呼吸機能の臨床 - 検査法から症例検討まで (第2版)

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呼吸機能の臨床 - 検査法から症例検討まで (第2版)

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  • サイズ B5判/ページ数 325p/高さ 26cm
  • 商品コード 9784498030954
  • NDC分類 493.3
  • Cコード C3047

出版社内容情報

《内容》 序 呼吸機能は難しくてよく理解できないという話を聞きます.これは,呼吸生理では数式を使うことが多く,そのためはじめから呼吸機能を敬遠したり,あるいはそれを勉強する機会が少ないためではないでしょうか? この度,中外医学社より呼吸機能検査のテキストを作る機会をいただき,専門分野の異なる二人が知恵を出し,わかりやすい呼吸機能のテキストを目標に編集作成しました.
 いろいろな呼吸器疾患において患者の訴える症状や身体所見は(例えば,呼吸困難,喘鳴,チアノーゼなど),生体内に起きている生理学的現象(気道狭窄,低酸素血症,肺組織の硬化など)に基づいています.生理学的な現象の多くは呼吸機能検査で知ることができます.したがって,呼吸機能を検査することによって,患者の体内で起きている病態生理をよく理解できます.呼吸機能は,気道,肺組織,胸郭,神経,筋などの病変でいろいろ変化します.1つの呼吸機能検査で,気道・肺・胸郭に生じている病変を充分とらえることはできません.いくつかを組み合わせることによって,はじめて全体像を理解することが可能となります.もちろん,経過を観察する際には,1つの検査でも充分な場合があります.
 本書の構成は,はじめに呼吸器の構造について解説し,ついで検査法を配し,基本的な知識を理解していただき,後半では症例を呈示し,その呼吸機能検査成績を実際に即してどのように解釈するかについて解説し,さらに各疾患の呼吸機能の特徴をまとめました.もちろん,多くの読者は,呼吸機能は学生教育を含めてある程度理解されていると思われるので,後半の症例から読み始め,肺機能検査の方法やその意味付けについて詳しく知りたいときには,前半の検査法の項に戻ることも一つの方法と思います.
 近年公表された各種の気管支喘息ガイドラインでは,患者の自覚症状,理学所見のみでは喘息の病状を過小評価する危険性があるため,呼吸機能検査とくにピークフローあるいは一秒量を評価法に加えるよう薦めています.これらの点に鑑み,本書では「ピークフローによる気管支喘息の管理」の項を別に設けて,気管支喘息の管理の実際的な方法を解説しました.
 医学教育における1~2時間の講義では,臨床における呼吸機能の問題点を考えるのには不充分であり,卒後それなりに時間をかけて勉強する必要があります.今,呼吸機能がわかりにくいと思われている方は,少し時間をかけ本書を使って勉強されることをお薦めします.本書で呼吸機能を勉強することにより,患者の病態生理がより正確に理解でき,日常診療の役に立つことを,著者らは念じてやみません.
 最後に,本書の編集に多大なるご尽力をいただいた中外医学社荻野邦義氏に深く感謝致します.
1996年7月
  鈴木俊介永井厚志    

