軌道―福知山線脱線事故JR西日本を変えた闘い

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軌道―福知山線脱線事故JR西日本を変えた闘い

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  • サイズ B6判/ページ数 365p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784492223802
  • NDC分類 686.7
  • Cコード C3036

出版社内容情報

遺族と加害企業トップの2人は、組織を変えるためにどう闘ったのか。あの事故から始まった13年間の「軌道」を描く。真山仁氏推薦!真山 仁氏推薦!
「『遺族の責務』を探し続けた男が挑む不条理
闘う遺族を静かに寄り添うジャーナリストが辿り着いた
日本社会の欺瞞と脆弱」

「責任追及は横に置く。一緒にやらないか」
遺族と加害企業の社長。
相反する立場の2人は巨大組織を変えるためにどう闘ったのか。
あの事故から始まった13年間の「軌道」を描く。

私は、この事故を淺野弥三一という一人の遺族の側から見つめてきた。
彼の発言や行動は、これまで私が取材や報道を通して見聞きしてきた事故や災害の遺族とは何かが決定的に違っていた。
淺野の視点と方法論は独特で、語る言葉は時に難解で、JR西に対する姿勢は鋭く峻烈でありながら、柔軟で融和的に見えるところもあった。(「プロローグ」より)


<本書の内容>
乗客と運転士107人が死亡、562人が重軽傷を負った2005年4月25日のJR福知山線脱線事故。
妻と実妹を奪われ、娘が重傷を負わされた都市計画コンサルタントの淺野弥三一は、なぜこんな事故が起き、家族が死ななければならなかったのかを繰り返し問うてきた。
事故調報告が結論付けた「運転士のブレーキ遅れ」「日勤教育」「ATS-Pの未設置」等は事故の原因ではなく、結果だ。
国鉄民営化から18年間の経営手法と、それによって形成された組織の欠陥が招いた必然だった。

「組織事故」を確信した淺野は、JR西日本自身による原因究明と説明、そして、組織と安全体制の変革を求める。
そのために遺族感情も責任追及も封印し、遺族と加害企業による異例の共同検証を持ち掛けた。

淺野の思いに呼応し、組織改革に動いた人物がいた。事故後、子会社から呼び戻され、初の技術屋社長となった山崎正夫。
3年半でトップを退くが、その孤独な闘いは、JR西日本という巨大組織を、長年の宿痾からの脱却へと向かわせた。
それは、「天皇」井手正敬の独裁に依存しきった組織風土、さらには、国鉄改革の成功体験との決別だった。

淺野と山崎。
遺族と加害企業のトップという関係ながら、同世代の技術屋ゆえに通じ合った2人を軸に、
巨大組織を変えた闘い、鉄道の安全を確立する闘いの「軌道」を描く。
そこから見えてきたのは、二つの戦後史の「軌道」だった──。


プロローグ 11年の現場から 2016・4・25

<第1部 事故が奪ったもの>

第1章 喪失

 蒼天の桜/偶然の連鎖/40時間後の対面/最愛の面影/弔いの日/孤絶と自暴自棄/遺族の社会的責務

第2章 連帯

 技術屋の原点/“やられる側”の論理/震災復興の日々/遺族の連帯/極限の交渉/物言う遺族/誓いの手記
 
 
第3章 追及

 発覚した「天下り」/二次被害/不遜な弁明/誤った人間観、歪んだ安全思想/虚偽報告―最終報告書から1/日勤教育―最終報告書から2/組織風土―最終報告書から3
 
<第2部 組織風土とは何か>

第4章 独裁

 JR西日本の天皇/国鉄改革三人組/「成長」と「安全」 /事故の原点―信楽高原鐵道事故1/無反省―信楽高原鐵道事故2/震災復旧の「野戦」 

第5章 混迷

 委員長の進言/社長人事の内幕/「運転屋」の来歴/現場主義の「安全のプロ」/三本柱と三つの溝/2人の技術屋/ある夜の約束

第6章 激動

 情報漏洩と隠蔽体質/最大の失敗/組織の罪か、個人の罪か/対話の相手/司法の限界―山崎元社長裁判/独裁者の弁明―歴代3社長裁判/「天皇」の胸中―井手正敬会見録1/統治者目線―井手正敬会見録2
 
