ネット選挙―解禁がもたらす日本社会の変容

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ネット選挙―解禁がもたらす日本社会の変容

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  • サイズ B6判/ページ数 236p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784492212097
  • NDC分類 314.85
  • Cコード C0031

出版社内容情報

2013年参院選目前、「ネット選挙」解禁を、新進気鋭の研究者が解説。日本における、その影響力と起こりうる変化を明らかにする!

2013年参院選から解禁されることとなった「ネット選挙」。
しかし、そもそもネット選挙とは何なのか? その解禁によって、巷間言われるように「お金がなくても政治家になれる」、「ネットで見た候補者の発信に触発されて、若者が選挙に行くようになる」というのは本当か? 「この情報化社会にインターネットの使用を禁止するなんて、時代遅れもいいところだ!」という主張は正しいのか? テクニカルな側面だけを見ていても、本質には辿り着けない。ネット選挙を丁寧に一歩踏み込んで考察すれば、これらの主張が幻想に過ぎないことは明らかだ。

しかしそれなら、ツイッター議員はなぜツイッター議員であろうとするのか? なぜ全国紙がソーシャルメディア分析に取り組むのか? 解禁による静かな変化が、候補者・有権者・マスメディア・ネットメディアに及ぼす影響はどのようなもので、そこから日本はどう変わっていくのだろうか? インターネットの設計思想を政治に受け入れることで、日本社会が変わる!?

――ツイッターやフェイスブック、私たちが何気なく利用するソーシャルメディア上で、政治家の個人アカウントを目にする機会が増えてきました。ところが、公職選挙法に定められた選挙運動期間に入ると、新しいツイートも政治家個人のブログ更新もぱったりと止まっていたのが、2012年末の衆院選までのこと(一部例外もあり)。それはなぜだったのでしょうか? その答えからわかるのは、公職選挙法が実現しようとした選挙戦環境のありよう、そしてその基となる理念です。
一般市民による選挙関連のツイートやYouTubeへの動画投稿も、場合によっては合法とはいえなかった、という意外な事実に驚かされます。日常の中でほとんど意識することのない法律ですが、公職選挙法はそもそも何を実現しようとしたものだったのか? 改正によって何が可能になり、その影響は日本社会、私たち個人にどう及ぶのか? まさに、「制度だけでなく、これは思想の問題だ!」

序章:ネット選挙とは何か?
 1.政治がインターネットに近づこうとした日
 2.ネット選挙が意味すること―インターネット投票はできません
 3.選挙で利用できる「文書図画」

1章:間違いだらけのネット選挙論
 1.なぜ政治家は選挙運動が始まった途端にオフラインになったのか?
 2.ネット選挙の禁止は「時代遅れ」か? その解禁は「時代の必然」か?
 3.ネット選挙にはお金がかからない?
 4.ネット選挙で日本の政治環境が変わる?
 5.やってみないとわからないのだから、やるべき?
 6.ネット選挙の本質はなにか?

2章:ネット選挙解禁の土壌、日本の事情
 1.情報化日本のインターネット・SNS
 2.インターネットの設計思想―漸進的改良主義と反権威の系譜

3章:2012年までの日本のネット選挙の歴史
 1.1990年代のネット選挙問題
 2.2000年代に高まった、野党主導の解禁の機運
 3.ネット選挙解禁を望む民間の動き
 4.民主党政権下で、ついに与野党合意に至る

4章:2012年衆院選から2013年の動向
 1.「雄弁でありたい政治家」たちの攻防戦
 2.ソーシャルメディアと「雄弁な有権者」
 3.マスコミも注視する“情報と政治”
 4.ソーシャルリスニングとインフォグラフィクスの登場
 5.与党自民党が主導した2013年のネット選挙解禁

5章:ネット選挙を考えるためのヒント
 1.海外のネット選挙事情―アメリカ・韓国のケース
 2.変化仮説と正常化仮説

6章:日本の議員たちとソーシャルメディア―「ツイッター議員」の登場
 1.なぜ数あるソーシャルメディアのなかでツイッターなのか?
 2.「ツイッター議員」を分析する
 3.ツイッターの技術特性は、ほとんど引き出されていない
 4.なぜ、日本の政治化たちはツイッターを“有効活用”しないのか

7章:ネット選挙解禁がもたらす変化
 1.候補者と政党―“先進的なネット選挙に取り組む政治家”という称号の魅力
 2.有権者
 3.ネットメディア
 4.マスメディア

