出版社内容情報
「マス」が消えた後で、マスメディアはどうすれば生き残れるのか? 米国の著名評論家がメディアの未来を展望した、関係者必読の書。 本書は、起業ジャーナリズムを主導してきたジェフ・ジャービスが、近年の思索と実践をまとめたものだ。その場限りのつじつま合わせではなく、長期的な視点にたって本質的なジャーナリズムを発展させたいとい願う読者にとって、本書は多くの知恵を得ることができる必読の書といえるだろう。
本書の第?部では、今後の社会でメディアが果たす役割をいくつか提案している。たとえば、サービスの提供者、プラットフォーム構築者、社会のまとめ役、意見の提唱者、教師、プロジェクト立ち上げの支援者といったものだ。また、ジャーナリズムが今後、「人間関係ビジネス」になって行くべきであるとも提唱されていえる。そうなることが、新時代のメディアのビジネス戦略の基礎になる、という。
第?部では、記事には、従来の物語の形式以外にも様々な形があることが示されている。たとえば、単純にデータを提示するだけの記事、何らかの機能を果たす記事、プラットフォームとなる記事などだ。ひとまとまりの情報が提示されているが、読み方は何通りもある記事、多数の記事から情報を抜き出してまとめた記事、皆で対話をするための記事などもありえる、という。
そして第?部では、新しい時代のニュース・サービスのあり方が考察されている。ジャーナリズムと人々との関係が従来とは変わるとしたら、具体的にどのようなサービスがあり得るのか。まず言えるのは、「記事」が従来とは違ったものになるということ。ただ記事を作って読んでもらえばそれで終わりということではない。記事は、サービスを提供するための手段となるのだ。記事の構造も変わらざるを得ない。全員に必要ではない部分は、別ページにしてリンクを張る。過去の記事はデータとして活用できるようにする。1つのニュースについての記事を順を追って読めるようにし、ニュースの「流れ」を見せる。ニュースを提供する、あるいはニュースを受け取るためのツールを工夫する。あるいはニュースそのものをツールとして使うことも必要となるだろう。
重要なことは、ニュースの内容だけでなく、提供する際の形式にもそれ自体、価値があるということだ。また、受け手との間に以前より緊密な関係を気づくことで、個々の人のニーズや状況に合ったニュースを、より適切な形式で提供することもできる。ジャーナリストに求められるスキルも以前とは変わる。新たなスキルを磨き、より質の高い仕事をすべきだ。新たな使命を果たすために、どのような手段が使えるか、それを模索していく必要がある。ユーザーを知らずして新時代を語る無かれ。
メディアで働く人間は、老弱男女をとわず、編集者も、記者も、そして営業も広告も、人事も総務も、全員が起業家になる必要がある、という。
はじめに
メディア、ニュースの新たなビジネスモデル
第1部 関係
第1章 『マス』は存在しない
第2章 コンテンツ対サービス
第3章 プラットフォームとしてのニュース
第4章 エコシステムとネットワーク
第5章 報道機関とコミュニティとの関係
第6章 ジャーナリストの役割
第2部 形式の問題
第7章 記事は死んだ、記事万歳
第8章 ニュースにいかに価値を付加するか
第9章 キュレーション
第10章 ニュースとデータ
第11章 モバイル時代のニュース
第12章 テレビニュースの再発明
第13章 意外な技術の応用
第3部 ビジネスモデル
第14章 ここまでのまとめ
第15章 デジタル・ファーストの先
第16章 効率化:何を削り、何を残すか
第17章 今後のニュース・ビジネスのあり方
第18章 ニュース・エコシステム
第19章 マスメディア神話の崩壊
第20章 ネイティブ広告は敵か味方か
第21章 有料の壁
第22章 パトロンの是非
第23章 情報の価格設定のパラドックス
第24章 リンク・エコノミーとクレジット権
第25章 価値の評価基準
第26章 未来への投資
ジェフ・ジャービス[ジェフ ジャービス]
ジェフ・ジャービス
