天国の国境を越える―命懸けで脱北者を追い続けた1700日

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  • サイズ B6判/ページ数 319p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784492212080
  • NDC分類 929.16
  • Cコード C3036

出版社内容情報

生きるために脱北する人たちを命懸けで追った5年間の記録。北朝鮮国境で起きている生々しい現実、脱北後も続く苦難が涙をさそう。

私は、2007年3月から4年半余りにわたって脱北者を取材した。
韓国内はもちろん、ロシアやキルギスタン、ウズベキスタン、中国、ラオス、カンボジア、
タイ、日本、米国、英国、スイス、ベルギー、スペイン、オランダと十五カ国を歩いた。
インタビューに応じてくれた脱北者だけで300人になる。

彼らに会うことは、驚きの連続だった。
私は、中国と北朝鮮の国境地帯で人身売買をするブローカーにも会った。
麻薬を売る北朝鮮の軍人と値段交渉もした。
自由を求めて第三国へ密入国する脱北者に同行して何回も国境を越えた。
韓国大使館から追い出されて、別の国境に向かったこともある。
外界と隔絶された、シベリアのど真ん中にある北朝鮮の伐採事業所を訪ねていきもした。
エンジンが切れた密航船に乗って大海原を漂い、
中国と東南アジアの公安に捕まって監獄にぶち込まれそうになったこともある。
さらには、密林の中を強行軍で進んだ揚げ句、気力が尽きて死にかけたこともあった。

私は、脱北者たちを取材しながら考えただけで気が遠くなりそうな経験をした。
人身売買で売られた20歳ちょっとの北朝鮮女性は、
これで故郷の両親がひもじい思いをしなくてすむと力なく笑った。
ブローカーが彼女の対価として親に渡したのは、
100万ウォン(約9万円)にも満たなかった。
別の取材で会った中国の農村へ売られてきた女性は、
子供を産み、育てながら、一日中働いていた。
朝鮮半島のお盆にあたるチュソク(中秋)を前にしたある日、
彼女たちは故郷の母が恋しいと涙を流した。

脱北者が中国で産んだ子供は国籍を得ることができない。
彼らは「幽霊」と呼ばれた。
悲劇は次の世代にまで及んでいたのだ。
中国を脱出する中で生き別れとなる人々の姿も見てきた。
息子を手放さざるを得なくなって血の涙を流す母。
別れを告げられた息子は、母の前で号泣した。……

BBC、PBS、CANAL+、NHKなど、25カ国で放送され、世界中が涙したドキュメンタリー番組、待望の書籍化。

驚愕の事実に、涙なしでは読めない。

ローリー・ペック賞 ソニー・プロフェッショナル・インパクト最優秀賞
モンテカルロ・テレビ際 ドキュメンタリー部門最優秀賞

プロローグ 意気地なしのジャーナリストの告白
第一章 国境に置いてきた悲しみの翼
第二章 荒れる海で守った妻との約束
第三章 韓国に行けないなら死ぬ
第四章 鴨緑江の闇を行き来する人々
第五章 三つの名前を持つ女
第六章 そこでは人間市場が開かれる
第七章 中国脱出一万キロ
第八章 難民になった脱北ブローカー
第九章 シベリアでも涙は熱い
第十章 大韓民国からの脱出
第十一章 自由と引き換えに家族を失う
第十二章 脱北者と生きる牧師たち
エピローグ 心の国境を越える道

【著者紹介】
李 学俊(イ ハクチュン)
朝鮮日報記者
朝鮮日報記者、ドキュメンタリー監督。1999年2月、朝鮮日報に社会部記者として入社。2001年10月に1カ月間アフガニスタンで従軍記者として取材した。2007年から約5年にわたって脱北者を取材した内容をもとに、ドキュメンタリー番組「天国の国境を越える」を製作。このドキュメンタリーはBBC(イギリス)、PBS(アメリカ)、Canal+(フランス)、NHK(日本)など全世界25カ国で放送され、イギリスで行われた国際フェスティバルで最優秀賞、グランプリを受賞した。

内容説明

中朝国境で引き裂かれる親子、1万キロにわたる逃避行、韓国でも続く苦悩…。ローリー・ペック賞ソニー・プロフェッショナル・インパクト最優秀賞、モンテカルロ・テレビ祭ドキュメンタリー部門最優秀賞ダブル受賞。BBC、PBS、CANAL+、NHKなど、25カ国で放送され、世界中が涙したドキュメンタリー番組、待望の書籍化。

