出版社内容情報
《内容》 神経学的な症候を理解するために必要な神経系の局所解剖学的基礎を図解しながら，神経診断の実際をわかり易く解説したものである.実地臨床に役立つ神経診断学が身につくことを目的に，多数のユニークな図をもとに病歴，症候からの鑑別診断に重点をおいて説いている.研修医をはじめ初学者の学習に最適であるが，既に神経内科・脳神経外科に携る方々にも多くの新しい視点が得られよう. 《目次》 目次 1 病歴の聴取と理学的検査 2 2 瞳孔とその反応 5 A.基礎的な検査手技 6 一般的事項 6 B.瞳孔の大きさとその反応 7 1.副交感神経系の伝導路 7 瞳孔の副交感性調節を障害する病変 10 2.交感神経系の伝導路 12 瞳孔交感神経調節の障害(HORNER症候群) 14 HORNER症候群の原因 14 HORNER症候群のその他の特徴 16 C.意識障害患者の瞳孔異常 16 3 視野 19 A.対座法による視野検査 20 1.手技 20 2.特殊な病態時の対座法の適用 22 B.視覚誘発反応(VER) 27 C.視覚伝導路の解剖 27 D.病変部位と視野欠損 31 1.網膜の病変 31 2.視神経乳頭の病変 32 3.視神経の病変 33 4.視交叉部の病変 36 5.視索の病変 39 6.視放線を障害する病変 40 E.非器質性の視野欠損 42 F.幻視 42 4 眼底検査 45 A.眼底検査のこつ 46 B.しばしばみられる眼底異常 47 1.乳頭浮腫 47 乳頭浮腫に似た病変 48 乳頭浮腫の原因 48 2.二次性視神経萎縮 51 3.一次性視神経萎縮 51 4.その他 52 5 第III，IV，VI，脳神経 55 A.外眼筋の作用 56 B.複視 58 複視の出現する機序 58 1.第III神経麻痺 60 2.第IV神経麻痺 60 3.第VI神経麻痺 62 C.第III，IV，VI脳神経の頭蓋内の解剖 62 1.第III神経 62 2.第IV神経 62 3.第VI神経 62 D.外眼筋を支配する神経の病変 64 1.神経核と神経束の病変 64 2.脳底部の病変 64 3.錘体尖端の病変 66 4.海綿静脈洞部の病変 67 5.上眼窩裂と眼窩尖の病変 68 E.外眼筋支配神経に病変を生じる疾患 69 F.神経の病変に類似する疾患 70 G.複視に対する一般的アプローチ 71 6 小脳橋角と頸静脈孔 73 I.小脳橋角病変と第V～第VIII脳神経麻痺 74 A.第V～第VIII脳神経障害の臨床診断 74 1.三叉神経(V) 74 2.外転神経(VI) 76 3.顔面神経(VII) 76 第VII神経の臨床診断 77 味覚 79 閉眼麻痺時の角膜反射 79 4.聴神経と前庭神経(VIII) 80 B.小脳橋角の病変 80 1.聴神経腫瘍 80 2.その他の病変 82 3.患者の検査 82 C.第V～第VII脳神経障害を示すその他の原因 83 1.第V神経病変 83 2.第VI神経病変 84 3.第VII神経病変 84 D.第VIII神経 85 1.解剖と検査 86 前庭器官 86 前庭機能検査 86 聴器 90 聴力の電気生理学的検査 91 2.第VIII神経とその連絡路の臨床的障害 92 II.頸静脈孔症候群と下位脳神経麻痺 94 A.頸静脈孔症候群 94 B.第IX～XII脳神経の臨床的検査 96 1.舌咽神経(IX) 96 2.迷走神経(X) 96 3.副神経脊髄根(XI) 98 4.舌下神経(XII) 98 5.頸部交感神経 98 6.嚥下の解剖 98 C.臨床症状 98 1.症候群 99 D.頸静脈孔症候群の原因 100 1.頭蓋内の病変 100 2.頸静脈孔内または頭蓋外の病変 100 3.その他の原因 100 E.頸静脈孔症候群の検査 101 7 眼球共同運動および眼振 103 A.共同注視調節機構の経路 104 1.随意注視機構 104 2.追跡眼球運動機構 104 3.眼球運動への前庭および小脳の影響 106 4.垂直眼球運動 106 B.共同注視機構の臨床的障害 108 1.前頭葉皮質と内包前脚の病変 108 2.頭頂，後頭葉皮質の病変 109 3.基底核を障害する病変 110 4.上丘，下丘を障害する病変 110 5.橋を障害する病変 111 C.眼振 114 1.眼振の種類 115 8 大脳病変:1.大脳葉 119 A.