《目次》
目 次§1.呼吸器の構造〈永井厚志〉
A.呼吸器系の構造1
1)呼吸器系の発生1
2)気 道3
3)肺胞実質8
4)肺血管11
5)肺リンパ管12
6)胸膜,縦隔12
7)呼吸筋12
8)自律神経系16
B.呼吸器のモルフォメトリー17
1)気道系17
2)細 葉19
3)肺 胞19
4)肺動脈22
§2.呼吸機能検査
1呼吸機能検査入門〈鈴木俊介〉25
A.呼吸機能検査の必要性25
B.呼吸機能検査の使い方25
C.機器,測定手技の精度26
D.記号,数字の表し方27
E.正常値29
2スパイロメトリー〈鈴木俊介〉30
A.概 念30
B.原 理30
1)肺活量,肺気量分画30
2)努力性呼出曲線31
3)フローボリューム曲線31
C.方 法32
1)機 器32
2)測定時の注意34
3)肺活量の測定34
4)努力性呼出曲線の測定34
5)MVVの測定34
6)測定値の表し方35
D.意 義35
1)肺活量の規定因子35
2)一秒量の規定因子37
3)フローボリューム曲線39
4)閉塞性疾患における障害41
E.適 応41
F.評 価42
1)肺活量42
2)一秒量43
3肺気量〈平本雄彦〉45
A.概 念45
B.原 理45
1)閉鎖回路法の原理45
2)開放式窒素洗い出し法46
C.方 法47
1)閉鎖回路法47
2)開放式窒素洗い出し法48
D.病態生理,適応49
1)病態生理と意義49
2)適 応51
E.評 価51
4換 気〈鈴木俊介〉53
A.概 念53
B.定義,測定原理53
C.測定法57
D.評 価59
5肺拡散能力〈平本雄彦〉62
A.概 念62
B.原 理63
C.方 法63
1)1回呼吸法64
2)恒常状態法67
D.病態生理,適応68
1)病態生理と意義68
2)適 応69
E.解釈,評価69
6メカニックス(換気力学)〈鈴木俊介〉72
A.概 念72
B.抵 抗73
C.コンプライアンス,肺圧量曲線79
D.動肺コンプライアンス82
E.胸郭・呼吸筋85
F.ボディプレチスモグラフィー89
付.食道バルーンの測定法92
7ガス分布〈進藤千代彦〉94
A.不均等分布の概念94
B.窒素洗い出し法の原理95
C.ガス分布の測定法96
1)単一呼吸法97
2)多呼吸洗い出し法98
D.意義,適応98
1)単一呼吸法98
2)多呼吸洗い出し法99
E.解釈,評価法100
1)単一呼吸曲線の評価100
2)多呼吸洗い出し法の評価102
8血液ガス〈金澤 實 松原弘明 副島研造〉104
A.概 念104
B.原 理105
1)血液中のO2 105
2)O2解離曲線106
3)血液中のCO2 107
4)CO2解離曲線107
C.動脈血の採取と測定条件108
1)採血方法108
2)採血条件108
D.意義,適応109
1)動脈血ガス測定の意義109
2)低O2血症の原因110
E.解釈,評価114
1)PaO2,PaCO2の正常値114
2)血液ガス異常を呈する疾患115
9酸塩基平衡〈中村守男 石坂彰敏 金澤 實〉117
A.概 念117
1)relativeconstantalkalinity117
2)疾患や運動と酸負荷117
B.原 理118
1)酸,塩基とは118
2)緩衝系118
3)Henderson-Hasselbalchの式119
4)生体での調節119
C.測定方法120
1)pH(または水素イオン濃度,[H+])120
2)PaCO2 120
3)HCO3-濃度(重炭酸イオン濃度)120
4)BB(bufferbase)120
5)BE(baseexcess)121
D.意義と評価121
1)代謝性アシドーシス121
2)代謝性アルカローシス122
3)呼吸性アシドーシス124
4)呼吸性アルカローシス124
5)significancebandと酸塩基平衡
  ダイアグラム127
10呼吸調節〈木村 弘〉129
A.概 念129
B.原理および方法130
1)CO2換気応答(HCVR)130
2)低酸素換気応答(HVR)132
C.意義,適応134
D.解釈,評価135
11気道過敏性の検査〈鈴木俊介〉138
A.概 念138
B.原 理138
C.方 法138
1)エアロゾルの発生および吸入方法138
2)吸入薬剤139
3)気道反応の検出139
4)測定法140
5)解析法141
D.意義,適応142
E.評 価145
12ポリソムノグラフィー〈赤柴恒人〉147
A.概 念147
B.測定方法147
1)脳波,眼電図,筋電図の測定147
2)呼吸(気流)の測定148
3)換気運動の測定148
4)ガス交換の測定148
5)心電図の測定149
6)その他の指標149
C.適 応149
1)慢性閉塞性肺疾患149
2)拘束性換気障害150
3)換気中枢の障害151
4)SAS151