目次

第1章 国境に置いてきた悲しみの翼
第2章 荒れる海で守った妻との約束
第3章 韓国に行けないなら死ぬ
第4章 鴨緑江の闇を行き来する人々
第5章 三つの名前を持つ女
第6章 そこでは人間市場が開かれる
第7章 中国脱出一万キロ
第8章 難民になった脱北ブローカー
第9章 シベリアでも涙は熱い
第10章 大韓民国からの脱出
第11章 自由と引き換えに家族を失う
第12章 脱北者と生きる牧師たち

著者等紹介

李学俊[イハクチュン]
朝鮮日報記者、ドキュメンタリー監督。1999年2月国民日報入社。2001年アフガニスタンで従軍取材。2006年朝鮮日報に移り、2007~11年に脱北者を取材した内容をもとにドキュメンタリー番組「天国の国境を越える」を制作。取材チームは、自らの生命を危険にさらして撮影した価値のある報道に与えられるローリー・ペック賞をはじめ、国内外で多くの賞を受賞した

澤田克己[サワダカツミ]
毎日新聞ソウル支局長。1991年毎日新聞入社。岡崎支局、東京本社編集制作総センター、外信部、政治部などを経て1999~2004年ソウル支局、2005~09年ジュネーブ支局、帰国後外信部で朝鮮半島を担当した後、2011年からソウル支局勤務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ナミのママ

48
著者は朝鮮日報の記者。2007年から4年にわたり脱北者を取材したという本書は12章からなっており、11章が事例で最後の1章は脱北者を支える牧師達に焦点をあてたものでした。心理学者のマズローは人間の欲求を5段階にわけ、第1に「生理的欲求」、生きていくための基本的・本能的な欲求をあげているが、書かれている脱北者達は、人間として最も基本的な生きるために戦っています。現在報道される北朝鮮は核に絡む映像がほとんどですが、写らない部分に、まだこういう人々がいるのでしょうか。重い内容でした。2016/11/03

DEE

6
北朝鮮に見切りをつけ中国に渡ったものの、公安に追われ強制送還されるのを避けるため周辺の国へ逃れる。 騙され、裏切られ、それでも自由のために脱北者は新天地を目指す。 大韓民国は脱北者を受け入れるが韓国人は同民族でありながら受け付けないという矛盾。 あらゆる差別。 ただ家族が揃って普通の暮らしを実現するために命までかけなくてはならない理不尽さ。 見えない活動家たちの働きがせめてもの救いか。 内臓が重く感じる内容だけど、やはり隣国のことは知っておかなければ。2018/04/07

白のヒメ

6
韓国の記者が約五年間に渡り、脱北者に同行して密入国の取材をしたドキュメント。ジャーナリストの取材魂、命を懸けても真実を伝えねばならないという衝動には、心底感嘆する。虐げられている人達の人権を世界に訴えるために、自分の命を振り返らない危険を犯した数々の記録には鳥肌が立った。そして脱北者を命がけで救おうとする宗教者達の活動にも。すぐ隣の国で「食べる」ために命がけで国を捨てようとする人達が何万人もいるのだと改めて考えたら、この平和な日本に生きている事が奇跡なのだと思った。とても勉強になった。2013/08/25

ケニオミ

5
主に食べるために脱北する人達。脱北者が自由を得るために貯めたお金に群がるブローカー。支援を続ける主に牧師達。それぞれの視点から脱北について語ったのが本書です。脱北を成功させるには、むろんお金は必要ですが、最初の脱北先が中国となるため、公安に見つからない強運の持ち主である必要があります。苦労の末、韓国へ亡命できたとしても、「大韓民国は脱北者は受け入れるが、韓国人は脱北者を受け入れない」ことが原因で、北朝鮮へ帰る脱北者さえいるとことです。タイトルの「天国の国境を越える」の天国とはどこか分からなくなりました。2013/07/04

お抹茶

1
北朝鮮と中国,中国とラオスなどの国境を密入国する脱北者を追う。脱北者が中国で産んだ子供には国籍がなく,韓国も国籍を与えない。脱北者は難民でも,韓国大使館は受け入れない。国境で中国の公安に見つかれば強制送還させられ,取材者も逮捕されかねない。脱北ブローカーには,人身売買と覚醒剤密輸もする中国と北朝鮮の国境担当,中国内の移動担当,中国と東南アジアの国境担当がいる。韓国人は脱北者に冷たく,空腹と独裁から抜け出しても,再び帰る人もいる。信念に従う牧師が脱北者を支援する。2018/04/19

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