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出版社内容情報
《内容》 各種の疾患の診療の際に呼吸器系,循環器系,神経系等夫々の病態が示すパラメータの変化を把握することは極めて重要である.また最近の医工学の急速な発展によりこれらのモニター機器は著しい発展を遂げた.本書は各系統ごとの夫々のパラメータの意義とそのモニタリングの実態を明快に解説したものである.序 ベッドサイドをはじめICU,手術室のモニターは最近急速に進歩発展している領域である.それだけに,現場で機器を使用して医療を行っていく医師やナース,パラメディカルの方々は,個々の装置に接しながらそれが医療全体の中でどういう意味があるのか位置づけがむずかしい.それにもかかわらず,モニターの現状な使い方を分析解説した書物はほとんどないに等しい.それが本書を編集し上梓する理由である.したがって,本書は診療を担当する若手医師やナース,機器の使用や管理にかかわるパラメディカルの方々,さらには機器の開発や販売を担当する方々までを対象としている. 本書では,モニター機器を実際に使用する立場の方々に執筆をお願いし,さらに執筆者の数を少く絞る方針を採用した.この方針のお蔭で内容の重複もほとんどなく,ほぼ予定の期間内に完成にこぎつけることができた. 内容は標準的である.まず呼吸と循環を中心においた.呼吸面としては標準的なパラメーターの他に,血液ガス,パルスオキシメーターの解説に力をいれた.循環ではモニターの中心であるEKGと循環動態のパラメーターの解説,新しい手法であるエコーなどを解説した.さらに,筋弛緩,腎機能のモニターを含め,血液の凝固能などのモニターも解説した.体温と代謝,脳と脳循環などのモニターはなかなか確立しないが,現状と近い将来の動向を考察しているる 臓器系統別の考察以外に,機器によってとらえるアプローチと古典的な症状との関係,モニターと臨床検査との関係,機器としてのモニターの基礎,モニターとコンピュータとの関係も考察している.さらには“なぜモニターが必要か”という理念にも少しページをさいている.モニターの将来と今後の動向にも考察を加えた. 完成した書籍の出来栄えを,編集者の立場であえて述べればなかなかよくできており,所期の目標は達成できていると思う. 医学書は,とくに分担執筆の場合,計画してから完成まで何年もかかるのが普通である.モニターのように進歩の速い領域では活字になった時点ですでに時代遅れになっている可能性も高い.本書が異例の短期間で完成にこぎつけることができたのは,各著者の方々の努力の賜物であり,編集者としてお礼を申し述べるとともに,本書の完成を祝いたい.1993年5月諏訪邦夫奥村福一郎 《目次》 目次§1なぜ機器によるモニターが必要か 1.モニターはなぜ必要か 〈諏訪邦夫〉1 a.監視に機器は必須か 1 b.機器と人間との相互関係 重症患者のケアはなぜモニターや検査に頼るか 人は判断は得意だが感知は不得意 1 c.「人」は高価になった 2 d.一人の医師が,一人のナースがどれだけカバーできるか 3 e.結局機器によるモニターがC/Pがいい 3 2.監視パラメーターと制御パラメーター 3 3.要求される機器の機能とパラメーターの性格 4 a.理想的なモニターの条件 生理的意義の確立したパラメーターが重要 4 b.費用の問題 5 c.用語の問題:モニターとモニタリング 5§2モニターの実際I.呼吸計のモニター 〈丸川征四郎〉7 A.換気とガス交換 7 1.呼吸のモニタリングに必要なパラメーター 7 2.呼吸していることのモニタリング 7 a.理学的所見によるモニタリング 7 b.呼気炭酸ガスの検知 8 3.呼吸数と換気量をどうモニターするか 9 a.呼吸数 9 b.換気量 10 4.気道内炭酸ガスはどうモニターするか 12 5.気道内圧はどうモニターするか 15 6.換気のパターンをモニターするには 16 a.単一のパラメーター 16 b.複数のパラメーター 16 7.胸式と腹式を区別する 18 8.奇異呼吸はないか 19 9.回路の接続をモニターするには 19 B.血液ガス 20 1.血液ガスで何がわかるか 20 a.酸素の情報 20 b.炭酸ガスの情報 20 c.酸塩基平衡 20 2.直接に測定される値と,計算値がある 20 3.採血をうまくやるには 21 a.嫌気的採血 21 b.患者の状態 22 4.採った血液の保存法は 22 5.血液ガス測定装置にまつわる問題 23 6.得た数値をどう評価するか 24 a.血液ガス 24 b.酸塩基平衡 25 c.体温補正を加えた評価 25 7.どこで測定するか 25 C.パルスオキシメーター 26 1.パルスオキシメーターとは何か 26 a.歴史 26 b.測定原理 26 c.構造 27 2.