内容説明
唐代の説話集から、六朝以来の「志怪」の特徴を残しつつ著者の主張も盛り込んだ「玄怪録」(牛僧孺)と、創作的な要素が強く話のおもしろさを追究する姿勢が見られる「伝奇」(裴〓)を訳出。伝承説話(志怪)から創作性に富んだ短編小説(伝奇)への変遷をみる。
目次
古小説鉤沈「列異伝」補遺(『古代中国の語り物と説話集』第二章第四節の補遺)
玄怪録
伝奇
「玄怪録」と「伝奇」(まとめ)
著者等紹介
高橋稔[タカハシミノル]
1936年東京都に生まれる。東京大学大学院人文科学研究科中国文学専攻博士課程単位取得退学。私立武蔵学園高等学校教諭を経て、1974年東京学芸大学講師、翌年助教授、1977年教授就任。1993年山形大学教育学部教授。2003年定年退職。語り物研究者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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5
江戸川乱歩の倉にあった資料。『志怪小説』に興味をもち、手に取った本です。何も知らなかった。ヨーロッパ諸国の民間伝承編纂と同じく『ペロー童話集』のような中国の逸話集の出生とその複雑な系譜を学びました。聞いたことのなかったたくさんの逸話集の源流に『志怪』根強く流れている。ますます興味が広がります。中国に伝わる逸話なので、目新しい逸話、ファンタジーを楽しみました。2022/01/12
アル
2
前著に比べると考察は「序」と「まとめ」以降におかれ、メインは『玄怪録』と『伝奇』(および『列異伝』補遺)の訳文が占める。 印象に残ったのは『伝奇』収録作に南海や番禺など、南方を舞台にした話が多かったこと。時代的に南方地域が発展していたのか、あるいはエキゾチシズム的な興味の結果だろうか。 訳はわかりやすく、意訳した箇所も注で原文との差異が挙げられており親切。 著者の考察も興味深いが『伝奇』「周邯」を構成が矛盾した失敗作とするのは疑問。異才の持ち主が才に奢って破滅するのは、むしろ典型的な筋立てではないか。2019/03/25
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