見  153  F.治療  153 6.特発性間質性肺炎 〈小西一樹〉 154  A.概念  154  B.臨床症状  154  C.病理所見  155  D.間質性肺炎と膠原病  158 7.過敏性肺炎 〈小西一樹〉 161  A.疫学  161  B.臨床症状  161  C.臨床検査所見  161  D.病理組織所見  163  E.診断と鑑別診断  164  F.治療と予後  164 8.原発性肺癌 〈大貫恭正〉 165  A.喀痰検査,胸部CT,気管支鏡検査  165  B.中枢部肺癌では  166  C.末梢肺癌では  166  D.画像診断  167  E.腫瘍マーカー  167  F.肺癌の分類  168  G.TNM分類とステージ  168  H.同時腫瘍,異時腫瘍と     肺葉内多発性腫瘍巣  170  I.その他の予後を決定する因子  170  J.肺機能的診断  171 9.転移性肺腫瘍  〈大貫恭正〉 172 10.縦隔腫瘍 〈大貫恭正〉 173  A.胸腺腫と関連したもの  173  B.リンパ腫  175  C.胚細胞由来腫瘍  175  D.神経由来腫瘍  175  E.先天性嚢腫  176  F.その他の縦隔腫瘍  177 11.気管支拡張症 〈永井厚志〉 178  A.概念  178  B.病理,病態生理  178  C.臨床像  178  D.問診および身体所見  179  E.検査所見  179  F.鑑別診断の手順  180 12.肺結核症 〈川城丈夫〉 182  A.どんな時に肺結核を疑うか(問診)  182  B.身体所見  183  C.検査のすすめ方  184 13.肺血栓塞栓症 〈国枝武義〉 188  A.概念  188  B.診断基準  188  C.急性肺血栓塞栓症の診断  190  D.致死性急性肺血栓塞栓症  191  E.慢性肺血栓塞栓症の診断  191  F.換気・血流肺スキャン法による診断  193 14.急性呼吸不全 〈相馬一亥〉 195  A.呼吸不全とは  195  B.Pa2≦60mmHgの意義  195  C.臨床症状  196  D.原因  197 15.慢性呼吸不全 〈宮本顕二〉 199  A.定義  199  B.基礎疾患と患者数  199  C.病態  199  D.予後因子  200  E.予後  201 16.肺水腫 〈相馬一亥〉 202  A.肺水腫とは  202  B.肺水腫の原因  202  C.ARDSとは  202  D.診断  203 17.気胸 〈長谷川英之,沼田博行〉 205  A.概念  205  B.病因,分類  205  C.臨床,病態  205  D.診断  206  E.虚脱度  206  F.特殊な気胸  206  G.診断のポイント  207 18.縦隔気腫 〈長谷川英之,沼田博行〉 208  A.概念  208  B.成因  208  C.臨床,診断  209  D.診断のポイント  210 19.胸膜炎 〈長谷川英之,沼田博行〉 211  A.概念  211  B.胸水貯留の病態  211  C.臨床像と診断  212  D.胸水を生じる主な疾患  212  E.診断のポイント  214 20.サルコイドーシス 〈古家 乾〉 215  A.概念と病因  215  B.疫学  215  C.病態と病理  215  D.臨床症状,検査成績および診断  215  E.治療と予後  219 21.AIDSの肺病変 〈太田智裕,後藤 元〉 220  A.カリニ肺炎  220  B.結核  222  C.非定型抗酸菌症  223  D.クリプトコッカス症  224  E.サイトメガロウイルス肺炎  224  F.肺Kaposi肉腫  224 22.睡眠時無呼吸症候群 〈飛田 渉〉 226  A.概念  226  B.無呼吸のタイプ  226  C.病因  227  D.無呼吸による病態生理と臨床像  227  E.増悪因子  227  F.診断のための検査計画  229  G.治療法  229 附 呼吸器疾患に関する病型分類・診断基準  233   1.呼吸不全の診断基準  233   2.Hugh-Jones呼吸困難度分類  233   3.在宅酸素療法の適応基準  233   4.肺結核X線分類  234   5.びまん性汎細気管支炎診断の手引き  236   6.喘息症状(発作)強度の分類(成人)  237   7.喘息重症度の分類(成人)  237   8.肺癌の基本的な組織型  238   9.肺癌のTNM分類  239  10.特発性間質性肺炎の臨床的診断基準  241  11.特発性間質性肺炎の胸部X線診断基準  242  12.サルコイドーシスの診断基準  244  13.肺高血圧症の中より除外すべき病態  246  14.ALI(acute lung injury)とARDS(acute respiratory distress syndrome)    の鑑別診断表  246  15.肺活量・一秒量の回帰式  247  16.フローボリューム曲線の回帰式  247  17.肺気量の回帰式  248  18.動脈血ガス分析の回帰式  248  19.1回呼吸法DLCOとDLCO/VAの主な予測式  249   索引  250

内容説明

呼吸器疾患を臨床の場でいかにとらえ、診断したらよいかの基本から実際までをわかりやすく説いたテキスト。問診・病歴の取り方、身体所見の取り方と意味づけから症候・各種検査所見の読み方を簡潔かつ具体的に解説した。次いで重要な呼吸器疾患診断のポイントを、図・表・チャートなどを使って示してある。医学生・研修医の方々が最新の呼吸器診断学を効率よく学ぶことのできる本。

目次

1章 呼吸器疾患の診療の考え方(医療倫理に関する問題;呼吸器疾患の表現形態 ほか)
2章 病歴の取り方―ポイントと注意点(病歴の聴取と記載;各症候の問診 ほか)
3章 身体所見の取り方と意味づけ(一般身体所見;呼吸音、聴診)
4章 診断の進め方(症候からのアプローチ;検査所見からのアプローチ)
5章 主な呼吸器疾患診断のポイント(急性上気道炎(かぜ症候群を含む)
肺炎 ほか)
附 呼吸器疾患に関する病型分類・診断基準(呼吸不全の診断基準;Hugh‐Jones呼吸困難度分類 ほか)