大脳半球病変の一般的臨床像 120 1.知覚障害と行動異常 120 2.ベッドサイドでの知能検査 122 3.大脳半球病変による運動障害 125 4.大脳半球障害時の運動機能精密検査 126 5.運動機能検査項目 127 B.大脳半球病変による感覚障害 127 1.感覚検査手技 129 C.大脳葉障害を生じる疾患 130 1.前頭葉 130 臨床的特徴 130 身体的徴候 133 2.頭頂葉 134 臨床的特徴 135 3.後頭葉 135 4.側頭葉 136 臨床的特徴138 身体的徴候 138 D.脳腫瘍の診断と検査 139 1.病理学的特徴と治療 140 小児 140 成人 140 E.脳腫瘍および感染性肉芽腫 144 F.脳腫瘤が疑われたときの検査 145 9 大脳病変:2.血管障害 149 A.大脳半球の動脈支配 150 1.前大脳動脈 150 2.中大脳動脈 150 3.後大脳動脈 150 B.脳血管閉塞の臨床所見 155 1.前大脳動脈閉塞 155 2.中大脳動脈閉塞 156 3.後大脳動脈閉塞 159 4.前脈絡叢動脈閉塞 161 C.血管障害の症状と徴候 161 1.症状の急激な発現 162 2.症状の継続的発現 162 3.神経症状の着実な回復 164 4.頭痛 164 5.種々のタイプの脳血管障害 164 D.脳血管障害が疑われたときの検査と処置 167 10 大脳病変:3.大脳辺縁系と視床下部の障害 171 A.辺縁系 174 B.視床下部 176 1.視床下部諸核の機能的分類 176 C.側頭葉-大脳辺縁-視床下部系の障害 179 1.側頭葉てんかん 179 2.記憶障害 181 3.睡眠と摂食行動をおかす疾患 182 4.痴呆 182 11 脳幹 187 A.脳幹の解剖 188 1.運動経路 188 2.知覚経路 192 3.脳神経核 194 4.脳幹の血流支配 196 B.脳幹病変の臨床像 196 1.脳幹部血管障害による症候 198 中脳 198 橋 198 延髓 199 一過性脳幹部虚血発作 200 頭蓋内出血による脳幹障害 201 2.多発性硬化症 202 3.橋神経膠腫 202 4.その他の後頭蓋窩腫瘍 202 5.代謝性脳幹機能異常 203 12 錘体外路系と小脳 205 I.錘体外路系 206 A.解剖学的考察 206 B.病理学的，生化学的考察 208 C.錘体外路系疾患の臨床像 209 1.振戦 209 2.片側バリスムス 212 3.舞踏病 212 4.アテトーゼ 212 5.ジストニー 213 6.ミオクローヌス 213 7.チック 213 D.錘体外路疾患 214 1.良性本態性振戦 214 2.パーキンソンニズム 214 パーキンソンニズムの特殊な型 216 脳炎後パーキンソンニズム 216 動脈硬化性パーキンソンニズム 217 パーキンソンニズムにおける知的機能と抑うつ 217 3.SYDENHAM舞踏病 218 4.その他の稀な原因による舞踏病 218 5.HUNTINGTON舞踏病 219 6.アテトーゼ様およびジストニー様疾患 219 7.ミオクローヌス疾患 222 II.小脳 223 A.基本的解剖 223 B.小脳疾患の臨床像 226 1.歩行失調 227 2.体幹失調 227 3.四肢失調 227 4.急速変換運動 228 5.他の徴候 228 C.小児の小脳疾患 230 1.先天性疾患 230 2.代謝疾患 230 3.感染性疾患 231 4.変性疾患 231 5.腫瘍 232 D.成人における小脳疾患 232 1.遺伝性小脳疾患 232 2.“中毒性”小脳変性症 233 3.新生物病変 234 4.多発性硬化症 234 13 脊髄疾患:1.解剖・生理と脊髄疾患の臨床像 235 A.脊髄路の臨床的解剖 236 1.運動路 236 2.知覚路 236 B.脊髄疾患の症候 238 1.運動路の障害 238 2.運動路障害の徴候 240 3.知覚路の障害 242 4.知覚路障害の徴候 244 14 脊髄疾患:2.代謝疾患・感染症・血管障害 247 1.進行性頸部ミエロパチー 248 2.多発性硬化症 249 3.運動ニューロン疾患 251 4.家族性痙性麻痺 252 5.FRIEDREICH失調症 253 6.亜急性連合性脊髄変性症 254 7.脊髄癆 254 8.