内容説明
専制に反対する自由民権論者は弱の側に立って専制と対決すべきである、…専制を覆すために他国に干渉して何が悪い、…このような括弧つきの「正義」と明治日本人が持っている思春期ナショナリズムとが結合したとき、それはたいへんな国民的エネルギーとなって、朝鮮のみならず中国に対しても爆発した。このエネルギーの赴くところ、当初は隣国に対する解放ないし独立の役割を果たしながら、たちまち日本のナショナリズムの大波に乗じて、あらたなる専制者植民地権力として隣邦の民に臨むのである。およそすべての歴史には光と影がある。日本の近代史もまた光と影に満ち充ちており、その影の部分が、まさに、強者として隣邦に臨んだ傲然たる近代日本の軌跡となったのである。
目次
1 日本人と中国(日本人の中国観―高杉晋作らの場合;中国革命と日本人―岸田吟香の場合 ほか)
2 宮崎滔天(滔天と清国革命はどうして結びついたか;宮崎滔天 ほか)
3 鈴江言一(ある無名の革命家―鈴江言一年譜)
4 アジアの中の日本人(書評『中江丑吉書簡集』―真理への信仰告白;ある無名の先駆者―岸要五郎小伝 ほか)
著者等紹介
衛藤瀋吉[エトウシンキチ]
1923年、旧満洲奉天生まれ。東大法学部在学中、学徒動員で陸軍へ。広島にて被爆。復員後、東大法学部卒業。東京大学東洋文化研究所助手、東京工業大学助教授、東京大学教養学部助教授を経て、同教授。この間、コロンビア大学東アジア研究所高級研究員、プリンストン大学客員教授、ハワイ大学客員教授も務める。東京大学退官後、青山学院大学教授、亜細亜大学学長、東洋英和女学院院長も歴任。アジア政経学会理事長、アジア研究協会理事長なども務める。現在、東京大学名誉教授、北京大学客座教授。第一回吉野作造賞、第七回福岡アジア文化賞(学術研究賞)受賞。紫綬褒章・勲二等瑞宝章受章
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