出版社内容情報
これまで本格的に取り上げられることがなかった武田信玄の妻・三条殿を主人公に、さらには信玄の別妻や妾および子供たち(七男八女の計十五人)といった家族にも焦点を当てて、新たな武田信玄像を浮かび上がらせる。
武将の妻や側室、子供に関する家族を主題とした研究は、残存史料の少なさから、まだまだ刊行されている書籍は多くない。戦国武将の中で特に人気の高い武田信玄であっても、その正室である「三条殿」や家族についての研究は少なく、あまりよくわかっていない。本書は武田信玄の家族について丁寧に解き明かした意欲作。
内容説明
一人の正妻、三人の別妻、一人の妾、そして七男八女の子供たち…戦国大名武田家における女性の役割と性格、家族の在り方を明らかにした意欲作!
目次
第1章 信玄との結婚
第2章 三条殿の子供たち
第3章 信玄の別妻と妾
第4章 武田家の御前様
第5章 子供たちの盛衰
第6章 三条殿の死
史料編 三条殿・武田義信仏事香語
著者等紹介
黒田基樹[クロダモトキ]
1965年生まれ。早稲田大学教育学部社会科地理歴史専修卒業。博士(日本史学)。現在、駿河台大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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きみたけ
59
著者は駿河台大学教授の黒田基樹先生。武田信玄の妻・三条殿の生涯を追いながら、戦国大名武田家の正妻・「家」妻の役割とその性格について追求した一冊。三条殿に関する史料が極めて少ない中、戦国大名家における女性の役割と性格を明らかにしていきます。今回の検討では、自身の子武田義信が起こした義信事件や勝頼嗣立問題などの政治的解釈にも新たな視点を見出すことが出来たとのことです。すでに今川家、北条家の正妻について出版してるとのことで、機会があれば読んでみたいです。2023/11/01
鯖
17
大河の武田信玄での三条殿は紺野美沙子さんが演じてらして大奥みたいな嫉妬深い正妻みたいな描き方で好きじゃなかった。まあ時代ですね。それから研究が進んだ色々な本を読み、三条殿が本願寺顕如の正妻の姉にあたると知ってほえええってなったりした。彼女が信玄の子6人を身籠り出産していた頃に、他に信玄が産ませた子は2人しかいないというのにも驚いた。正妻強いんだなやっぱり。それでも義信は後継げなかったというのがまた。信長の娘と勝頼との婚姻の申し込み時と同じということで関係はあるだろうけど、まだ謎とのこと。2024/02/18
Toska
12
戦国大名は野放図に子作りしていたかの如き印象を持たれがちだが、実はどの妻がいつ出産するかは厳格にコントロールされており、しかも正妻がこれに関与した可能性が高い。等々、かなり刺激的な内容だった。論拠がほぼ状況証拠に限られる上、人間の生殖能力を過大評価しているのでは?という疑問は残るものの、今後掘り下げられていくべき論点。戦国大名は当主の意志が全てに優越したわけではなく、総体としての「家」こそが守るべき存在であったことを改めて思い知らされる。2023/02/10
フランソワーズ
5
三条殿のイメージはやはり、大河『武田信玄』の紺野美沙子さんが決定版。でも著者によるこの時代の「妻」というものを少ない史料から割り出した結果、かなり異なった実像が見えてきた。さらにはそこから派生させてゆくと、武田家の女衆(別妻や妾)、その子供たちだけでなく、果ては「武田家」の政治・外交といったものにまで影響が及ぶ。史料の少なさから著者は推測であると度々書いているが、それでも整合性が感じられ、説得力がありました。2023/08/26
オルレアンの聖たぬき
5
信玄公の正室三条氏。新田次郎氏の本でしか知らなかったその存在とキャラクターでしたが、その正妻としてどう生きたかのその一環が明らかになっています。それ以外にも『諏訪勝頼から武田勝頼へ』どう変わっていったかもよくわかりました。2022/09/12