内容説明
本書の目的は、市場が必ずしも完全には機能していない状況において、人々が取引やそれに付随する経済活動のさまざまな障害に対処する姿を具体的に描写し、それらの人々の努力だけでは乗り越えがたい諸問題を解決するための望ましい支援策を考察することにある。分析にはアジア・アフリカでの詳細な現地調査を通じて独自に収集したデータや戦前日本を対象とした緻密な調査資料を用いている。さらに、それらの分析がそれぞれ分離することなく、開発経済と日本経済史の研究者が有機的にコラボレートしている点も特徴である。
目次
第1部 市場と貧困削減(経済発展における共同体と市場の役割;日本における共同体関係の役割:歴史的文献展望;産業集積と市場)
第2部 農業部門における市場の形成(小作契約の選択と共同体;自由化と市場の形成:ケニア生乳市場の事例;産業集積の効率・品質改善効果:ガーナ精米業の事例 ほか)
第3部 非農業部門における市場の形成(農村工業から都市型集積へ:戦前期日本の織物業と都市小工業の事例;労働者の引き抜き問題とルールの確立:明治期諏訪地方の事例;農外就業とパーソナル・ネットワーク:フィリピン農村の事例 ほか)
市場、経済発展、貧困削減
著者等紹介
澤田康幸[サワダヤスユキ]
1999年スタンフォード大学より博士号取得。東京大学大学院経済学研究科助教授
園部哲史[ソノベテツシ]
1992年エール大学より博士号取得。国際開発高等教育機構主任研究員・政策研究大学院大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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