出版社内容情報
中国「デジタル人民元」が世界中から警戒視されています。その発行が世界に与えるインパクトとその問題点を解説します!
内容説明
米中覇権争い・新冷戦構造という国際情勢/通貨覇権の歴史と現状/中銀デジタル通貨を巡る各国の競争/プラットフォーマーの金融分野参入/決済ビジネスと金融業の将来etc.多岐にわたる視点から「デジタル人民元」の実態に迫る!
目次
第1章 世界を震撼させる「デジタル人民元」
第2章 デジタル人民元は米国の金融覇権への挑戦
第3章 米中対立から新冷戦構造へ
第4章 中国で進むプラットフォーマーへの統制強化
第5章 世界で動き出す中銀デジタル通貨構想
第6章 2030年金融市場・金融ビジネスの予想図
著者等紹介
木内登英[キウチタカヒデ]
野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミスト。1963年生まれ。1987年早稲田大学政治経済学部卒業、同年野村総合研究所入社。一貫して経済調査畑を歩む。1990年野村総合研究所ドイツ(フランクフルト)、1996年野村総合研究所アメリカ(ニューヨーク)で欧米の経済分析を担当。2004年野村證券に転籍し、2007年経済調査部長。2012年7月~2017年7月、日本銀行政策委員会審議委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
- 評価
購入図書本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
K
7
【電子書籍】デジタル人民元についてだけでなく、CBDCを取り巻く世界各国の取り組みや現状への記述もあり、近い将来の展望が分かりやすく理解できる。基軸通貨ドルへの挑戦、巨大テック企業への牽制、巨大経済圏の形成など中国の壮大な野心が窺い知れる内容です。2022/01/13
臓物ちゃん
7
デジタル人民元の強み……それは通信機器がオフラインの時でも使用できるということ!確かに中国ってどこでも電波繋がるってわけでもなさそうなのでこりゃ助かるわ。他にも民間電子決済を駆逐すべく、あの手この手で策略をめぐらす最新電子通貨の裏表をまるっと解説してくれる一冊。日本がクーポン出す出さないでこんだけモメてる間にも中国じゃさっそくデジタル人民元3000円分無料配布が始まってるってんだからチクショウ!あれだけ仲の悪いロシアとエストニアだって、どっちも一帯一路に参加してるというしヤバいぞこりゃ〜。2021/12/12
でんがん
6
対立する米国に国際決済網SWIFTを牛耳られているのは、中国としてはさぞ不満なのであろう。世界に先駆けて中銀デジタル通貨、デジタル人民元を発行し技術的なスタンダードを狙っていること、一帯一路経済圏で普及させ国際的な存在感を高めようとしていることなど、中国は先を見据えてよく考えているなぁと感じました。対してドルはSWIFTの存在が強すぎて、デジタルドルに舵を切れず、日本はいつも通り様子見で手遅れになると。日本、大丈夫なんだろうか…2022/05/02
nas
4
刊行から1年しか立ってないけどウクライナ戦争の影響はどれぐらいあるんだろう。ただ、デジタル人民元の主目的がSWIFTからの脱却っていうのがなるほどなーってなったし、そこはぶれようがないから大筋は変わらないんだろうけど。ロシアへの制裁で思いっきりSWIFT除外で仕組みが効いてたからむしろそこはやっぱやんねーとダメだなってなる所だろうしなー。デジタル人民元が発行できたとしてそこまで乗っていけるのか?って気はするけどドルも2030年にどうなってるのかはわかんないし、どうなってるんだろうな2022/12/24
suma2021
3
経済規模であれば既に米国を射程圏内に入れた中国。しかし通貨覇権に関しては現状基軸通貨のドルと人民元では大差がついている。そのような状況で中国の金融政策全般とCBDCの位置付けを著者の推察で論じている書。読後の所感は国家資本主義の中国の戦略。国内ではアントへの恐慌な姿勢と取り込む柔軟さ、国家間ではSWIFTに替わるCIPSの導入と策はしたたか。当初は国内消費の利用に留まると思われるデジタル人民元がアントとの協調によるアジア地域への普及と一帯一路と相まってクロスボーダー決済に繋がるのかが今後の注目すべき点かな2022/02/06