血液学ハイライト<br> 骨髄移植

血液学ハイライト
骨髄移植

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  • サイズ A5判/ページ数 212p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784498025905
  • NDC分類 493.29
  • Cコード C3047

出版社内容情報

《内容》 骨髄移植は今や白血病・再生不良性貧血・先天性免疫不全症・一部の先天性代謝異常などにおいて欠かすことのできない根治療法となった.本書は骨髄移植の基礎と臨床を,これから学ぼうとする臨床家や研究者のためにわかりやすく解説したものである. 序  第2次世界大戦前後に放射線生物学の副産物として開始された骨髄移植の研究は,動物実験や実験的治療の時期を経て,現在では白血病・再生不良性貧血・先天性免疫不全症・一部の先天性代謝異常などにおいて欠かすことのできない根治療法となるまでに発展した.しかし,その開発の歴史は数多くの困難とそれを克服した先達の努力の歴史でもあった.  骨髄移植を近代的な治療法として確立した最大の功労者はTHOMAS ED博士であった.その功績に対して1990年度のノーベル医学生理学賞が贈られた.骨髄移植に携わる研究者のすべてがTHOMAS博士への授賞を我が事のように喜び,THOMAS博士自身もノーベル賞は骨髄移植に関わるすべての人に贈られたものであると述べられているように,この領域の研究者の間には強い連帯感がある.  わが国においても欧米に遅れはしたものの骨髄移植は着実に進歩をとげ,最近では造血因子や新しい免疫抑制剤の開発などの分野で世界をリードするまでにいたっている.  本書はこれから骨髄移植を学ぼうとしている若い研究者や臨床家に,骨髄移植の基礎と臨床をできるだけわかりやすく解説しようとするものである.骨髄移植は完成された治療法ではなく,まだまだ今後も発展すべきものであり,現在我々が当面している問題点についても多くの紙数をさくつもりである.次代を担う研究者たちがそれらの問題を解決し,骨髄移植をより発展させてくれることを願うものである.  本書を執筆するにあたり,内外の優れた研究者たちの業績に対して深い敬意を表するとともに,浅学非才の著者にこのような著作を可能にした東海大学骨髄移植チームのすべてのメンバーと全国から治療のために我々の施設に来られた患者ならびにその御家族の皆様に心より感謝するものである. 1992年9月 加藤俊一    《目次》 目次 I.骨髄移植の歴史 1 A.骨髄移植黎明期 2 1.空想的移植 2 2.放射線キメラの発見と動物実験の開始 3 B.臨床的研究の開始と原子炉事故 5 1.移植手技の模索 5 2.ユーゴスラビア原子炉事故とMATHE 6 3.HLAの発見 7 4.前処置法の改善 7 5.GVH病の解明と予防法の確立 8 C.近代的骨髄移植の確立 9 1.シアトルとTHOMAS EDの貢献 9 2.国際骨髄移植登録機構(IBMTR)の結成 10 3.cyclosporineの発見と臨床応用 10 D.骨髄移植の完成と新たな展開 11 1.寛解期移植の定着 11 2.骨髄ドナーバンクと非血縁者間骨髄移植 11 3.チェルノブイリ原子炉事故とGALE 13 4.コロニー刺激因子の臨床応用 14 E.日本における骨髄移植の歴史 14 II.骨髄移植の種類 17 A.造血幹細胞と造血因子 18 B.骨髄移植の種類 18 1.異種移植 20 2.同種移植 20 3.自家移植 20 4.培養幹細胞移植 21 5.遺伝子導入骨髄移植 21 III.HLA抗原 23 A.HLA抗原の遺伝子支配 24 1.クラスI抗原とクラスII抗原 24 2.HLA型の表現法 26 3.組換えと連鎖不平衡 27 B.検査法 28 1.血清学的方法 28 2.DNAタイピング 28 3.リンパ球混合培養(MLC・MLR) 31 4.その他 32 C.骨髄移植のドナーの選び方 33 1.家族内 33 2.非血縁者間 34 IV.拒絶と前処置 35 A.拒絶 36 B.放射線照射 37 1.総線量 37 2.線量率 37 3.線量分割 37 4.照射方法 38 5.遮蔽あるいは追加照射 40 C.疾患別前処置法 41 1.白血病 41 2.再生不良性貧血 42 3.先天性免疫不全症と先天代謝異常 43 D.前処置による副作用と全身管理 44 1.汎血球減少 44 2.口内炎 44 3.消化管障害 45 4.膀胱粘膜障害 45 5.心毒性 45 6.肝毒性 46 7.間質性肺炎 46 8.体液と電解質の不均衡 46 V.骨髄の採取と移植 47 A.ドナーの術前検査 48 B.自己血採取 48 C.入院と麻酔科医による術前診察 49 D.骨髄採取 49 1.採取器具と培養液 49 2.採取方法 51 E.ABO式血液型不適合時の対策 54 1.major不適合 54 a.抗体除去法 54 b.赤血球除去法 55 2.minor不適合 55 3.輸注時の注意 55 F.ドナーの術後管理 55 G.骨髄採取の安全性 56 VI.GVH病 59 A.動物実験におけるGVH病のモデル 60 a.runt病 60 b.secondary病 61 c.F1hybrid病 61 d.同系GVH病 62 B.GVH反応のメカニズム 62 1.MHCの異る個体間でのGVH病 62 2.MHC以外のminor組織適合抗原の異る個体間でのGVH病 63 3.F1hybrid GVH病 64 4.同系GVH病 64 5.GVH病の耐性 64 6.