目次
立憲主義の多角的理解に向けて
第1部 9.11後の立憲主義(憲法は考える?;立憲主義と民主的責任:テロとの戦いに潜むさまざまな難題;次のテロ攻撃の翌朝に)
第2部 立憲主義とは何か(立憲主義のゲーム理論的分析;経済学における三つの立憲主義的契機;テロという危機の時代における「立憲主義」の擁護)
第3部 立憲主義の諸相(「小さな政府」の憲法学;公共サービスと自由:教育をめぐる平等と選択のジレンマを手がかりに;差別―ロールズ格差原理の再定式化)
著者等紹介
藪下史郎[ヤブシタシロウ]
1943年生まれ。イェール大学大学院博士課程修了、Ph.D.(経済学)。東京都立大学・横浜国立大学の助教授・教授等を経て、早稲田大学政治経済学術院教授
川岸令和[カワギシノリカズ]
1962年生まれ。イェール大学ロー・スクール博士課程修了(J.S.D.)。早稲田大学助手等を経て、早稲田大学政治経済学術院教授・同大学院法務研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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デンプシー
1
こういう本が読みたかった。憲法は国家の運営に非常に大きなインパクトを与えるにも拘わらず、憲法と他分野が交わる本を見かけたことがなかった。本書で特に面白かったのは、緊急事態条項を巡る2つの立場を取り巻く考え。一方は理に適っていないと批判するが、それは組織の合理性を担保するシステムとして憲法を位置づける「認知的立憲主義」の考えに依拠する。他方擁護の立場は、9・11後の現実を踏まえて、権限集中を防ぐ実践的な提案を交えて議論を進める。この他にもゲーム理論から見た憲法など、ユニークな内容が多かった。2023/05/07