出版社内容情報
《内容》 ようやく現実のものとなったサイトカインの臨床応用の最新情報をまとめた. IFN・EPO・M-CSF・G-CSF・GM-CSF・その他のサイトカインの各々の性質，機能などの特徴，白血病，貧血その他の血液疾患，癌化学療法，骨髄移植などへの臨床応用の具体例，副作用等の問題点，今後の展望などが，わかり易く，簡潔に解説されている. 序 近年の血液学，免疫学，分子生物学の進歩には目覚ましいものがあり，多数のサイトカインが次々に発見され，その遺伝子クローニングが行われ，リコンビナント製剤の大量生産が可能になっている.その結果，つい数年前までは一部の人々の間でしか想像されなかったサイトカインの臨床応用が現実のものとなり，臨床医学の進歩に大きく貢献しつつある.しかも，このような趨勢は今後もしばらくは続き，新しいサイトカインが臨床の場に次々と登場してくることが予想されている. 本書は現在までに臨床の場に登場した，あるいは近い将来登場するであろうサイトカインについて，主として血液学領域での臨床応用を念頭におきながら解説を試みたものである.著者の僅少な経験を基に，なるべく具体的に書くように努めたが，もとより勉強不足のせいで内容の偏り，不適切なところ，など多々あるのでは，と危惧される.御批判，訂正など賜れば幸いである.また，本書がサイトカインの臨床応用に関心のある方々に少しでも参考になれば，筆者の望外の喜びである. これまで常に御指導をいただいた平嶋邦猛先生に深謝します.また，本書を執筆する機会を与えて下さった高久史麿先生，三浦恭定先生，平井久丸先生，これまでの研究を支えて下さった埼玉医科大学第一内科の諸氏，そして本書の編集に尽力下さった中外医学社の高橋衛，高橋洋一両氏に感謝いたします. 1992年8月 別所正美 《目次》 目次 I.サイトカインとは 1 A.サイトカインの特徴 2 B.サイトカインの臨床応用 5 II.インターフェロン 7 A.IFNの一般的性質 8 B.IFNの臨床応用 10 1.慢性骨髄性白血病(CML) 10 a.CMLに体する従来の治療 10 b.IFNによるCMLの治療 13 c.わが国における成績 18 d.IFN-αによるCML治療の実際 20 e.今後の課題 20 2.CML以外の慢性骨髄増殖性疾患 21 3.多発性骨髄腫(MM) 21 a.IFNの骨髄腫細胞に対する作用 21 b.未治療例での成績 21 c.再発および不応例での成績 25 d.IFN-αによる維持療法 26 4.hairy cell leukemia(MCL) 26 C.IFN治療の問題点 28 1.副作用 28 2.中和抗体の出現 30 III.エリスロポエチン 33 A.赤血球造血とEpo 34 B.Epoの治療的応用 37 1.腎性貧血とEpo 37 2.腎機能正常者における種々の貧血とEpo 42 a.造血器疾患 42 b.二次性貧血とEpo 48 c.治療に伴う貧血とEpo 50 3.外科領域でのEpoの応用 50 4.他の造血因子とEpoの併用 52 C.Epoの診断的応用 57 IV.M-CSF 61 A.M-CSFの臨床応用 63 1.癌化学療法後の白血球減少症や血小板減少症に対する効果 64 2.急性白血病の化学療法後の好中球減少症に対する効果 65 3.骨髄移植におけるM-CSFの効果 66 4.M-CSFの副作用 67 V.G-CSF 69 A.好中球造血とG-CSF 71 a.好中球の産生とG-CSF 71 b.G-CSFの生化学的特徴 74 B.G-CSFの臨床応用 76 1.好中球減少に対するG-CSFの応用 76 a.先天性および二次性好中球減少症 76 b.再生不良性貧血 78 c.骨髄異形成症候群(MDS) 79 d.AIDS 84 e.抗癌化学療法後の骨髄抑制 84 f.骨髄性白血病 87 g.骨髄移植後の回復促進 95 2.G-CSFのその他の応用 96 a.難治性感染症の治療 96 b.骨髄性白血病の分化誘導療法 97 c.細胞周期の調節 98 d.末梢血幹細胞移植 99 C.G-CSFの副作用 99 VI.GM-CSF 103 A.GM-CSFの臨床応用 107 1.再生不良性貧血 109 2.骨髄異形成症候群(MDS) 109 3.AIDS 113 4.骨髄性白血病 113 5.化学療法後の骨髄抑制 114 6.骨髄移植後の回復促進 114 B.副作用 114 VII.その他のサイトカイン 117 A.IL-1 118 B.IL-3 122 C.IL-2 124 D.TNF 125 E.IL-6 126 文献 127 索引 155