パルスオキシメーターで何がわかるか 27 3.パルスオキシメーターはなぜ優秀なモニター機器か 28 a.高い測定精度,速い応答 28 b.測定操作が容易 28 c.生体への障害がない 29 d.場所をとらない 29 e.視覚と聴覚による表示 29 4.パルスオキシメーターの注意点 29 a.識別不能 29 b.測定範囲 29 c.プローベと患者条件 29 d.アーチファクト 29 e.低い感度 30II.循環系のモニター 31 A.一時的モニター 31 A-1 動脈圧 〈奥村福一郎〉31 1.非連続的血圧測定法 31 a.触診法 31 b.聴診法 31 c.oscillation法 32 d.超音波ドップラー法 32 2.連続的血圧測定法 33 a.非観血的方法 33 b.観血的方法 33 どこで動脈穿刺をするか/穿刺部位により血圧はどのように変るか/動脈波形から何がわかるか A-2 中心静脈圧 〈奥村福一郎〉40 1.どのように測定するか 40 a.カテーテルの挿入部位 40 b.基準をどこにとるか 40 2.正常値はいくらか 40 3.どんな波形か 40 4.CVPに影響する因子 41 5.CVPから何がわかるか 42 a.波形の変化から何がわかるか 42 b.CVPから循環血液量が推測できるか 42 c.CVPから心機能が推測できるか 42 A-3 肺動脈圧 〈奥村福一郎〉44 1.肺動脈カテーテルの構造 44 2.肺動脈カテーテルの挿入法 45 3.PCWP波形はどんな形か 45 4.肺動脈カテーテルを用いて得られるパラメーターから何がわかるか 45 a.右房圧 46 b.肺動脈圧 47 c.肺動脈楔入圧 48 d.心拍出量 51 e.持続的Svo2モニター 51 f.肺動脈カテーテルから得られた測定値から計算により得られるパラメーター 52 5.肺動脈カテーテル使用による合併症 52 A-4 左房圧 〈奥村福一郎〉53 A-5 心拍数と脈拍数 〈奥村福一郎〉54 1.心拍数と脈拍数はどのように測定するか 54 a.心拍数の測定方法 54 b.脈拍数の測定方法 54 2.脈拍から何がわかるか 54 a.脈が触れるか,触れなければ他の部分はどうか,左右差はあるか 54 b.数はどうか 55 c.リズムはどうか 55 d.脈拍の大きさはどうか 55 e.緊張度はどうか 55 f.血管の性状はどうか 55 g.その他の異常脈拍 55 A-6 心電図 〈森田茂穂〉57 1.心電図の誘導法 57 2.重要な異常心電図 58 a.調律異常 58 頻脈性調律異常/徐脈性調律異常/期外収縮/ブロック/その他 b.虚血変化 70 ST偏位/T波の異常/Q波の異常 c.その他の重要な異常変化 74 QT延長/電解質異常 A-7 心拍出量 〈森田茂穂〉79 1.どのような方法があるか 測定法 79 a.Fick法 79 b.色素希釈法 79 c.熱希釈法 80 d.ドップラー法 80 e.経食道心エコー 80 2.心拍出量から何がわかるか 80 a.1回拍出量 80 b.心係数 80 c.全末梢血管抵抗 80 A-8 経食道心エコー 〈安藤富男〉82 1.どのようにモニターするか 82 a.プローベ 82 b.適応と禁忌 83 c.操作法 83 d.断層面の設定 84 2.何がわかるか 86 a.心大血管疾患の診断 86 僧帽弁疾患/大動脈弁疾患/大動脈と冠動脈/心房中隔 b.心機能の評価 88 左心機能の評価/左室局所機能の評価 B.総合的モニター 〈森田茂穂〉91 B-1 負荷 91 1.定義 91 a.前負荷 91 b.後負荷 91 2.各々の指標 93 a.前負荷の指標 93 b.後負荷の指標 93 B-2 心機能 94 1.定義 94 a.心ポンプ機能 94 b.心筋機能 95 c.収縮機能と拡張機能 95 2.心機能の指標 95 a.等容収縮期の指標 95 b.駆出期の指標 97 c.弛緩期の指標 98 d.圧 容積関係の指標 99 e.その他 102 B-3 心筋虚血 何をモニターするか 103 1.心電図 104 2.肺動脈楔入圧 105 3.心エコー 105 4.RPPまたは二重積 105 5.TTI 105 6.EVR 106 7.心磁図 106 8.心筋シンチブラフィー 106 9.PET 107III.筋弛緩のモニター 〈稲田英一〉108 1.いつ筋弛緩モニターが必要か 108 a.筋弛緩薬を投与する場合 108 b.筋弛緩薬を拮抗する場合 109 c.重症筋無力症の診断 109 2.筋弛緩モニターでわかること,わからないこと 110 a.筋弛緩モニターは神経筋遮断の性質を見分ける 110 b.筋弛緩の程度がわかる 110 c.筋弛緩の程度は筋肉群で異る 111 d.筋弛緩モニターの感受性はそう高くない 111 3.筋弛緩をモニターする方法 111 a.