放射線ミエロパチー 256 9.脊髄の圧迫 260 10.脊髄固有の腫瘍 260 11.脊髄血管障害 261 15 脊髄疾患:3.脊柱との関係からみた脊髄 265 A.神経系の発生学的解剖 266 B.脊髄空洞症 269 C.頸椎と頸椎症 269 1.頸椎症の臨床像 273 D.腰椎と腰部椎間板病変 275 E.馬尾病変 278 1.小児の馬尾病変 278 2.成人の馬尾病変 279 F.腫瘍と脊髄 282 1.脊髄腫瘍の検査 283 G.排尿と神経疾患 284 1.神経原性膀胱 287 H.性交能力の障害 288 1.原因 289 16 末梢神経障害および下位運動ニューロン疾患 291 A.末梢神経疾患の症状 292 1.筋萎縮 292 2.筋力低下 292 3.反射の消失 293 4.筋肉けいれん 293 5.運動による筋肉痛 293 6.筋線維束攣縮 294 7.知覚徴候 294 B.前角細胞の疾患 295 1.遺伝性前角細胞疾患 295 2.感染性前角細胞疾患 296 3.中毒性前角細胞疾患 296 4.電気ショックによる前角細胞疾患 297 C.末梢性ニューロパチー 297 1.遺伝性末梢性ニューロパチー 298 2.代謝異常によるニューロパチー 299 3.感染症によるニューロパチー 300 4.中毒性ニューロパチー 302 5.その他のニューロパチー 302 6.悪性腫瘍に随伴するニューロパチー 304 D.筋伝図・神経伝導速度 304 1.筋伝図 304 2.神経伝導速度 308 17 筋肉および筋終板の疾患 311 A.筋ジストロフィー 312 1.筋ジストロフィーの一般的臨床所見 312 B.先天性ミオパチー 318 C.代謝性ミオパチー 319 1.グリコーゲン代謝異常による筋疾患 319 D.カリウム代謝異常による筋疾患 321 E.二次性代謝性および内分泌性ミオパチー 323 1.電解質異常 323 2.内分泌疾患 325 F.薬剤に起因する筋疾患 325 G.炎症性筋疾患 326 1.多発性筋炎 326 H.重症筋無力症とミアステニア症候群 328 18 上肢の神経および神経根病変の診断 331 A.障害を受けやすい部位 333 B.知覚障害 333 C.運動障害 337 D.原因疾患別の臨床像 340 1.神経根ひきぬき症候群 340 2.頸椎症 341 3.急性頸椎椎間板症 341 4.上腕神経炎(血清神経炎・神経痛性筋萎縮症) 342 5.頸肋症候群 343 6.橈骨神経障害 344 7.尺骨神経障害 345 8.正中神経障害 346 9.BELLの長胸神経障害 346 10.上腕神経叢障害 348 11.神経叢の放射線障害 349 19 下肢の神経および神経根障害の診断 351 A.下肢の神経支配 353 B.臨床上重要な知覚神経支配 357 1.末梢神経支配 357 2.神経根支配 360 C.臨床上重要な運動神経支配 360 1.末梢神経支配 360 2.神経根支配 362 D.原因疾患別の臨床像 363 1.錯感覚性大腿痛meralgia paraesthetica 363 2.大腿神経病変 364 3.坐骨神経病変 364 4.腓骨神経障害 365 20 頭痛 367 A.頭痛概論 368 B.片頭痛 368 1.頭痛の部位 369 2.痛みの型 371 3.随伴症状 371 4.重要な亜型 372 5.片頭痛の治療 374 C.緊張性頭痛 375 D.精神病性頭痛 377 E.圧頭痛pressure headache 377 1.側頭動脈炎 378 F.外傷後頭痛 380 21 顔面痛 383 A.三叉神経の解剖 385 B.三叉神経痛tic douloureux 386 C.異型顔面痛 388 D.顔面片頭痛症候群 389 E.ヘルペス後神経痛 391 F.COSTEN症候群 392 G.その他の原因 393 22 意識障害発作 395 A.てんかんとは 396 1.小発作 396 2.側頭葉発作 396 3.大発作 397 B.失神発作 398 C.過換気発作 400 D.倒れ発作(drop attack) 401 E.脳血管障害 402 E.一過性全健忘 402 G.片頭痛と意識消失 403 H.メニエール病と意識消失 403 I.ナルコレプシーとカタプレキシー 403 J.心疾患 404 K.