内容説明
「富・権力・多産・美」の象徴から「不健康・不快・野蛮・下流」へ―古代から現代まで数千年に及ぶ偏見と嫌悪の歴史をたどる。
目次
はじめに 場違いの生
第1章 生命の源―脂肪をめぐる考察
第2章 肥沃な曖昧性―農業的なイマジネーション
第3章 古代の食欲―贅沢と柔らかさの地理学
第4章 キリスト教徒の肥満―腹とその下にあるもの
第5章 ノーブルな脂肪?―中世の肥満
第6章 「地の脂肪」―なぜよい雄鶏は太っていないのか
第7章 スパルタの幻影―ユートピア国家と近代性の課題
第8章 油脂と優雅さ―脂肪を待ち受ける新たな試練
第9章 野蛮な欲望―「原始的な」肥満と「文明的な」痩身
第10章 肉体のユートピア―超越という近代の夢
結び 清浄と軽さ、そして歴史の重さ
著者等紹介
フォース,クリストファー・E.[フォース,クリストファーE.] [Forth,Christopher E.]
アメリカ・カンザス大学歴史学教授・人文学部長。ジェンダー、セクシュアリティ、人体や感覚についての文化史(とりわけ近代フランス、英米)やヨーロッパの知の営み・文化の歴史など研究対象は広範囲に及ぶ。「Cultural History」誌の編集長を務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kira
4
肥満は富と権力の象徴であったものが、近年自己管理できないマイナスイメージのものへと変わってきたと、認識していたのだが、古代より、肥満はマイナスのイメージが強いものだったということが本著では著されていた。肥満のもとの脂肪は湿って柔らかく、熟れすぎたものが腐りゆく様と捉えられている。しかし、この本自身が西洋の視点が重きに置かれていて、非西洋の肥満をよくないものとしてみているため、逆からの視点による記述が少なく、些か偏ったもので、差別的な考えを感じた。2020/09/27
stray sheep
0
僕の宿痾ともいうべき、肥った人間(とりわけ女性)への異常なまでの拒否感を突き詰めてやろうという、ふざけたようなまじめなような動機で読み始めたが、結局この著者自身のプロポーションが気になって読書には集中できず。笑2024/06/06