出版社内容情報
夜ごとにおとずれる月が語る、人生の哀歓と異国の風物詩。名画と名訳が奏でる三十三の掌編集。 中央児童福祉審議会推薦
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
てんちゃん
40
幻想文学?叙事詩?月が語りかけてくれる33夜の物語。自分の理解力を越えてしまい、流れるような字面を読むも全くイメージが掴めない難解な話もあった。しかし読後の余韻は秀逸。『絵のない絵本』というものの、添えられたいわさきちひろの挿し絵が作品のイメージにピッタリで美しかった。解説に描かれたように、「無邪気なもの若々しいものへの賛美と、寂しく生きて死んでいく人々への深い同情」「満たされぬ恋の思いや、劇場作家の報いられぬ執念」が詰まっている。2018/02/28
Rie
34
月が語る。世界のある出来事。介入するのでなく見たことを語ることで哀しさ、優しさ、楽しさ理不尽さなどふとしたことで気づかされる。あなたのこと、わたしのこと、空から月が覗いている。良いことも悪いことも。2016/02/08
mntmt
25
月が見てきたことを語る、全三十三夜。月だから、世界中を巡っています。(日本のお話はなかった。)まだロウソクやランプの時代。月が照らす人々の小さな物語は、一つ一つが素朴で無垢で美しいなと思いました。2016/04/02
クラムボン
18
いつも利用する図書館で『いわさきちひろ没後50年』の特集が組まれていた。1974年8月8日が命日で享年55歳。 「絵のない絵本」はコペンハーゲンの屋根裏に住む若き画家の処に月が訪れる。月はちょくちょく顔を出して話をしてくれた。「わたしの話をそのまま書いたら楽しい絵本ができるよ…」 月は短い間しか居ないので十分に語らないことが多く、引用される文句や人物は馴染みが無いが、決して難しくはない。ただ幻想的で素朴な物語のトーンは悲しい。岩崎ちひろの挿絵は鉛筆と墨のモノトーン。息を吹きかけると消え入りそうな繊細さだ。2024/08/28
猫路(ねころ)
16
文庫版の翻訳と違いがあるような気がしました。昔読んだ文庫本は汚れが酷かったので処分してしまいましたが。この本の翻訳の方がやわらかい印象でした、それと岩崎ちひろさんの絵が儚げで良かったです。2024/08/05