輸液ハンドブック

輸液ハンドブック

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  • サイズ A5判/ページ数 479p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784498019089
  • Cコード C3047

出版社内容情報

《内容》 最新の輸液療法の基礎から臨床までをわかり易くかつ実践的に解説した入門的なハンドブックである.まず輸液療法の基礎知識を簡明にまとめ,理論的な理解を図ったあと,内科,外科,小児科,小児外科,麻酔科の症例を示し,それぞれの輸液の考え方,実際を座談会形式で検討することにより,輸液の実施に役立つ具体的知識が身につくよう工夫した.最後に各種病態における輸液処方の実例が示されている. 序  輸液療法は,ブドウ糖液・リンゲル液・生理食塩液の3製剤をイルリガートルと黒いゴム管で点滴していた昭和の始めから,いま市販輸液剤300余,透明プラスチック・留置・ポンプ注入の平成の時代まで,輸液内容も輸液技術も著しく変貌したが,疾患治療の基本的手技としての地位は依然として変りないし,今後も変ることはないであろう.輸液の変貌に応じて,輸液に関する成書もこれまで数多く出版されてきた.本書もその1つではあるが,従来の類書にない特徴をもつ輸液書にすることを目標にした.  第I部は,歴史と基礎的知識であり,従来のどの輸液書にも書かれている輸液の基本的知識であるが,最近の情報を加えるとともに最小限コンパクトにした.  第II部は,実際の輸液症例を対象とした討論記録である.内科・小児科・外科・小児外科・麻酔科の5科が参加し,輸液を必要とした病態,輸液処方の考え方,実施された輸液の臨床効果などにつき,各科からの意見を述べ討論したものである.かなりの頁をこの討論に割いているが,輸液の考え方や輸液の実際を理解するのに,単なる記述よりも,討論というこの形式が極めて有用と考えたからに他ならない.  第III部は,病態別輸液処方である.疾患概念・輸液を必要とする病態について簡潔に記述した後,輸液の具体的処方を記載した,いわば,臨床の場における即戦用ガイドである.  付録として,現在わが国で市販されている輸液剤の一覧表を付した.適応が同じで,かつ類似組成の輸液剤が多種類あり,しかもそれらを混注して効果を上げる輸液法においては,このような包括的かつ組成明記の表は不可欠である.  以上の内容からわかるように,本書は学術書ではない.むしろ現在の輸液をどのように理解し,現在の輸液をいかに有効に行うかを目標にした実用書である.意図はかなり実現されたと思うが,なお不十分と感じられる部分も少なくない.読書のご叱正により改善を期したい. 1994年2月15日 編著者一同    《目次》 目次 第I部 総論 A.輸液療法の定義と歴史 〈越川昭三〉2 1.輸液の定義 2 2.輸液の歴史 3 a.1920年まで 3 b.1920年~1950年 3 c.1950年~1960年 4 d.1960年代における栄養輸液剤の発展 5 e.1960年代における石油化学製品の発展 6 f.1970年代における高カロリー輸液の実用化 7 g.1970年代における測定装置の進歩 7 h.血液製剤と膠質輸液 8 i.1980年代の輸液 9 j.1990年代の電解質輸液 10 B.体液生理の知識 13 1.水電解質代謝 〈丸茂文昭〉13 1.体液の自動制御機構 13 2.Na保持の自動制御機構 15 3.Kの調節とKと酸塩基平衡 18 4.Caの調節 20 5.Pの調節 23 6.Mgの調節 23 2.酸塩基平衡 〈佐々木成〉25 1.酸塩基平衡の概略 25 2.腎の役割 27 3.肺の役割 28 4.酸塩基平衡異常へのアプローチ 28 a.代謝性アシドーシス 30 b.代謝性カルカローシス 30 c.呼吸性アシドーシス 30 d.呼吸性アルカローシス 31 3.糖質代謝 〈遠藤 仁〉32 1.糖質とは何か 32 2.糖質代謝の意議 33 3.解糖系代謝 33 a.代謝経路とATP産生 33 b.解糖系の調節 35 c.腎での解糖系代謝 36 4.グリコーゲン合成と分解 37 a.グリコーゲンの合成 37 b.グリコーゲンの分解 37 c.