出版社内容情報
「恐怖」は太古から人類を支配してきた。それは人々を服従させる力ともなり、またはさらなる進化や発展に向けての原動力ともなった。
本書では恐怖政治、異端弾圧、植民地支配などで「恐怖」が支配のための道具にされた例や、疫病や大恐慌、金融危機などで不安が社会を覆ったときに「恐怖」がどう利用されたか、さらには9.11以降「対テロ作戦」の名目で新たな戦争と混乱が始まったこと、エイズや新型コロナウィルスの発生に伴いフェイクニュースや陰謀論が広まったことなどを受け、いかに「恐怖とパニック」が私たちを支配した結果、新たな行動へと向かわせてきたかについて克明に綴り、その背景を分析する。
恐怖とパニックの歴史を辿ることで学べるのは、気候変動や、アメリカによる力の外交(「トランプ・リスク」)、香港での言論弾圧や中国の周辺諸国への威圧的関与、プーチン・ロシアによるウクライナ侵攻など「恐怖」が再び世界を覆う現在において、それに取り込まれることなくどのように正しく向き合うべきかというヒントである。
内容説明
ペスト、金融危機、ホロコースト、気候変動、一党独裁、陰謀論、新型コロナ、AIの進化、トランプ・リスク。私たちを支配し、従わせるものの正体を知る。
目次
中世の大疫病―飢餓、ペスト、集団ヒステリー現象
恐怖の新時代―宗教改革の混乱、異端の弾圧、魔女狩り
力の劇場―絶対君主による恐怖の管理体制
パニックの植民地化―先住民を襲った暴力・飢饉・疫病
自由の専制―革命期の恐怖政治、暴力の激化
奴隷のマトリックス―恐怖が支配する奴隷船・植民地
群衆に埋没して―都市犯罪、集団暴走、「恐怖症」の増加
機械から出た悪魔―人間性を奪う技術主義社会、感電死、「映画恐怖症」
大暴落―投機的バブル、恐慌、金融危機
塹壕の中の恐怖―第一次世界大戦、砲弾ショック、兵士の犠牲
絶滅収容所と独裁者たち―ナチスとホロコースト、スターリンの粛清
悪夢のコンテスト―冷戦とベルリンの壁、毛沢東による弾圧、赤狩り、核戦争の脅威、AIとサイバネティクス
分裂と崩壊―グローバル化の不安、都市の荒廃、エイズと陰謀論
対テロ戦争―9・11の衝撃、国際テロリズム、「恐怖」の政治利用と国家権力の強化
エコ・パニック―エコ不安と気候変動否定論、終末論的な環境保護主義
著者等紹介
ペッカム,ロバート[ペッカム,ロバート] [Peckham,Robert]
文化史家、英国王立歴史協会のフェロー。人文科学と科学とテクノロジーの統合を促進する組織Open Cube(オープン・キューブ)の創設者。香港大学の歴史学教授、同大学の人文科学と医学のM.B.Lee客員教授を務めた。ケンブリッジ大学、オックスフォード大学、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス、キングス・カレッジ・ロンドンでも研究員を務めた。ニューヨーク在住
林久実[ハヤシクミ]
翻訳者。神戸女学院大学英文学部英文学科卒業。教職を経て現在に至る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
-
- 和書
- 絵でみる釣り魚料理の本