ニューヨーク市立大学大学院ジャーナリズム学科教授
ニューヨーク市立大学大学院ジャーナリズム学科教授。メディア事業、ジャーナリズムの未来に関する論客として注目を集めており、メディアとコミュニティの新たな関係について頻繁に発言している。メディア/テクノロジー関連でもっとも高い人気を誇るブログのひとつ Buzzmachine.com を運営している。2007?2014年の世界経済フォーラムでは、「世界のメディア・リーダー100人」の一人に連続して選ばれている。著書に『グーグル的思考』(PHP研究所)、『パブリック――開かれたネットの価値を最大化せよ』(NHK出版)がある。
夏目 大[ナツメ ダイ]
夏目 大(ナツメ ダイ)
翻訳家
1966年、大阪府生まれ。同志社大学文学部卒業。大手メーカーにSEとして勤務したあと、翻訳家に。現在、翻訳学校フェロー・アカデミーの講師も務める。『CIA諜報員が駆使するテクニックはビジネスに応用できる』(東洋経済新報社)、『あなたの人生の科学(上・下)』(早川書房)、『7つの名前を持つ少女』(大和書房) など訳書多数。
茂木 崇[モギ タカシ]
茂木 崇(モギ タカシ)
東京工芸大学専任講師
東京工芸大学専任講師。東京大学大学院博士課程修了。専門はマス・コミュニケーション論、アーツ・マネジメント論。共著に『コミュニケーションの政治学』(慶應義塾大学出版会)、『図説 日本のメディア』(NHK出版)など。「WEBRONZA」、「現代ビジネス」で連載中。研究テーマはニューヨークのメディア・エンタテインメント産業。特に、メディア産業の経営戦略、『ニューヨーク・タイムズ』の歴史、イマーシブ・シアターの演出について研究。メディア企業のコンサルティングにも従事。
内容説明
コンテンツメイカーというのは危険な発想である。そのやり方では、メディアは滅ぶ―。では何をすればよいか?キュレーション、プラットフォーム、エコシステムなど、新しい概念を軸にメディアのこれからのあり方を展望して未来図を描く、新興メディア関係者、伝統メディア関係者、双方に必読のメディア論。
目次
第1部 関係(『マス』は存在しない;コンテンツ対サービス;プラットフォームとしてのニュース ほか)
第2部 形式の問題(記事は死んだ、記事万歳;ニュースにいかに価値を付加するか;キュレーション ほか)
第3部 ビジネスモデル(ここまでのまとめ;デジタル・ファーストの先;効率化:何を削り、何を残すか ほか)
著者等紹介
ジャービス,ジェフ[ジャービス,ジェフ] [Jarvis,Jeff]
ニューヨーク市立大学大学院ジャーナリズム学科教授。同大学院では、起業ジャーナリズム・タウ・ナイト・センターを率いてもいる。メディア事業、ジャーナリズムの未来に関する論客として注目を集めており、ジャーナリズム、ニュース配信の最新の形態や、メディアとコミュニティとの新たな関係などについて頻繁に発言をしている。スタートアップの企業や旧来メディア、公的組織などに助言をする機会も多い。2007年から2014年までの間は、ダボスで開催される世界経済フォーラムにおいて、「世界のメディア・リーダー100人」のうちの一人に連続して選出されている
夏目大[ナツメダイ]
1966年、大阪府生まれ。同志社大学文学部卒業。大手メーカーにSEとして勤務したあと、翻訳家に。現在、翻訳学校フェロー・アカデミーの講師も務める
茂木崇[モギタカシ]
東京工芸大学専任講師。東京大学大学院博士課程修了。専門はマス・コミュニケーション論、アーツ・マネジメント論。研究テーマはニューヨークのメディア・エンタテインメント産業。特に、メディア産業の経営戦略、『ニューヨーク・タイムズ』の歴史、イマーシブ・シアターの演出について研究。メディア企業のコンサルティングにも従事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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