グリコーゲンの合成,分解の調節 37 5.糖の新生 38 a.糖新生酵素 38 b.腎での糖新生 39 6.五炭糖リン酸回路 39 7.その他の糖代謝 40 8.糖代謝異常 40 a.単糖,二糖類の代謝異常 40 b.グリコーゲン病 40 c.複合糖質代謝異常 41 4.蛋白,アミノ酸代謝 〈浅野 泰〉42 1.蛋白代謝 42 a.蛋白質の消化,吸収 42 b.血中蛋白の代謝 43 2.アミノ酸代謝 43 a.必須アミノ酸 43 b.アミノ酸代謝 44 c.アンモニア処理 45 3.蛋白質,アミノ酸の必要量 47 a.窒素平衡(nitrogen balance) 47 b.蛋白価とアミノ酸価 47 c.蛋白消化吸収率 48 d.必要蛋白摂取量 49 4.アミノ酸輸液での注意点 50 a.熱量と組成 50 b.電解質・ホルモン・ビタミン 50 c.肝,腎機能 50 5.糖質代謝 〈飯野靖彦〉52 1.脂質の役割 52 2.脂質の種類 52 a.脂肪酸 54 b.中性脂肪 55 c.グリセロリン脂質 55 d.リポ蛋白 56 e.アポリポ蛋白(アポ蛋白) 57 3.脂質の代謝 57 a.外因性脂質 57 b.内因性脂質 57 4.脂肪輸液剤の代謝 59 5.ホルモンによる調節 59 6.ビタミン代謝 〈出浦照國〉60 1.ビタミンの生理作用 60 2.ビタミン欠乏 61 a.ビタミン欠乏の原因 61 b.ビタミン欠乏症状の出現 61 c.ビタミン欠乏による症状 63 d.ビタミンの補充 63 3.ビタミン投与量の決定 64 4.完全静脈栄養におけるビタミン製剤 66 a.ビタミン輸液製剤 66 b.ビタミン投与手技上の問題 66 7.微量金属 〈塚本雄介〉67 1.亜鉛(Zn) 67 2.セレン(Se) 68 3.フッ素(F) 69 4.クローム(Cr) 70 5.マンガン(Mn) 71 6.モリブデン(Mo) 71 7.バナジウム(V) 71 C.輸液製剤の特徴 〈富田公夫〉73 1.水 電解質輸液剤の使用上の原則 73 2.電解質輸液剤の特性 75 a.基本輸液剤 75 b.複合電解質輸液剤 75 c.単純電解質輸液剤 77 d.糖液輸液剤 79 D.輸液量の決定法 〈北岡建樹〉80 1.輸液治療の計画とその手順 80 2.維持輸液療法の考え方 83 a.水分の維持量 83 b.Naの維持量 84 c.Kの維持量 84 d.熱量 85 3.維持輸液療法における投与量 85 4.欠乏量輸液療法の考え方 85 5.Naおよび水分欠乏量の推定法 88 6.Kの欠乏量の推定法 89 7.欠乏量輸液法の投与量と投与速度 89 8.輸液の安全限界 90 9.輸液療法の注意事項 91 E.輸液器具と手技 〈松田治〉93 1.輸液,輸血器具の種類と使い方 93 a.輸液剤容器 93 b.輸液セットの基本構造 94 c.輸液セットの特殊付属部品 96 d.末梢用静脈針 96 e.静脈カテーテル 98 f.輸血セット 98 g.輸血フィルター 98 h.輸液ポンプと持続注入ポンプ 99 2.輸液手技 100 a.輸液部位 100 b.穿刺法 100 c.穿刺手技 102 d.静脈切開法 104 e.投与速度の調節 104 f.薬液混注 104 F.輸液の管理 副作用と合併症 〈木嶋祥麿〉105 1.副作用 105 a.通常の輸液療法でみられる副作用 105 b.高カロリー輸液療法(IVH)による副作用 107 2.合併症 111 a.CVカテーテルに伴うトラブル 111 b.感染症・カテーテル敗血症 112 第II部 症例による輸液の実際 はじめに 116 症例1 乳児下痢症(1歳4カ月,男児) 126 症例2 先天性幽門狭窄症(2カ月11日,男児) 136 症例3 先天性肥厚性幽門狭窄症(2カ月,男児) 141 症例4 糖尿病性昏睡(14歳,男児) 147 症例5 広範囲腸管内神経節低形成症(1歳2カ月,男児) 156 症例6 神経芽細胞腫(1歳,男児) 164 症例7 横紋筋肉腫(4歳,男児) 174 症例8 右視床出血,脳室穿破(70歳,女性) 180 症例9 多発性骨髄腫,急性賢不全(59歳,男性) 187 症例10 SJOGREN症候群(42歳,女性) 195 症例11 神経性食思不振症(18歳,女性) 205 症例12 急性骨髄性白血病(84歳,女性) 