終章:ネット選挙が日本の民主主義をよくするには?
 1.デジタル・デモクラシー再考
 2.オープンガバメントの手段としてのネット選挙
 3.出発点としてのネット選挙解禁
 4.技術論に終始するネット選挙の議論を超えて

【著者紹介】
西田 亮介(ニシダ リョウスケ)
立命館大学特別招聘准教授
立命館大学大学院先端総合学術研究科特別招聘准教授(有期)。
1983年京都生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業。同大学院政策・メディア研究科修士課程修了。同後期博士課程単位取得退学。
同助教(有期・研究奨励?U)、(独)中小機構経営支援情報センターリサーチャー、東洋大学・学習院大学・デジタルハリウッド大学大学院非常勤講師等を経て現職。
共編著に『「統治」を創造する』(春秋社)、共著分担執筆に『大震災後の社会学』(講談社)、『グローバリゼーションと都市変容』(世界思想社)他。
専門は情報社会論と公共政策学。情報と政治、ソーシャルビジネス、協働推進、地域産業振興等。

内容説明

「均質な公平性」「漸進的改良主義」日本はどちらを選ぶのか。気鋭の社会学者、緊急書き下ろし。

目次

序章 「ネット選挙」とは何か?
第1章 間違いだらけのネット選挙論
第2章 ネット選挙解禁の土壌、日本の事情
第3章 2012年までの日本のネット選挙の歴史
第4章 2012年衆院選から2013年の動向
第5章 ネット選挙を考えるためのヒント
第6章 日本の議員たちとソーシャルメディア―「ツイッター議員」の登場
第7章 ネット選挙解禁がもたらす変化―候補者・有権者・ネットメディア・マスメディア
終章 ネット選挙が日本の民主主義をよくするには?

著者等紹介

西田亮介[ニシダリョウスケ]
立命館大学大学院先端総合学術研究科特別招聘准教授(有期)。1983年京都生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業。同大学院政策・メディア研究科修士課程修了。同後期博士課程単位取得退学。同助教(有期・研究奨励2)、(独)中小機構経営支援情報センターリサーチャー、東洋大学・学習院大学・デジタルハリウッド大学大学院非常勤講師等を経て現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬弐仟縁

20
インターネット投票はできません(24頁~)。 おかしな話だな。 選挙運動ができて投票ができない? 投票が簡便化すれば投票率が改善するのは このPC、スマホの時代に当然だと思えるけど。 電子投票は現実味を帯びていない。 これは既得権益が投票所にあることの 裏返しである。 衆院選のコーホート(世代)別投票率( 明るい選挙推進協会データ、59頁)は、 20歳代が最低。60代が最も多い。 これは、団塊世代が政治に関心があり、 ゆとり世代が関心が低いと簡単に すませる問題かどうか。  2014/05/26

そり

10
日本がインターネットを選挙に用いるということの意味、影響。そもそもネット選挙がいつから議論されていたのか。日本よりも先んじて選挙にネットを導入したアメリカ、韓国で起きている問題。▼今話題のネット選挙について、この本は多角的に論じられていてかなり良いと思った。ネットの導入で複雑な政局が理解しやすくなれば、投票率も上がるのかなぁ。2013/07/22

おおかみ

10
著者初の単著。いわゆる「ネット選挙」の解禁は、専ら技術的な側面ばかりが論点になり、制度の設計思想(「均質な公平性」から「漸進的改良主義」への価値観の転換)についての議論が疎かにされてきたと指摘する。解禁にあたりしばしば語られてきた、「政治のコストを引き下げる」「投票率が上がる」といった“神話”を解体し、改正法案の成立は終着点ではなくむしろ出発点だと強調。ネット選挙は確かに大いなる可能性に満ちているが、課題も山積なのだと改めて感じた。2013/07/07

ミズグ

8
ネット選挙の解禁に伴っては、価値観の転換を必要とする論が展開される。 また、ネット選挙の可能性が具体的に書かれれいて、日本の民主主義の改善を考える契機となる重要な文献である。 2013/07/07

takizawa

7
2013参院選からネット選挙が解禁され、選挙運動でインターネットを利用できるようになった。本書はネット選挙解禁の孕む問題点について論じたもの。西田氏は今回の法改正を理念なき解禁と評する。目指す社会像について議論されることもなく、技術に過ぎないインターネットを万能であるかのように扱っているからだ。他のメディアが従来通り規制されているのに、なぜインターネットだけ自由に利用できるのか確かによく分からない。ひとまず参院選が終わって、解禁前の幻想とのギャップが見え始めた頃に本書を片手に議論が始まれば良いなと思う。2013/07/15

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