内容説明
日中戦争下の臨時首都・重慶。戦火を逃れた文化人が集った「二流堂」―。郭沫若に命名され、劇作家夏衍・呉祖光・曹〓(ぐ)・陽翰笙や老舎、漫画家丁聡など多彩なひとびとが行き交い、良識のもとに活動を展開した。しかし文化大革命中に批判を受け、周恩来に庇われながらも、その政治的な名誉回復は後年まで遅れた―。抗戦下の重慶で芸術に運命を賭けたひとびとの営みと、文芸界・演劇界の様相を、哀惜をこめて活写する。
目次
序幕 幻の文士劇「屈原」
文芸カフェ「ペテーフィ倶楽部」
「二流堂」の工程師、唐瑜
救亡演劇、「香港」舞台―金山・王瑩の踏ん張り
裏街道の仕事師、潘漢年
翻訳文化と活字文化―馮亦代
「二流堂」の世話役―戴浩
霧季戯劇節―夏衍
文工会副主任―陽翰笙
全方位演劇人―曹〓(ぐ)
『正在想』からメキシコ万歳へ
生真面目な「どたばた喜劇」―老舎
テロリズム賛歌『野玖瑰』
応雲衛に献じた『戯劇春秋』
中華劇芸社の書き手、陳白塵
中国芸術劇社の成立
“尾声” 霧・山城・演劇―大後方の文学者たち 重慶再游ルポ
著者等紹介
阿部幸夫[アベユキオ]
1929年生。実践女子大学大学院元教授。中国近現代文学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。