212 症例13 卵巣腫瘍(47歳,女性) 220 症例14 急性賢不全(41歳,男性) 230 症例15 central pontine myelinolysis(54歳,女性) 238 症例16 SHEEHAN症候群(70歳,女性) 247 症例17 閉塞性黄疸(58歳,女性) 254 症例18 胆管感染症(64歳,男性) 263 症例19 総胆管結石,胃癌(80歳,男性) 271 症例20 食道癌(69歳,男性) 280 症例21 S字状結腸腫瘍切除術(63歳,男性,160cm,75.5kg) 293 症例22 胃,十二指腸切除術(68歳,男性,158cm,64kg) 296 症例23 内視鏡的前立腺摘出術(73歳,男性,168cm,62kg) 301 症例24 僧帽弁置換術・血栓除去術(49歳,男性,160cm,56kg) 307 第III部 病態別輸液処方 A.電解質異常 〈越川昭三〉314 1.脱水 314 2.高Na血症 317 3.低Na血症 319 4.高K血症 321 5.低K血症 323 6.高Ca血症 325 7.低Ca血症 326 8.高P血症 327 9.低P血症 328 10.Mg代謝異常 329 11.代謝性アシドーシス 330 12.代謝性アルカローシス 332 13.呼吸性酸塩基平衡障害 333 B.栄養輸液 〈越川昭三〉334 1.末梢静脈栄養 334 2.中心静脈栄養 特徴と適応 336 3.中心静脈栄養の実際 337 4.高カロリー輸液における栄養輸液剤 338 5.高カロリー輸液基本液の特徴 339 6.薬剤のNa含有量 341 7.間欠高カロリー輸液と在宅高カロリー輸液 343 8.経腸栄養 344 C.内科 〈越川昭三〉345 [中枢神経疾患] 1.脳卒中 345 2.意識障害 347 [循環器疾患] 3.心不全 348 4.急性心筋梗塞 350 5.心肺蘇生術におけるNaHCO3,Caの輸液 351 [腎疾患] 6.浮腫 352 7.急性賢不全(ARF) 354 8.慢性賢不全(CRF) 359 9.尿細管性アシドーシス(RTA) 363 [呼吸器疾患] 10.呼吸不全 366 11.気管支喘息 368 [消化器疾患] 12.肝不全 370 13.急性膵炎 372 14.嘔吐・胃液喪失 373 15.下痢 374 [内分泌代謝疾患] 16.糖尿病性ケトアシドーシス 375 17.非ケトン性高浸透圧性昏睡 377 18.糖尿病患者の維持輸液 379 19.乳酸性アシドーシス 381 20.SIADH 382 21.副腎皮質不全 383 22.周期性四肢麻痺 384 [腫瘍] 23.癌 385 24.HHM 389 [高齢者] 25.高齢者 390 D.小児科 〈藪田敬次郎〉391 1.乳児(小児)下痢症 391 2.アセトン血性嘔吐症 393 3.先天性副腎過形成 395 E.外科 〈若林 剛・北島政樹〉397 1.術前輸液 397 2.術後輸液 399 3.ショック 401 4.熱傷 403 5.多臓器障害 404 6.経静脈栄養から経腸栄養へ 405 F.小児外科 〈遠藤昌夫〉406 1.新生児消化管穿孔 406 2.先天性十二指腸,空腸閉鎖 409 3.肥厚性幽門狭窄症 413 4.栄養失調例(高位腸瘻など) 414 G.麻酔科 〈小川 龍〉416 1.予定された麻酔,手術中の輸液 416 2.緊急麻酔,手術患者の輸液 420 3.集中治療の輸液 422 4.救命救急の輸液 426 附1 輸液製剤一覧 428 1.複合電解質輸液剤 428 A.細胞外液補充液 428 B.開始液 430 C.維持液 432 D.脱水補給液 434 E.術後回復液 434 2.電解質補正液 436 3.高カロリー輸液用基本液 438 4.糖製剤 440 5.アミノ酸輸液剤 442 A.一般アミノ酸 442 B.特殊配合アミノ酸 448 6.静注用脂肪乳剤 450 7.微量元素配合剤 450 8.高カロリー輸液用総合ビタミン剤 450 9.浸透圧製剤 452 10.血漿増量剤 454 11.血漿代用剤 454 12.透析液 456 13.内服用電解質剤 458 14.新鮮凍結血漿の使用基準 460 15.アルブミン製剤の使用基準 461 附2 輸液関連用語一覧 〈猪爪信夫・乾 賢一〉464 索引 474