内容説明
二〇〇〇年前の人びとは何をどのように食べていたのか。曹操や諸葛孔明が活躍する裏側で、庶民はどのように暮らしていたのか。戦地から母親に宛てた手紙の内容とは。墓地や井戸から発見された木簡・竹簡をはじめとする文字資料、画像石などの絵画資料、さらに刀銭、楽器、壷などを含めた出土品は、さまざまなことを語りかけてくる。気候の変動、文字の変遷、儒教の拡大と発展、大昔の裁判と刑罰の実態、官吏の仕事ぶり、占いとゲームの関係…。近年飛躍的に増加している中国の新出土資料。これらを使って何がわかるのか、どこからどのようなものが出てきたのか。歴史・文学・思想・考古・医学など多方面にわたる研究者が最新の成果を紹介する。
目次
第1章 出土資料でわかること(地下の文書館を掘る;殷周時代の文字資料―甲骨文・金文;ベールを開いた「法治」;大昔の犯罪捜査と裁判を覗く;王様と暦 ほか)
第2章 どこから何が出てきたか(敦煌・トゥルファン(甘粛省・新疆ウイグル自治区)
エチナ~居延(内蒙古自治区)
馬王堆(湖南省)
銀雀山(山東省)
鳳凰山(湖北省) ほか)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Wataru Hoshii
5
近年、中国の出土資料研究が活気を帯びているのは、やはり急速な経済発展に伴う開発の結果だろう。主にこの分野に興味を持つ学生さん向けに、日本の研究者が自分の研究トピックについて書いた文章をまとめたもの。実に多種多様な研究成果があって、この分野が豊穣な中国古代史のへの新たな入口であることがよくわかる。「老子」などの伝承文献に新たな解釈が生まれたり、失われた書物が出てきたり、古の人々の生活が垣間見えたり。出土資料は盗品や偽造品が横行し、研究過程で史料としての正統性が常に問われているのも、リアルで面白い。2022/03/20
EnJoeToh
4
良い本。2016/08/09
takao
2
ふむ2022/09/19
amr
1
文章がとても易しくて読みやすいな〜と思ってたら、わたしみたいな普通の人でも読みやすいようにあえてそう書いてあるみたい!親切!2015/01/08
さとうしん
1
触れなきゃいけない資料については大体カバーできていると思うが、甲骨文については半章ではなく丸々一章を割いて貰いたかったなと。出土地点と内容との関連性に着目するなど、甲骨文へのアプローチは昔とは随分違ってきていますし。金文については、宝鶏太公廟村や梁帯村芮国墓地を取り上げるなら、天馬・曲村晋侯墓地の方が良かったんじゃないかと。これなら出土品と盗掘品との関係についても論じられますし。最後の冨谷至氏の「骨董簡」についてはまあ同意。出土地不明の資料についてはこういうことを踏まえたうえで使わないと仕方ないかなと。2014/07/11