四連刺激法 112 b.単収縮 112 c.double-burst刺激 112 d.誘発筋電図 112 e.テタヌス 112 f.post-tetanic count 113 4.筋弛緩をモニターする装置と使い方 113IV.腎機能のモニター 〈稲田英一〉114 1.腎機能をどうモニターするか 114 2.尿量の基準は 114 3.尿成分の分析で何がわかるか 115 a.乏尿の鑑別 115 b.腎機能低下の程度の診断 116 c.電解質異常の診断 117 d.内分泌異常の診断 118 4.腎機能モニターの今後の方向 118V.血液によるモニター 〈稲田英一〉120 1.血液分析からわかること 120 2.凝固能をどうモニターするか 120 a.出血時間 121 b.プロトロンビン時間 122 c.活性化部分トロンボプラスチン時間 122 d.トロンビン時間 122 e.活性化凝固時間 123 f.トロンボエラストグラム 123 g.フィブリノーゲン 123 h.フィブリン,フィブリノーゲン分解産物 123 3.抗凝固薬の拮抗 125 a.heparinの拮抗 125 b.warfarinの拮抗 125 c.ウロキナーゼ・ストレプトキナーゼ 125 d.aspirin 125VI.代謝と体温のモニター 〈稲田英一〉127 1.なぜ体温モニターが必要か 127 2.各測定部位により何がわかるか 128 3.深部体温測定とは何か,それで何がわかるか 129 4.代謝をどうモニターするか 129 5.電解質のモニター 130 a.ナトリウムの異常 130 b.カリウムの異常 131 c.マグネシウムの異常 131 6.糖,脂質の代謝モニター 131 a.血糖 131 b.尿糖・尿ケトン体 132 c.脂質 132 7.肺ガス交換からわかる代謝のパラメーター 132 8.血液分析からわかる代謝のパラメーター 132 a.乳酸 132 9.その他のパラメーターによる代謝モニター 132VII.脳と脳循環のモニター 〈稲田英一〉134 1.脳のモニタリングはなぜあまり行われないのか 134 2.脳のモニターにはどんな方法があるか,それから何がわかるか 135 a.電気的方法 135 脳波/誘発電位 b.代謝 138 酸素/糖 c.圧 139 頭蓋内圧/断端圧 d.血流 141 e.脳の酸化還元状態 141 3.脳の機能の分析と健常性の分析 141 4.脳循環はどのようにモニターするか 142 5.脳のモニターへの夢 142§3古典的な症状と計測によるモニターとの関係 1.呼吸系の症状,徴候とモニターとの関係 〈諏訪邦夫〉145 a.換気 145 b.ガス交換 147 2.循環系の症状,徴候とモニターとの関係 147 a.心臓の機能 147 b.末梢循環 148 3.脳・脊髄・自律神経 148 a.脳と脊髄 148 b.自律神経 149 4.その他 149 5.薬物の作用 149§4モニターと測定,臨床検査との関係 1.モニターと測定の関係 〈諏訪邦夫〉 151 a.心拍出量の測定 151 b.パルスオキシメーター 152 c.2つのモニターから何を学ぶか 152 2.臨床検査とモニターとの性格の差 パラメーターとしての差 153 a.頻度 153 b.健常性のチェックか“診断”か 153§5機器としてのモニターの基礎 1.アナログ信号とディジタル信号 〈田中義文〉155 2.アナログ信号の処理技術 155 a.入力抵抗と出力抵抗 155 b.OPアンプについて 156 c.OPアンプの回路設計 157 d.OPアンプ回路の応用 158 3.ディジタル信号の処理技術 160 a.ディジタル信号の電気条件 160 b.ディジタル回路 161 c.アナログ信号とディジタル信号との結合 162 4.ハードウェアのまとめ 164§6モニターとコンピュータとの関係 1.ディジタルデータ通信 〈田中義文〉165 a.セントロニクスインターフェース 165 b.GP-IBインターフェース 167 c.RS232Cについて 169 d.イーサネットについて 171 2.割り込み処理とオペレーティングシステム 172 3.モニター装置とコンピュータとのデータ通信 173 4.モニターシステムの結合 175 5.将来に向けて 178§7モニターの将来 1.モニターとして何が必要か 〈諏訪邦夫〉181 2.モニターとして何が不足か 181 3.テクノロジーからみたモニターの将来 182 a.近赤外線による脳組織酸素の測定 182 b.ドップラー流量計による脳血流の測定,分析 183 c.ガスの分析に関して 183 d.コンピュータテクノロジー 183 e.ソフトウェアの普及に関して 184 f.情報電子化の必要性 184 g.近未来における問題点 186索引 189