出版社内容情報
「なぜ、日本のベンチャー企業は公開後に低成長に陥るのか」等の課題の分析を含め、ベンチャーとIPOの最新のトピックを論じる。
2013年はリーマンショック以降続いたIPO低迷期の底から脱するターニングポイントとなった年だったと考えられます。2014年上期も回復基調は継続しているようです。安倍政権が2014年6月に公表した「日本再生戦略 改訂2014」で「産業の新陳代謝とベンチャーの加速化」を政策の柱の1つに位置づけたことや大手企業のコーポレート・ベンチャー・キャピタルによる社外ベンチャー投資を通じてイノベーションを起こす動きが活発していることなどは、「またブームで終わる」という市場関係者の不信感を払拭するものと考えられます。一方で、依然として、IPOを行う企業数がアメリカに比べると少ない、IPO後に高い成長を実現できる企業は必ずしも多くない、といった課題もあります。本特集では、このようなベンチャーとIPOをめぐる論点について、研究者、ベンチャーキャピタリスト、証券取引所関係者や政府政策担当者の方々も交えて議論を展開します。特集の編著者は野間幹晴(一橋大学)、そのほかの執筆陣は、石井芳明(経済産業省)、清田瞭(東証社長)、忽那憲治(神戸大学)、山本一彦(クラシック・キャピタル・コーポレーション)、渡邉佑規(SMBCベンチャーキャピタル)が務めます。ビジネスケースでは、市場調査(ネットリサーチ)業界とパナソニックを取り上げます。また、ユーザベースの梅田優祐代表取締役とグロービス・キャピタル・パートナーズの仮屋薗聡一マネージング・パートナーを招き、米倉誠一郎教授との鼎談を掲載します。
[特集論文-?T]IPO後の高成長企業と低成長企業
忽那憲治 神戸大学大学院経営学研究科教授
[特集論文-?U]ベンチャー企業の価値評価
山本一彦 株式会社クラシック・キャピタル・コーポレーション 代表取締役 チーフ・エグゼクティブ・パートナー
大久保 亮 株式会社クラシック・キャピタル・コーポレーション 取締役 パートナー
[特集論文-?V]高成長企業における経営者持ち株比率と企業価値
渡邉佑規 SMBCベンチャーキャピタル株式会社 投資部部長代理
[特集論文-?W]IPO市場の現状と東証の取り組み
清田瞭 株式会社東京証券取引所 代表取締役社長/株式会社日本取引所グループ 取締役
[特集論文-V]ベンチャー政策の新しい展開
石井芳明 経済産業省経済産業政策局新規産業室 新規事業調整官
[特集論文-?Y]コーポレート・ベンチャー・キャピタルによるイノベーションと企業価値の探求
野間幹晴 一橋大学大学院国際企業戦略研究科准教授
[経営を読み解くキーワード]ソーシャルネットワークと戦略マネジメント
[技術経営のリーダーたち]異分野・異文化への興味と現場に身を置く情熱が新しい変革を生み出す
久世和資 日本アイ・ビー・エム株式会社 執行役員研究開発担当
[ビジネス・ケース]
市場調査業界――ネットリサーチの登場と新旧企業の攻防
パナソニック――モノリシック2波長高出力半導体レーザー キャッシュカウを育てる成熟市場での戦略
[連載]経営学への招待(2)
青島矢一 一橋大学イノベーション研究センター教授
榊原清則 中央大学大学院戦略経営研究科教授
[コラム]経営は理論よりも奇なり(3)
吉原英樹 神戸大学名誉教授
[マネジメント・フォーラム]
世界に新しい価値を提供する日本発のベンチャーが育っている
梅田優祐 株式会社ユーザベース 代表取締役共同経営者
仮屋薗聡一 グロービス・キャピタル・パートナーズ マネージング・パートナー
【著者紹介】
一橋大学イノベーション研究センター(ヒトツバシダイガクイノベーションケンキュウセンター)
-
- 和書
- 現代における契約と給付