内容説明
明治人の気骨をいかんなく発揮した「北京の55日」を内側から描ききった歴史ドキュメント。
目次
1 争覇(ドイツ、膠州湾を占領;ロシア、旅順・大連を占領;激化する争奪戦;清帝国のたそがれ;モリソン、日本へ)
2 籠城(乱、首都を覆う;孤立する交民巷;勇猛と怯懦と;対日友情の芽生え;日本出兵をめぐる駆引き;極限状況に置かれて;密使に希望を託す;連合国救援軍)
3 決算(日本の名声、モリソンの名声;軍政下の北京;ドイツの割込み;分け前の交渉;会議はもめる;謝罪使節団)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まーくん
71
19世紀末、欧米列強に蚕食される大清帝国。それに対する一大排外運動として”義和団の乱”が山東省に起こる。乱の本質は列強に対する民衆の憤りであり民族意識の目覚めでもあった。反乱勢力が北京に迫るのをみて清廷は立場を鎮圧から支持に転じ、少数の守備兵に守られ東交民巷の公使館街に立て籠もる英米仏独露伊日の北京駐在外交団らを攻撃。在豪の著者は、駐在外交団・居留民と共に救援を待つことになった英タイムズ社の敏腕記者モリソン(豪州人)が見た55日間に及ぶ籠城戦の模様を、モリソン文書など一次資料を中心に日英の資料を基に描く。2020/06/28
0717
14
義和団事変時にロンドンタイムズ北京駐在員だったモリソン氏の記事や手記、書簡などから、事変前夜の清国と欧米列強の侵略、事変発生から北京籠城戦、解放、戦後処理までが描かれる。著者はモリソンと日露戦争をテーマにした研究者で、本作はその過程で派生したものらしい。柴五郎中佐と日本兵の活躍は傑出している。モリソン記事が世界に宣伝してくれた。2021/10/05