D.評価,解析152
1)睡眠段階(睡眠構築)152
2)気流と換気運動152
3)酸素飽和度156
13運動負荷検査〈藤本繁夫 田中繁宏〉158
A.概 念158
B.目的,適応と禁忌158
1)目 的158
2)適応と禁忌159
C.測定項目と原理159
1)測定項目159
2)原 理160
D.方 法161
1)検査に用いる機種161
2)負荷量の設定方法162
E.運動負荷検査の解釈と評価164
1)どの程度の運動能力があるか?164
2)換気反応から何がわかるか?166
3)心拍数に余力があるかどうか?167
4)運動筋への酸素輸送は保たれているか?167
5)肺でのガス交換能はどうか?168
6)1回心拍出量の増加に障害はないか?168
14換気血流シンチグラム〈川上憲司〉170
A.概 念170
B.原 理170
1)換気分布170
2)血流分布170
3)エアロゾル吸入シンチグラフィ170
C.方 法171
1)換気シンチグラフィ171
2)肺血流シンチグラフィ171
3)99mTc-エアロゾルシンチグラフィ172
D.意義,適応172
1)換気シンチグラフィ172
2)肺血流シンチグラフィ172
3)換気血流ミスマッチ172
4)エアロゾル吸入シンチグラフィ173
E.解釈,評価174
1)換気シンチグラフィ174
2)血流シンチグラフィ176
3)吸入シンチグラフィ178
§3.ピークフローを用いた気管支喘息の管理〈田村 弦〉
A.理論的有用性181
B.測定機器と測定法182
C.標準値と日内変動183
D.気管支喘息管理での意義184
E.意義の認識法186
F.ピークフロー測定の実例186
§4.症例による実際
1気管支喘息〈宮沢直幹 鈴木俊介〉191
症例 喘鳴発作(81歳,男性)191
解説194
2肺気腫〈永井厚志〉197
症例 労作時呼吸困難,動悸(64歳,男性)197
解説201
3慢性細気管支炎〈安井修司〉205
症例 咳,痰,労作時の呼吸困難
   (73歳,男性)205
解説207
4上気道閉塞〈赤柴恒人 永井厚志〉209
1.肺 癌209
症例 喘鳴,呼吸困難(58歳,男性)209
2.Munchausen'sstridor211
症例 呼吸困難,吸気時の喘鳴
   (15歳,男性)211
解説213
5気管支拡張症〈安井修司〉217
症例 咳,痰,労作時呼吸困難
   (41歳,男性)217
解説219
6間質性肺炎〈安井修司〉221
症例 乾性咳嗽,労作時呼吸困難
   (74歳,男性)221
解説223
7過敏性肺臓炎〈永井厚志〉227
症例 咳,労作時呼吸困難(46歳,女性)227
解説229
8サルコイドーシス〈沼田万里 鈴木俊介〉231
症例1 胸部X線写真異常陰影
    (46歳,男性)231
症例2 咳嗽,呼吸困難(65歳,女性)233
解説234
9慢性好酸球性肺炎〈鈴木俊介〉237
症例 咳嗽(50歳,女性,主婦)237
解説239
10肺 癌〈赤柴恒人〉242
症例 咳,痰,労作時呼吸困難
   (61歳,女性)242
解説243
11ARDS〈石坂彰敏 金澤 實〉247
症例 咳嗽,呼吸困難(56歳,男性)247
解説248
12肺塞栓症〈佐山宏一 金澤 實〉251
症例 呼吸困難(56歳,男性)251
解説253
13肺動静脈瘻〈赤柴恒人〉256
症例 労作時の呼吸困難(29歳,女性)256
解説257
14肝肺症候群〈鈴木俊介〉260
症例 呼吸困難(64歳,男性)260
解説262
15胸膜疾患〈鈴木淳一 鈴木俊介〉264
症例 胸部X線写真上の異常(52歳,男性)264
解説266
16神経筋疾患〈進藤千代彦〉268
症例1 筋力低下(60歳,男性)268
解説270
症例2 右横隔神経麻痺(64歳,男性)271
解説273
17肺結核後遺症〈佐久間哲也 木村 弘〉275
症例 下腿浮腫,呼吸困難感(62歳,男性)275
解説277
18睡眠時無呼吸症候群〈新島眞文 木村 弘〉280
症例 いびき,夜間睡眠中の呼吸停止
   (44歳,男性)280
解説283
19原発性肺胞低換気症候群〈新島眞文 木村 弘〉286
症例 夜間の無呼吸(70歳,女性)286
解説287
20運動負荷検査の実際〈田中繁宏 藤本繁夫〉289
症例1 労作時の呼吸困難(Hugh-JonesIII度)(70歳,男性)289
解説291
症例2 労作時の呼吸困難(Hugh-JonesIII度)(68歳,男性)294
解説296
日本人の呼吸機能標準値〈鈴木俊介〉301
日本人のピークフロー標準値〈鈴木俊介〉312
欧州人の呼吸機能標準値〈鈴木俊介〉316
索 引321

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