出版社内容情報
ボルカーからグリーンスパンに至るFRBの政策運営はどのように決定され、またどのように変化したのか。最新の理論をもとに議事録を丹念に追うことで金融政策の実際を明らかにする。
内容説明
本書は、金融危機に陥っていた1990年代初頭から「ニュー・エコノミー」の入り口となった1996年までのアメリカの金融政策運営を総合的にかつ詳細に捉えたものである。具体的には、1990年、1991年、1992~93年、1994~95年、1996年の各時期について、連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録をもとに、金融不安への対応、自然失業率の低下の学習等をどのように行っていたのかを、リアルタイムで利用可能なデータやテイラー・ルールの計算値との比較から評価している。また、それぞれの時期に関連するテーマとして、資産価格変動、金融自由化、日本における危機対応、政策ルールと情報公開を取り上げ、考察を行っている。詳細な議事録のクロノロジカルな分析と、各局面において重要となった課題の計量分析とを交互に織り合わせることによって、グリーンスパン議長という優れた市場エコノミストの下で、1990年代のアメリカの金融政策がどのように成功をもたらしたのかを、本書は明らかにしている。
目次
戦後の金融政策運営と研究動向
戦後の金融政策運営の概観的検討―時系列データの実証分析
クロノロジーへのイントロダクション
1990年のFOMC―金融システム不安と予想されなかった景気後退
資産価格の変動と金融政策
金融危機下の金融緩和―1991年のFOMC
金融危機と金融自由化―1980~90年代
1992~94年の実質ゼロ金利政策
1980年代後期以後の日本マクロ経済政策―ポリシー・ミックスの検討
1994~95年のFOMC―実質ゼロ金利の出口
政策情報公開促進の効果―金融市場の分析
1996年のFOMC―景気の踊り場:緩和シリーズの終了と様子見
金融政策ルールの現実的側面―学説の展望と日本銀行の情報優位?
政策情報公開と金融政策運営
本書のまとめと教訓
著者等紹介
地主敏樹[ジヌシトシキ]
1959年兵庫県に生まれる。1981年神戸大学経済学部卒業。1989年ハーバード大学Ph.D.現在、神戸大学大学院経済学研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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メルセ・ひすい