免疫学ハイライト<br> 神経,免疫系の相互調節

免疫学ハイライト
神経,免疫系の相互調節

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  • サイズ A5判/ページ数 185p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784498006928
  • NDC分類 491.8
  • Cコード C3047

出版社内容情報

《内容》 最近,免疫学的に精神,神経系および内分泌系の疾患を解析する作業が多角的に進められているが,それらの研究により得られた免疫異常についての最新の情報をまとめた.精神免疫,神経免疫,内分泌免疫の解説から,免疫,神経,内分泌系それぞれの情報伝達機構とその相互調節機構を具体例を多数示して説いている.免疫系と精神,神経,内分泌系の興味深い関連を縦横無尽に論じたユニークな書として是非一読をおすすめする. 序  昭和26年の3月,私が日本赤十字社中央病院でインターン生としての実地修練が終りかけていた時,東陽一院長に“国連血液銀行”(United Nations Blood Bank)でblood bankingとblood transfusionについて学んでみたらという助言をいただきました。東院長よりの,このadviceが私の今日までの血液一筋のマラソンランナーとしてのハシリとなったのです。  UN Blood Bankは,丸の内の旧都庁の前の赤レンガの三菱7号館に位置し,当時,挑戦戦争での戦火のなかで傷ついた人々に対する“血液銀行”の活動を私は身をもって体験いたしました。と同時に,“輸血医学”の重要さをしみじみと感じさせられました。ことに,それまで閉ざされ,入手できなかった情報が戦後になって開かれたことによって,輸血を通じて多様化した血液型が続々と発見されていることを知らされました。  そこで,東京医科歯科大学法医学教室で血液型についての修練を受けることにいたしました。この時代で私に最も衝動的で感動的であったのは,その頃,東京大学伝染病研究所(いわゆる伝研)で“血液型物質”の1つであるglobosideの化学に専念されていた山川民夫先生(後の東大医学部生化学教授)との出会いでした。  その後,25年間のアメリカ生活が私に始まりましたが,その頃から“免疫学”に接触する機会が多くなり,血液型の免疫学を中心に輸血医学や血液疾患についての修練を受けておりました。 ところが,奇しくもNIHでRoscoe O. BradyのNeurochemistryグループに編入され,赤血球の膜表面の血液型物質と神経細胞の糖脂質,ことにgangliosideという2つのランニングコースを与えられ,免疫学という背番号を背負って走らされました。さらに今度は,神経系の疾患という課題も加えられ,私のマラソンのゴールがいよいよ遠くに感じさせられるようになりました。  アメリカ国籍をもったまま帰国し,故郷の柳川で川下りしているとき,ふと神経系と免疫系をつないでみる作業をやってみようと考えました。  私は,本書に記載した分野のいずれの専門家でもありません。それにしても,本書を綴っているうちに,私には知らないことが余りにも多すぎることに気がつきました。それでも,知らないことをなんとか知りたいと思ってチャレンジしてみました。人それぞれに,それぞれの考え方があります。1つの課題を縦に奥深く,忍耐強く追及し,解明してゆく科学者には敬服いたします。そして,その独創的な発想による仕事の成果は感動に値します。そこで,私は,それらの情報を拾い読みしながら,自分なりに横に連ないでみようと試みました。  私にとって知らないことや解からないことの多い科学の道を,マラソンのゴールが見えるまではなんとしても走り続けてみたいと思います。 1993年7月20日 横山三男    《目次》 目次 はしがき 1 I.精神免疫 5 A.精神病にみられる免疫異常 6 B.精神病はウイルス感染症かストレス症か 9 C.精神病は遺伝子の異常症か 11 II.神経免疫 13 A.神経疾患とウイルス感染 13 B.神経病と神経伝達物質との関係 15 III.内分泌系の免疫病 19 A.内分泌疾患と自己免疫 19 B.自己免疫が関与する生殖器疾患 23 IV.神経系と免疫系との関連を探る 27 A.細胞の膜表面に存在する機能分子 とくに糖脂質について 28 B.糖脂質の蓄積症 35 C.麻酔と免疫 39 D.星状神経節ブロックと免疫 43 E.ハリ刺激と免疫 48 F.視床下部と免疫 52 V.神経系 内分泌系 免疫系の機能の仕組み 59 A.神経系の情報伝達機構 60 B.内分泌系の情報伝達機構 62 C.免疫系の情報伝達機構 65 VI.神経系と内分泌系そして免疫系との対話 71 A.細胞膜表面に存在する機能分子からみた類似性 71 B.神経・内分泌系による免疫系の調節 73 C.神経ペプチドが免疫細胞からも産生されている 77 D.免疫細胞から放出されるサイトカインが神経系に作用している 79 E.神経系の細胞からサイトカインが産生される 82 F.神経線維がリンパ系の組織に分布している 84 VII.神経系および免疫系の細胞接着因子 87 A.接着因子の種類と機能 90 B.カドヘリン分子群(Cad) 90 C.イムノグロブリンスーパーファミリー(IgSF) 91 1.免疫系の細胞に存在するIgSF 92 a.LFA-2 92 b.LFA-3 92 c.CD4,CD8,MHC抗原およびTCR 92 2.神経系およびその他の組織に存在するIgSF-NCAM 93 D.インテグリンスーパーファミリー(ISF) 94 1.免疫系の細胞に存在するインテグリンスーパーファミリー(ISF) 95 a.LFA-1(CD11a/CD18) 95 b.Mac-1(CD11b/CD18)とp150/95(CD11c/CD18) 96 c.VLAファミリー 96 2.免疫系以外に存在するインテグリンスーパーファミリー(ISF) 97 E.その他の接着因子 98 VIII.免疫病ことにアレルギー性疾患に関与する神経ペプチド 99 A.サブスタンスP(SP) 100 B.SPによる即時型アレルギー反応 101 C.SPと炎症反応ならびに組織の修復 105 D.SPによる液性および細胞性免疫の調節 108 IX.心の動きと免疫 111 A.ストレスと免疫のあらまし 112 B.心理的ストレスと免疫 116 C.宇宙飛行士の免疫能 117 D.配偶者の死別と免疫 118 E.結婚生活の破綻と免疫 123 F.試験ストレスと免疫 128 X.ストレスの種類と免疫応答 133 XI.感覚系と免疫系 141 A.「におい」と免疫 144 B.ストレス癌遺伝子 151 C.ストレスタンパクと免疫 152 XII.脳の異対称と免疫 155 A.脳の異対称性 155 B.2つの半球と免疫 159 C.利き手と免疫 167 XIII.学習や記憶は遺伝子と関係するか 175 おわりに 177 文献 179 索引 183

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