出版社内容情報
いまだ不良債権処理に苦しむ日本の銀行。グローバル競争激化の中で、経営環境は一段と厳しくなる。BIS規制と銀行経営のあり方を検証し、問題点と将来を分析。
内容説明
筆者は、1990年代の低成長と失速の理由の大半は、銀行の信用創造機能(貸出機能)の崩壊と、その結果生じた信用収縮にあると、自信をもって断言したい。90年代には、すでに40兆円を超す公共投資が支出されている。しかし、いっこうに経済成長を押し上げる力に結びつかないのは、金融機能(銀行の信用創造力)が減退し、麻痺して、関連資金需要があっても、銀行がそれに応じられないケースが多いからであろう。なぜ、これほど急速な信用収縮が日本で発生したのか、なぜその対策が遅れたのか、現在の信用収縮に歯止めをかけるにはどうすればよいのか、今後二度とこのような信用収縮が発生しない銀行システムを創り上げるにはどうすればよいのか。戦前戦後のおもな銀行危機と銀行破綻をふり返りながら、こうした問題を明らかにしようとするのが本書の目的である。
目次
第1章 21世紀・日本の銀行システム
第2章 平成銀行恐慌と銀行破綻
第3章 銀行機能と信用収縮
第4章 アメリカの大恐慌と銀行破綻
第5章 戦後アメリカの銀行破綻とプルーデンシャル政策
第6章 昭和の銀行恐慌と銀行破綻
第7章 戦後日本の銀行行政とプルーデンシャル政策
第8章 公的資金
第9章 銀行監督体制
第10章 競争力ある銀行の育成―BIS規制からの脱却