出版社内容情報
《内容》 近年の神経科学の急速な進歩を踏え,研修医,内科臨床医がベッドサイドで神経内科疾患を適切に診療するための知識を治療に重点をおいて簡潔かつ具体的にまとめた.各種神経系疾患について1.疾患概念1.症状・経過2.検査3.診断基準4.鑑別診断6.治療にわたって解説,特に治療については緊急を要する治療,薬物療法,一般療法,手術の適応,特殊治療などにわたって詳述し,それぞれキメ細かな代表的処方例も織り込んでいる.今回初版後の進歩,新薬の登場により書き改め最新の内容とした.第2版の序 ベッドサイドで神経内科疾患を適切に診療するためのガイド役として本書を出版してから3年余が経過した.この間の神経科学の進歩はまさに加速度的ともいえる目覚ましいもので,これらの進歩は否応なく本書に改訂の必要性を迫ってきた. 細部にわたる刷新はもちろんであるが,今回の改訂のおもな点は,遺伝子診断の進歩に伴う疾患分類の変更と,新しい治療薬の導入と治療に対する考え方の進歩を取り入れて,処方を新しくしたことである.また,CTやMRIの装置や画像診断に関する基礎的知識がすでにかなり普及したと考えられることと,本書をベッドサイドで使用するためのハンディーさを保ちたいという意図から,初版で取り上げた画像診断の章は今回の改訂を機会に割愛させていただいた.画像診断の詳細については詳しい解説書がすでに多数出版されているのでそれらを参照していただきたい. 本書が今回の改訂を無事に迎えることができたのは,すべて読者の方々のお陰である.今後さらに本書を息長く発展させ,日常の診療に役立たせるために皆様からのなお一層のご指摘,ご助言をお願いする.1994年春小川紀雄初版の序 神経科学の発展とともに,神経疾患の診断法や治療法が近年急速に進歩してきた.本書はこれらの学問の進歩を踏まえて,研修医あるいは内科臨床医がベッドサイドで神経内科疾患を適切に診療するために必要な知識を治療に重点をおいて具体的かつ簡潔にまとめたものである. 本書はほとんど全ての神経内科疾患を網羅しているばかりでなく,脳外科に紹介すべき疾患,さらには典型例のCTやMRIによる画像と解説,リハビリテーションなど医療の現場では不可欠の事項も取り上げた.このように,神経内科疾患の実際の診療の要にすぐに活用できるように工夫した.各疾患については,疾患概念,診断,症状と経過,鑑別診断など臨床上必須の情報を簡潔にまとめた上で,治療のガイドラインと薬物療法を具体的な処方例を中心にまとめた.さらに,実用に便利なように索引を充実させて,薬物索引では一般名からも商品名からも検索できるようにし,事項索引では疾患名やその略語も積極的に取り上げて略語解説としての役割も持たせた. 医療の現場を最もよく知っている「学識」「経験」者にお願いしたいという理由から,コンピューターを使ったデータベースの検索結果を重視して,それぞれの分野で最も活発に活躍されている方々のうち比較的若手の方々に執筆をお願いした.出来上がった本書は研修医や内科臨床医ばかりでなく,神経内科医,脳外科医,精神科医にも役立つものと確信している.これは各執筆者の優れた力量から編者の企画以上の書物となったからであり,執筆していただいた筆者各位に深甚の謝意を表する. 本書がベッドサイドで広く用いられ,少しでも多くの方々のお役に立てば幸いである.終わりに,本書の完成まで終始お世話になった中外医学社の荻野邦義氏,光岡正史氏に感謝する.1990年晩秋小川紀雄 《目次》 目次1 神経疾患の治療総論 12 運動異常症 5 PARKINSON病・PARKINSON症候群 5 舞踏病 22 HUNTINGTON舞踏病 27 アテトーゼ 32 捻転ジストニー 36 脊髄小脳変性症 41 SHY-DRAGER症候群 443 各種不随意運動症 50 本態性振戦 50 ミオクローヌス 53 しゃっくり 57 口部ジスキネジア 59 書痙 60 痙性斜頸 62 レストレス レッグス症候群 64 発作性運動誘発性コレオアテトーシス 65 GILLES DE LA TOURETTE syndromeおよびチック 674 機能性疾患 71 頭痛 71 三叉神経痛 78 顔面けいれん 82 MENIERE病と周辺疾患 84 ナルコレプシー 905 てんかん 94 概説 