検証 日本の「失われた20年」―日本はなぜ停滞から抜け出せなかったのか

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検証 日本の「失われた20年」―日本はなぜ停滞から抜け出せなかったのか

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  • サイズ A5判/ページ数 477p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784492396179
  • NDC分類 312.1
  • Cコード C3033

出版社内容情報

「失われた20年」の徹底検証を通じて日本再生の道を探る。財政金融、人口動態、企業競争力、政治、原発、教育などの専門家が結集

日本の「失われた時代」の原因として、次の5つが指摘できる。
 その第一は、「最優先課題」と「損切り」の先送りである。これは、バブル崩壊後、金融機関が背負い込んだ不良債権の処理をめぐって典型的に表れた。
 第二は、部分最適と全体最適のトレード・オフを克服し、全体の利益を追求する国家戦略を打ち出せなかったことだ。政府が重要な決定を下すにあたって、全体最適解を下そうとする際、それに抵抗する政治力の強い組織的ストレスを克服できず、その組織の部分最適解を優越させてしまう。このことは、国家課題に関する明確な政策優先順位を設定し、それを容赦なくかつ効果的に追求し、実現する意思と能力の不在とリーダシップの不在を示している。
 第三は、既得権益層の岩盤構造である。これは、既得権益層がインサイダー集団を形成し、そこで手にするレント(過剰利潤)を守るために改革に抵抗する政治的に強固な構造のことである。
 第四は、政府も企業も「成功体験の虜」になったことだ。グローバル化とIT化と新興国の台頭と挑戦という新たな環境の下でも、日本企業の多くは高度成長期のビジネス慣行を維持し、それにしがみついていた。
 最後の第五は、官民問わずに危機意識が不十分だったことだ。日本の危機感の乏しさは、この間に深まった日本人の悲観主義の高まりと著しい対比を成している。そうした危機感なき悲観論の傾向は二一世紀初頭にはすでに明瞭に表れていた。
  これら五つの原因のうち、部分最適解と全体最適解のギャップにこそ、日本の「失われた時代」の本質がある。
 日本の「失われた時代」の行方は、世界に大きな意味を持つだろう。その行方は、アベノミクスの成否という次元にとどまらない。それは、日本の歴史的な役割と世界、なかでもアジア太平洋の地政学におけるプレゼンスと安定といった世界史的な意味合いを帯びることになるだろう。

序章     「失われた時代」をトータルに捉える
第1章 人口    失われた人口とそこからの回復策
第2章 金融・財政 「失われて」いた協調的な金融・財政政策
第3章 マクロ経済 不良債権処理の先送りと景気刺激策の20年
第4章 企業競争力 なぜ日本企業はデジタル革命で負けたのか
第5章 労働・雇用・格差 「失われた20年」を職場、学校、男女、富と貧困から考える
第6章 教育 「キャッチアップの完了」がすべてを間違わせた
第7章 原発政策 福島原発事故――「安全神話」が安全対策を失わせた
第8章 政治改革 膨大な改革がなぜ成果を生まなかったか
第9章 安全保障 湾岸戦争が変えた日本の安全保障観
第10章 貿易 多くの機会を逃した日本の対外経済政策
第11章 中国・アジア太平洋 「大国・日本」から「アジアの一主要国・日本」へ
第12章 日米同盟 冷戦後時代の安全保障計画の変化
第13章 歴史認識 なぜ中韓との和解ができないのか
第14章 国連外交 安保理常任理事国入り失敗で失ったもの
第15章 理念・価値観 グローバルな舞台で役割を模索する日本
終章     未来の何を「失った」のか

【著者紹介】
船橋 洋一(フナバシ ヨウイチ)
船橋 洋一
一般財団法人 日本再建イニシアティブ 理事長
元朝日新聞社主筆
1944年北京生まれ。東京大学教養学部卒。1968年、朝日新聞社入社。
朝日新聞社北京特派員、ワシントン特派員、アメリカ総局長等を経て、2007年から2010年12月まで朝日新聞社主筆。
2011年9月に独立系シンクタンク「日本再建イニシアティブ」設立、理事長。福島第一原発事故を独自に検証する「福島原発事故独立検証委員会(民間事故調)」を作る。2013年、危機管理をテーマにした『日本最悪のシナリオ 9つの死角』(2013年、新潮社)刊行。
『カウントダウン・メルトダウン』(2013年、文藝春秋)で大宅壮一ノンフィクション賞受賞。直近の著書は『原発敗戦―危機のリーダーシップとは』(2014年、文春新書)。