感染因子 65 C.GVH病の診断 66 1.急性GVH病 66 a.発症危険因子 66 b.臨床症状と重症度基準 68 c.検査 72 d.病理組織所見 75 2.慢性GVH病 77 a.発症危険因子 78 b.臨床症状と重症度 79 c.検査所見 84 d.病理組織所見 85 D.GVH病の予防 86 1.免疫抑制剤 86 a.methotrexate(MTX) 86 b.cyclosporine A(CYA) 87 c.cyclosporineとmethotrexateの併用 90 2.T細胞除去法 90 E.GVH病の治療 91 1.急性GVH病 91 2.慢性GVH病 92 VII.感染症 95 A.移植後の時期と好発感染症 96 1.早期(移植後30日以内) 96 2.中期(移植後30~100日) 97 3.晩期(100日以降) 98 B.無菌室治療 99 1.無菌室設計上の基本的な考え方 101 a.完全無菌室 101 b.簡易無菌ベッド 103 2.無菌治療の実際 104 a.管理区域内の清浄度維持 104 b.入室前のオリエンテーション 104 c.入室 104 d.腸内および気道内殺菌 105 e.静注による予防的抗生剤の投与 105 f.無菌食 106 C.ウイルス感染症 106 1.単純ヘルペスウイルス感染症 106 2.水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)感染症 107 3.サイトメガロウイルス(CMV)感染症 108 4.EBウイルス(EBV)感染症 114 5.ヒト6型ヘルペスウイルス(HHV-6)感染症 114 6.アデノウイルス 114 7.HBウイルス 115 8.HCV(C型肝炎ウイルス) 115 9.HIV 115 10.その他のウイルス感染症 116 D.その他 116 E.骨髄移植後の予防接種 117 1.DPT(百日咳,ジフテリア,破傷風3種混合ワクチン) 117 2.麻疹 118 3.風疹 118 4.ムンプス 118 5.水痘 118 6.BCG 119 7.ポリオ 119 VIII.免疫能 121 A.顆粒球 122 1.無顆粒球症 122 a.M-CSF 122 b.GM-CSF 123 c.G-CSF 123 2.好中球機能 124 B.リンパ球 125 1.T細胞 125 2.B細胞 126 3.リンパ球幼若化反応 128 4.血清免疫グロブリン値 130 5.各種抗体価 130 6.各種サイトカイン産生能 130 a.IL-1 130 b.IL-2 130 c.IFN-γとTNF 131 IX.長期生存者におけるQOL 133 A.QOLの評価方法 134 B.臓器別機能 134 1.中枢神経系 134 2.循環器系 135 3.呼吸器系 137 4.肝機能 137 5.腎機能 138 6.内分泌機能 138 a.下垂体 138 b.甲状腺 139 c.副腎皮質 139 d.性腺 139 7.小児における成長 139 C.日常生活と社会復帰 140 1.成人 140 2.小児 140 X.白血病 141 A.急性リンパ性白血病(ALL) 142 1.小児 142 2.成人 144 B.急性非リンパ性白血病(ANLL) 147 1.M1~2 149 2.M3 149 3.M4~7 150 C.慢性骨髄性白血病(CML) 150 1.成人型CML 152 2.若年型CML(J-CML) 154 D.骨髄異形成症候群(MDS) 155 E.悪性リンパ腫 156 1.HODGKIN病 156 2.非HODGKINリンパ腫(NHL) 157 a.成人 157 b.小児 157 F.神経芽細胞腫 157 G.再発予防の試み 158 1.前処置の強化 158 2.GVL効果の誘導 160 a.同種骨髄移植 160 b.自家骨髄移植 160 3.自家移植後のpurging 162 XI.再生不良性貧血 163 A.重症度と骨髄移植の適応 164 1.絶対的適応 164 2.拡大適応 165 B.拒絶と前処置 166 1.輸血歴のない症例における前処置 167 2.頻回輸血歴を有する症例における前処置 167 3.FANCONI貧血における前処置 169 C.移植成績 170 XII.遺伝性疾患 171 A.先天性免疫不全症 172 1.重症複合免疫不全(SCID) 172 2.WISKOTT-ALDRICH症候群(WAS) 175 3.その他 176 B.先天性代謝異常 176 1.ムコ多糖症(MPS) 177 2.GAUCHER病 179 3.ムコリピドーシス 180 4.異染性ロイコジストロフィー(MLD) 181 5.副腎ロイコジストロフィー(ALD) 181 C.先天性溶血性貧血 181 1.サラセミア 181 2. 鎌状赤血球症 182 XIII.今後の展望 183 A.同種骨髄移植 184 1.HLA一致同胞間骨髄移植 184 2.HLA部分一致血縁者間骨髄移植 184 3.非血縁者間HLA適合骨髄移植 184 4.培養幹細胞移植 186 B.自家骨髄移植 186 1.骨髄からの腫瘍細胞の除去 186 2.培養幹細胞による移植 187 3.末梢血幹細胞移植 187 4.臍帯血幹細胞移植 187 5.GVL効果の誘導 188 6.遺伝子治療 188 C.その他の応用 188 1.固定臓器移植時の骨髄輸注 189 2.肝機能などとの同時移植 189 むすび 190 文献 191 索引 209

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