出版社内容情報
来年の大河ドラマの主人公を取り上げた初の長編時代小説。『島津義洋』『刺客』などで注目を集める著者が、新解釈を盛り込み、読みごたえある大作に仕上げている。
内容説明
希代の名君か、ただの好色の徒か―混迷の幕末に終止符を打ち、近代日本の礎を築いた“最後の将軍”慶喜の隠された叡智に初めて光をあてた本格歴史小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Ryuji
4
★★★★☆再読。幕末のあの混乱はある意味ではこの人物の存在していたことにも一因があったのかも知れない。慶喜自身の意志が全く考慮されないまま、周囲のイメージだけが先行して、救世主として祭り上げられる。それに加え慶喜が全くの愚鈍では無い(と言うより一面から見れば英明であった)ため、混乱に歯車がかかったような気がする。徳川幕府260年に終止符を打った人物、その時の状況もあるが、その決断力はやはり凄いことだと思うし、この人でなければ出来なかったと思う。2015/06/16
Ryuji
2
★★★★☆最後の将軍・徳川慶喜の青年期(江戸無血開城まで)を描いた本。私が個人的に思う慶喜のイメージ(英傑ではないものの、決して愚鈍な人物ではない)とピッタリと合う内容であった。慶喜を持ち上げている本でもなく、慶喜の持つ二面性が上手く書かれていると思う。「慶喜は家臣をの失策を責めない、ただ見捨てるだけである」という表現がとても的を得ている。この人、幕末ではなく江戸中期の安定した時代に生まれていたら万人から名君と呼ばれていたのではないだろうか。2013/12/27