出版社内容情報
なぜヨーロッパ人は地球規模の帝国を築くのに成功したのか。火器の大々的な活用によって陸海の戦争遂行能力が向上していく過程と、その世界史的インパクトを描く。
目次
1 ヨーロッパの軍事革命
2 戦争の需要と供給
3 海上の勝利
4 非ヨーロッパ世界の軍
5 革命のかなたへ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
in medio tutissimus ibis.
2
火器革命は野砲により欧州の攻城戦を一時は加速させたが、イタリア式の対攻城砲要塞が普及したことにより元の防御側有利なバランスに戻った。だが、こうした新技術の導入にかさむ戦費が小規模な国体を破壊し大規模国家の割拠する状況を生み、大国は習熟の容易いマスケットで武装した常備的な大軍を競い合う様になった。一方海では、舷側砲を装備した軍艦が欧州近海でしのぎを削りつつ、やがて火器を装備した高度な軍事体勢がそうではない欧州以外を塗りつぶしていく過程に至った。然し乍ら、そうした優位あっても実効支配に至るには尚数世紀を要した2025/05/25
hurosinki
2
読みやすい訳で訳者を褒めたいのですが、このタイトルにしてしまったのはよくない(よくない)。火砲の破壊能力に適応した斉射戦術と築城術の発達を中核とする「軍事革命」(筆者はこの語にあまり明晰な定義を与えていないように思える)はヨーロッパの軍事能力を向上させ、膨張していく軍への補給も追いつくようになったがヨーロッパ内の戦争を決定的なものとはしなかった。2019/05/25
May
2
本書は「近世ヨーロッパ史上の「軍事革命」論の再検討と修正」及び「軍事革命の世界史的なインパクトの考察」をテーマとしており、軍事革命論をイタリア式築城術の発達、つまり防衛力の観点及び海軍力の観点から再検討し、海軍力の増強に伴うヨーロッパ外への進出と進出先での反応などについて検討を加えているのだが、三十年戦争がマイブームとなっている(当時)私にとっては、まさにうってつけの内容であった。 2016/08/22
ゴジラ 芹沢
2
長篠って付いてるけど、ほとんど関係ない。探していた、中世のヨーロッパで戦争と人々はどう接していたかという部分の答えが載っていてよかった。2016/01/04
俊太郎
1
16世紀以降ヨーロッパの国々が体験した「軍事革命」についての本。非常に面白い。図版のチョイス、翻訳文の読みやすさ、同時期のアジアにも触れる視野の広さ、豊富な一次資料から引き出される興味深いエピソードの数々。翻訳にあたって、たった数ページ触れるだけの「長篠合戦」を邦題に持ってきてしまったのが唯一残念なところ。2017/11/26