低血糖 404 23 外傷と神経系 409 A.頭部外傷とその合併症 410 B.子供の頭部外傷 411 1.後遺症 413 C.成人の頭部外傷 415 1.後遺症 420 D.外傷による脊髄障害 422 1.頸髓損傷 422 2.臨床症状 425 E.治療 426 1.胸椎-腰椎損傷 426 2.遅発性合併症 426 24 神経内科領域における薬物相互作用と副作用 427 A.薬物中毒機序 431 B.抗けいれん剤 432 1.ジフェニールヒダントイン(Epanutin)(Dilantin U.S.P.) 433 2.プリミドン(Mysoline) 434 3.フェノバルビタール 434 4.スルチアム(Ospolot) 435 5.エトサクシマイド(Zarontin) 435 6.カルバマゼピン(Tegretol) 434 7.メトサクシマイド(Celontin) 436 8.てんかん重積状態 437 C.抗パーキンソン 437 D.抗うつ剤 438 1.イミプラミン(Tofranil)とアミトリプチリン(Tryptizol) 439 2.モノアミンオキシダーゼ阻害剤 439 3.炭酸リチウム 439 E.トランキライザー 440 1.Reserpine誘導体 440 2.マイナートランキライザー 440 3.メジャートランキライザー 440 4.鎮静薬 441 F.片頭痛の治療 442 G.重症筋無力症の治療 443 H.抗生物質 444 1.ニトロフラントイン(Furadantin) 444 2.ペニシリン系 444 3.ストレプトマイシン・ゲンタマイシン・カナマイシン・コロマイシン・ポリミキシン-B 444 4.抗結核薬 445 I.関節炎症状に用いられる薬物 445 1.ステロイド 445 2.インドメサシン 446 3.クロロキン 446 4.ペニシラミン 446 J.その他の薬の副作用 446 K.避妊薬 447 25 神経学的補助検査 449 A.腰椎穿刺 450 1.適応 451 2.禁忌 451 3.手技 452 患者の体位 453 消毒 456 器具 456 4.髓液圧が異常に高いとき 461 5.髓液圧が異常に低いとき 462 B.脳波(E.E.G.) 463 1.手技 463 2.臨床応用 464 3.脳波と関連した他の検査 465 C.ラジオアイソトープスキャンニング 466 D.脳動脈撮影法 467 1.手技 467 F.気脳撮影 468 F.ミエログラフィー(脊髄造影) 469 G.CTスキャン (EMIスキャンニング) 470 26 全身疾患に伴う神経学的合併症 473 A.妊娠および分娩に伴う神経学的合併症 474 1.子癇 474 2.脳血管障害 474 3.脳および脊髄腫瘍 475 4.てんかん 475 5.多発性硬化症 476 6.重症筋無力症 476 7.妊娠性舞踏病 476 8.末梢神経障害 476 B.糖尿病および糖代謝に伴う神経合併症 477 1.末梢神経障害 477 2.脳血管障害と脊髄血管障害 477 3.代謝性疾患 478 糖尿病性ケトン血症性昏睡 478 高血糖性高侵透圧性非ケトン血症性昏睡 478 低血糖 479 C.膠原病・血管疾患に伴う神経合併症 480 1.全身性エリテマトーデス 480 2.慢性関節リウマチ 481 3.結節性多発性動脈炎 481 4.多発性筋炎 482 5.強皮症 483 6.SJOGREN症候群 483 7.リウマチ性多発性筋痛 483 8.血栓性血小板減少性紫斑病 483 D.内分泌および代謝疾患に伴う神経学的合併症 484 1.甲状腺中毒症 484 2.粘液水腫 484 3.副甲状腺機能亢進症 485 4.副甲状腺機能低下症 485 5.CUSHING症候群 485 6.ADDISON病 485 7.末端肥大症 486 8.下垂体機能低下症 486 9.抗利尿ホルモン分泌異常症 486 10.アルコール中毒症 487 E.心疾患に伴う神経合併症 488 F.腫瘍に伴う神経合併症 489 G.感染症と神経系 490 1.髄膜炎菌性髄膜炎 491 2.へモフィリスインフルエンザ髄膜炎 491 3.肺炎球菌性髄膜炎 491 4.その他の病原体による化膿性髄膜炎 492 5.結核性髄膜炎 492 6.良性無菌性髄膜炎(ウイルス性髄膜炎) 493 索引 494
