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出版社内容情報
■本書の概要
近年、学校現場は業務過多より疲弊し、教員志望者の減少、子どもの不登校の増加、AIによる学習環境の変化、そして「教職の劣位化」という構造的な課題が山積しています。こうした変化の中で、教職は何をよりどころにし、どこへ向かうべきでしょうか。本書は、学校ガバナンス改革・教職の専門性・校長のリーダーシップの在り方・組織マネジメントなど、教育経営学の核心を体系的に示した一冊です。 教職が本来もつ力を取り戻すための理論と実践を提示する、現場・研究双方の第一人者による決定版です。
■本書からわかること
「教職ディスエンパワーメント」からの反転へ
ここ20年以上にわたって、教職は「ディスエンパワーメント(自信や自己効力感の剥奪)」の状態に追い込まれてきています。その要因として、以下が挙げられるのではないでしょうか。
・教師自身が、自分の職に対する誇りや手応えを失わされている
・学校組織の内側に、教師の潜在力を押さえ込む構造が存在している
・近年のガバナンス改革・「高度専門職業人」論が、結果として教職の劣位化を促進している
本書で述べる「教職のエンパワーメント」とは、「教授・学習活動の質を高めることに、自分は関与できるし、変えられる」という確信と自己効力感を取り戻すことです。教職をエンパワーメントするため、過去数十年にわたる教育政策・学校改革の軌跡と、国内外の調査データを丹念に紐解きながら、なぜ教職がディスエンパワーされてしまったのか。どうすれば、教職の専門性を回復できるのかを理論的・歴史的に描き出します。
管理職だけの本ではない――すべての教師が「学校経営」の主体
本書では、一貫して「学校経営で最も重要なアクターは、一人ひとりの教師であること」「すべての教師が、自分の授業や学級を超えて、学校組織全体をどうつくるかに関わる主体でありうること」を述べています。
授業改善や学級経営の工夫が、なぜ学校全体の変化につながりにくいのか。研究主任や分掌担当者が、研修や研修所で学んだアイデアを「自分の学校ではムリだ」と諦めてしまうのはなぜか。
その背後にあるのが、「組織」という壁をどう扱うかについての知識と視点の欠如にほかなりません。本書では、過去の専門家たちの理論を学ぶとともに、学校経営学の知見を「管理職のための理論」に閉じ込めるのではなく、教師自身が自律的に組織を動かすための方策を考えていきます。
■こんな先生におすすめ
・校長・副校長・教頭など学校管理職
・教職の専門性や学校改革を体系的に学びたい教員
・教育行政・教員養成に関わる方
・大学院で教育経営学・教育行政学を学ぶ学生
・学校改革を進めたいが、何から考えればよいか悩む方
【目次】
第1部 学校ガバナンスと校内組織構造の改革
第1章 今の教育改革の難しさ
第2章 ガバナンス改革の中の学校と教師
第3章 学校組織と校長を対象にした施策の展開
第2部 学校組織の実態変化と教職の危機
第4章 学校組織の実態はどう変化したか
第5章 教職の危機とその背景をどう見るか
第3部 教職の劣位化と「専門職」論の変質
第6章 「教職の劣位化」に立ち向かう
第7章 「専門職」から「高度専門職業人」への転回に潜む問題
第4部 教育専門職としての教職の復権
第8章 「教育専門職としての教職」の再構築へ
第9章 教育専門職としての教師の職務特徴
第10章 教育の専門組織としての学校の特徴
第5部 校長のリーダーシップ論の転換へ
第11章 「校長のリーダーシップ」論の陥穽と「リーダーシップ」概念
第12章 「校長のリーダーシップ」論の転換
第6部 教職をエンパワーする学校組織論
第13章 教職のエンパワーメントへ
第14章 「学習する組織(learning organization)」としての学校組織へ



