出版社内容情報
命を守る「泳ぎ」を、すべての人へ。
「安全水泳」は、水難事故から自分と他者の命を守るための知識と技術の総称です。
本書は、半世紀以上にわたり水泳教育に携わってきた著者らが、最新の統計・実践・理論をもとに、安全水泳の理念と方法を体系的に解説した決定版です。
「安全水泳」という新しい視点
本書は、「危険」「リスク」「ハザード」という基本概念を手がかりに、水辺で安全を確保するための新しい考え方=「安全水泳」を定義しています。従来の“安全な環境づくり”中心の考え方から一歩進み、「自らの命を自ら守る」ための実践的な知識と技術を総合的に捉える視点を提示します。
落水・着衣時に命を守る技術
立ち泳ぎや仰向けでの泳法など、落水や衣服着用時に必要な実践的技術を、写真・動画と具体的な指導法とともに紹介。水を含んだ衣服の重さや体温低下など、実際の危険に即した内容で、従来の競泳指導では得られない「生きるための泳ぎ方」を学ぶことができます。
自然水域・災害への対応力
海・川・湖など自然環境下で起こりうる事故の原因と対処法を詳しく解説。離岸流・風による流出、急深地形などのリスクを踏まえ、危険の発見・分類・回避の方法を体系的に示します。さらに、地震・津波・気候変動といった災害リスクへの備えも取り上げ、水辺活動の安全を多角的に取り上げています。
水泳教育を「命の文化」に
日本の水泳文化の系譜を踏まえ、水泳を「競技」だけでなく「命を守る文化」として再定義します。学校教育における公平な学習機会を背景に、安全水泳の理念と技術を導入することで、将来の水難事故の減少と、地域全体で命を守る社会の実現を目指します。
〔特別寄稿〕櫻井翔さん
東日本大震災の被災地への継続的な取材など、防災・安全についての造詣も深い、タレント・櫻井翔さんに、ご推薦の言葉を頂きました。
櫻井さんは、本書の著者でもある藤本秀樹先生から、直接水泳の指導を受けた経験もおもちです。本書に寄せて、ご自身の経験も踏まえた言葉でご寄稿をいただいています。
【目次】
はじめに ◆藤本秀樹
刊行によせて ◆櫻井翔
安全水泳とは
Prologue
・日本の安全水泳の現状
・水泳の特性
Chaptrer 1 安全水泳の基準
知識1 自然水域とプールの違い
知識2 着衣水泳の特性
知識3 浮き具の使用
技術1 安全な入水
技術2 呼吸の確保
技術3 浮き身
技術4 体制変化
技術5 水中移動
技術6 基本的な泳法
技術7 安全な退水
Chapter 2 安全水泳ケーススタディ
態度1 危険性の判断
態度2 水の安全に関する価値観
態度3 自己評価
態度4 溺水者への対応
場面1 家庭内での安全水泳
場面2 海浜での安全水泳
場面3 河川での安全水泳
場面4 湖沼での安全水泳
場面5 プールでの安全水泳
場面6 洪水・浸水と水の安全
場面7 地震・津波と水の安全
場面8 自然水域における落雷
場面9 危険生物
対象1 幼児期の安全水泳
対象2 高齢者の安全水泳
対象3 障がい者と安全水泳
Chapter 3 安全水泳を広げる取り組み
取組1 着衣英と着衣水泳の解釈
取組2 生涯スポーツと安全水泳
取組3 川・水辺での水難事故防止について
取組4 気候変動問題と安全水泳
取組5 海上保安官からみた水と安全
取組6 ライフセービングと安全水泳
Chapter 4 ウォーターコンピテンスの提案
提言1 水難事故防止のための安全水泳の提案
提言2 国策としての安全水泳
提言3 日本水泳教育の大改革
提言4 「スイマー=ライフセーバー」の提案
提言5 安全水泳を取り巻く水辺環境をどう考えるか
おわりに ◆鷲見全弘