目次

「失われた時代」をトータルに捉える
人口―失われた人口とそこからの回復策
金融・財政―「失われて」いた協調的な金融・財政政策
マクロ経済―不良債権処理の先送りと景気刺激策の20年
企業競争力―なぜ日本企業はデジタル革命で負けたのか
労働・雇用・格差―「失われた20年」を職場、学校、男女、富と貧困から考える
教育―「キャッチアップの完了」がすべてを間違わせた
原発政策―福島原発事故‐「安全神話」が安全対策を失わせた
政治改革―膨大な改革がなぜ成果を生まなかったか
安全保障―湾岸戦争が変えた日本の安全保障観
貿易―多くの機会を逸した日本の対外経済政策
中国・アジア太平洋―「大国・日本」から「アジアの一主要国・日本」は
日米同盟―冷戦後時代の安全保障計画の変化
歴史認識―なぜ中韓との和解ができないのか
国連外交―安保理常任理事国入り失敗で失ったもの
理念・価値観―グローバルな部隊で役割を模索する日本
未来の何を「失った」のか

著者等紹介

船橋洋一[フナバシヨウイチ]
一般財団法人日本再建イニシアティブ理事長。元朝日新聞社主筆。1944年北京生まれ。東京大学教養学部卒。1968年、朝日新聞社入社。朝日新聞社北京特派員、ワシントン特派員、アメリカ総局長等を経て、2007年から2010年12月まで朝日新聞社主筆。2011年9月に独立系シンクタンク「日本再建イニシアティブ」設立、理事長。福島第一原発事故を独自に検証する「福島原発事故独立検証委員会(民間事故調)」を作る。『カウントダウン・メルトダウン』(2013年、文藝春秋)で大宅壮一ノンフィクション賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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トリッコロ

4
失われた20年は戻らないが、日本の再出発を妨げている一番の障壁は、官僚的な部分最適を指向して、全体最適を図る戦略家を育ててこなかったことかもしれない。2015/10/10

くれの

4
長い停滞期に鑑みる多角的な見地からのレビューです。これからの日本と冷静に向き合う機会を得る一冊になりました。ただ過去を批評するだけではなくそこに得た経験をどう活かすべきかが明示されていて好感が持てます。2015/07/20

しんさん

2
震災、コロナ、東京五輪と続くこの10年が、後世どのように総括され、自分の中で整理がつくんだろうかと思いながら読みました。「我々がやってきたことは間違っていなかった」といえるよう、引き続き精進いたします。2023/02/01

Great Eagle

2
なかなか興味深い内容でした。人口減少、金融財政、外交問題、教育問題、日中問題、労働格差、企業競争力、原発問題などなど、どれをとっても難問だらけです。しかし、そこに潜む課題を正面から正しく理解し、どのような解決策を持って対応するか、しっかりとした議論と決断と実行が欠かせないのだろうと思います。先送りや小細工対応などの積み重ねではより良い社会はやってきませんね。2015/11/15

keepfine

1
日本が長期停滞から抜け出せない構造的要因を分析。「失われた時代」の原因の一つは、「最優先課題」と「損切り」の先延ばしにある。不良債権処理がその最たる例だが、政治家と官僚機構は政治的・行政的なコストと人気取りから政策を先送りしてきた。対応の遅れは金融機関の債務拡大、金融危機、慢性的デフレ、消費減退、税収落ち込み、財政赤字とカスケード状に問題を発生させる。また人口減少問題は80年代か兆候がみられ92年に政策的に明言されているが、厚労省は楽観的想定、政府も不人気政策として正面から取り組まずにきた。2020/08/10

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