94 熱性けいれん 100 部分発作 101 全般発作 102 欠神発作 強直-間代発作 ミオクロニー発作 てんかん発作重積 103 けいれん発作重積 非けいれん発作重積 WEST症候群(点頭てんかん) 104 LENNOX-GASTAUT症候群 1066 自律神経疾患 108 急性汎自律神経異常症 108 起立性低血圧(拝尿失神を含む) 114 睡眠時無呼吸症候群 1217 痴呆 125 概説 125 初老期痴呆(ALZHEIMER病・PICK病) 130 老年痴呆 133 脳血管性痴呆 134 慢性硬膜下血腫 140 正常圧水頭症 1418 脱髄疾患 143 多発性硬化症 143 急性散在性脳脊髄炎 147 白質ジストロフィー 1509 血管障害 153 概説 153 脳出血 159 脳梗塞(脳血栓・脳塞栓・多発性脳梗塞) 166 一過性脳虚血発作 174 高血圧性脳症 180 クモ膜下出血 185 脳動静脈奇形 191 もやもや病 193 内頸動脈海綿静脈洞瘻 197 脊髄血管障害 199 脊髄動静脈奇形 20410 感染性疾患 207 急性化膿性髄膜炎 207 結核性,真菌性髄膜炎 210 ウイルス性(無菌性)髄膜炎 213 脳炎 214 単純ヘルペス脳炎 216 亜急性硬化性全脳炎 218 CREUTZFELDT-JAKOB病 219 脳腫瘍 221 静脈洞感染症 224 結核腫 225 神経梅毒 226 HTLV-Iミエロパチー 229 急性小脳炎 23111 脳,脊髄腫瘍 235 神経膠腫 235 星細胞腫 希突起膠腫 上衣腫 神経膠芽腫 髄芽腫 髄膜腫 239 下睡体腺腫 240 聴神経鞘腫 241 頭蓋咽頭腫 241 松果体部腫瘍 242 転移性脳腫瘍 243 頭蓋骨腫瘍 243 脊髄腫瘍 24312 脊髄脊椎疾患 245 脊髄炎 245 脊髄,延髄空洞症 250 変形性脊椎症・脊椎椎間板ヘルニア 252 後縦靱帯骨化症 25813 代謝性および中毒性疾患 261 アルコール性代謝障害 261 WILSON病 264 その他の肝脳疾患 267 アミロイドーシス 269 リピドーシス 270 ビタミンB欠乏症 272 重金属中毒 273 一酸化炭素中毒 275 SMON 275 その他の薬剤,化学物質による中毒 276 生物毒素中毒 27914 末梢神経障害 281 多発性ニューロパチー 281 炎症性脱髄性多発根神経炎 286 急性炎症性脱髄性多発根神経炎 慢性炎症性脱髄性多発根神経炎 顔面神経麻痺 292 脳神経単麻痺・多発性脳神経炎 296 単ニューロパチー 299 神経痛 302 帯状疱疹 30715 運動ニューロン疾患 309 筋萎縮性側索硬化症 309 その他の運動ニューロン疾患 311 WERDNIG-HOFFMANN病 KUGELBERG-WELANDER病 球脊髄性筋萎縮症 CHARCOT-MARIE-TOOTH病・DEJERINE-SOTTAS病 31316 筋疾患 315 重症筋無力症 315 多発性筋炎(皮膚筋炎) 323 周期性四肢麻痺 328 進行性筋ジストロフィー 333 筋緊張性ジストロフィー 336 先天性ミオパチー 337 ミトコンドリア脳筋症 339 糖原病 34017 その他の末梢神経筋障害 342 リウマチ性多発筋痛症 342 ISAACS症候群 34418 神経疾患に伴う精神症状 347 不眠 347 不安 349 うつ状態 351 夜間せん妄 353 幻覚,妄想状態 35419 直腸膀胱障害 356 神経因性膀胱 356 便秘 35920 全身性慢性疾患に伴う神経筋障害 360 甲状腺機能障害による神経筋障害 360 副甲状腺機能障害による神経筋障害 364 膠原病に伴う神経障害 366 悪性腫瘍に伴う神経障害 369 血液疾患に伴う神経障害 371 ポルフィリア 悪性リンパ腫 多発性骨髄腫 糖尿病に伴う神経障害 374 尿毒症に伴う神経障害 378 BEHCET病に伴う神経障害 380 サルコイドーシスに伴う神経障害 382 放射線脊髄症 38421 リハビリテーション 385 (附)公的援助制度利用の手引き 393事項索引(日本語) 396事項索引(外国語) 409薬品索引(商品名) 416薬品索引(一般名) 422