<第3部 安全をめぐる闘い>

第7章 対話

 一つのテーブル―課題検討会1/2・5人称の視点― 課題検討会2/組織を可視化する―安全フォローアップ会議1/人はミスをする―安全フォローアップ会議2/万感の報告/ある宴席にて
 
第8章 軌道

 鉄道安全考動館/安全への投資/罰しない思想/事故の予兆をつかむ/重大インシデント/現場力の低下/戦後史の二つの軌道
 
エピローグ 一人の遺族として

あとがき
「JR西日本と福知山線脱線事故」年表
引用・参考文献

松本 創[マツモト ハジム]
著・文・その他

内容説明

遺族と加害企業の社長。相反する立場の2人は巨大組織を変えるためにどう闘ったのか。あの事故から始まった13年間の「軌道」を描く。第41回本多靖春ノンフィクション賞受賞。

目次

第1部 事故が奪ったもの(第1章 喪失;第2章 連帯;第3章 追及)
第2部 組織風土とは何か(第4章 独裁;第5章 混迷;第6章 激動)
第3部 安全をめぐる闘い(第7章 対話;第8章 軌道)

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

鉄之助

312
福知山線・脱線事故の遺族の目から「巨大組織の迷走とその背後にある問題」をえぐった、意欲作。取材対象に選んだ人が、最適の一人だった。阪神大震災で復興へのコンサルタントとして、住民を支える側にいた淺野弥三一(やさかず)さん。一転して、この事故で被害の当事者となった。JR西日本の企業体質に迫っていく様子が、実に興味深かった。「誠心誠意の個別対応」というJRの建前から遺族の分断を図って、早期の補償交渉をまとめようとした大企業に対し、遺族の団結を呼びかけた。元・神戸新聞の記者だった著者のきめ細かい取材に好感。2022/04/10

遥かなる想い

135
第41回(2019年)講談社ノンフィクション賞。 2005年4月25日に 起こったJR 福知山線脱線事故を追った作品である。事故で 妻と娘を失った浅野と JR 西日本を軸に 闘いが描かれるが…あまり知られていない JR西日本という巨大組織の内情が興味深い。 企業風土の大切さを 改めて 問う…そんな印象の作品だった。2021/10/12

honyomuhito

87
2005年に起きた福知山線脱線事故は衝撃的だった。甚大な被害を生んだ事故を、被害当事者が客観的に「失敗」と「原因」として分析することを求め、加害者であるJR西との共同作業で解明していくのを描いたノンフィクション。運命論者ではないつもりだが、こんな偶然があるものだろうかと宿命のようなものを感じてしまった。しかしこれは奇跡などではない。それでも強い強い淺野氏の覚悟と真実を追及する姿勢だけは比類なき物だと思う。これは読むべき本だった。https://chirakattahondana.com/軌道/2020/07/13

Willie the Wildcat

80
背負うものを、一旦横に置いた時に垣間見ることができる人間性。淺野氏の信念と、その信念が山崎氏/坂田氏を突き動かして辿り着く”私人/企業人”の2つの軌道の交差という感。但し、「2人の自分」を抱える淺野氏の心痛は計り知れない。ここにも、”遺族/技術者”の2つの軌道の交差という感。一方、(誤解を恐れず言えば)井出氏の『経験工学』の件には、少なからず不快感。Lessons Learnedを如何に活かすことができるかは当然のことではあるが、その代償が人の命であるのは論外ではなかろうか。2020/02/12

きみたけ

76
乗客と運転士107人が死亡、562人が重軽傷を負った2005年4月25日のJR福知山線脱線事故。妻と妹を奪われ、娘が重傷を負わされた都市計画コンサルタントの淺野弥三一氏を追いかけたドキュメント。なぜこんな事故が起き、家族が死ななければならなかったのか。「組織事故」を確信しJR西日本自身による原因究明と説明、そして組織と安全体制の変革を求めます。遺族感情も責任追及も封印し、遺族と加害企業による異例の共同検証を持ち掛けていきます。 もし自分が遺族の立場であったら、ここまで毅然と立ち向かえないなと思いました。2021/06/07

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