出版社内容情報
算数教育のど真ん中、「数と計算」を究めるための最良の書!
算数の内容は系統性を意識することが大事だ。その中でも一番押さえておきたいのが、「四則計算」。加減乗除ができなければ子供は授業についていけなくなる。しかし、本当に重要なのはできるできないではない。計算の意味や方法を考察し演算決定する力である。本書にはその肝が詰まっている!
◎令和の時代になぜ、計算の学習をするのか
いまや、スマートフォンに語りかければ計算結果を言ってくれる時代、式をカメラで写せば答えを表示してくれる時代です。手計算により早く正確に答えを求められるスキルの相対的な価値は低くなり、「数と計算」領域の学習では、今まで以上に、計算技能の習熟にとどまることなく、数学的に考える資質・能力の育成を図ることが重要になっています。
教科書に則って、立式の根拠を問うたり、子供にとって初出の計算の仕方を考えたりする授業を展開しているから大丈夫と考えられる先生もいるかもしれません。しかし、実際の授業を見ると、「まとめ」が、本時の鍵となった見方・考え方よりも得られた結果に光を当てていることが少なからずあります。「適用問題」もその内容次第では、「今日の授業で大事なことはこの計算ができるようになることだよ」という誤ったメッセージになっていることがあるかもしれません。そのような授業が繰り返された結果、計算の意味と方法を考えることに積極的に関わっているのは一部の子供たちだけで、残りは計算の方法を覚えて答えを求められるようになればいいと思っているという、残念な状況に陥りかねません。
◎「数と計算」の指導を通してどんな子供を育てたいのか
では、計算の意味と方法を考えることに積極的に関わっているのはどのような子供なのでしょうか。算数が得意な子供、算数が好きな子供で片付けずに、その内実に目を向けてみましょう。初出の計算の方法を、何もない状態から考え出しているわけではありません。そのような子供は、それ以前の学習において身に付けた式の見方や計算の方法の考え方に基づいて、新たな計算の方法を考え出そうとしています。同じような見方や考え方が利用できることやそれらがアップデートされていくことが分かるので、一層、楽しさ、面白さが感得できるのでしょう。
◎数学的に考える資質・能力を伸ばす子供を増やすために
このようなことができるのが一部の子供だけでは、学びの質の「二極化」が進んでしまいます。これを防ぐには、教師が学年を縦断して、内容としての系統だけではなく、鍵となる見方や考え方のつながりについて理解し、各学年で何を大切にするかを判断する必要があります。
本書を通じて、計算の意味や方法を考察することに楽しさを感じ、数学的に考える資質・能力を一層伸ばす子供が増えることを願っています。
【こんな先生におすすめ】
算数教育に力を入れている先生
これから算数を学びたい先生
内容説明
全学年32事例掲載!計算の意味や方法を考察することを通して数学的に考える資質・能力の育成を図る!
目次
第1章 論説(育みたい見方や考え方)
第2章 実践事例(第1学年 繰り上がりのあるたし算―どうして10をつくりたくなったのかな?;第1学年 繰り下がりのあるひき算―どうして早く9をひけたの?;第1学年 たし算とひき算―一輪車から子供をひくの?;第1学年 たし算とひき算のきまり―どうしてこのきまりはいつでも使えるのかな?;第2学年 たし算とひき算の筆算―位ごとに分けるといいことがあるの?;第2学年 たし算とひき算の相互関係―たし算とひき算はどこを求めている計算?;第2学年 たし算とひき算のきまり―筆算しなくても解けるかな?;第2学年 量の計算―かさの計算と長さの計算は同じ?;第2学年 かけ算(2)―かけ算の場面を式に表せるかな? ほか)