内容説明
本書は、二〇〇一年十月に急逝された西村圭子先生の追悼論集として編集したものである。本書の前提となったのは、一九九九年に、西村先生の編集によって実現した『日本近世国家の諸相』であった。今回、先生への追悼の意をこめ、その方針を継承しながら、再び近世国家の成立と展開、政治・社会・文化の諸相に関する論考を一書としてまとめることとした。収録論文は、個々の問題関心に基づき、幅広い視野から近世国家の特質の解明を試みた。そのため、必ずしも一貫したテーマに沿う論集とはなっていないが、それぞれの問題意識と新たな論点の提起を優先し、敢えて論文間の調整は行わなかった。
目次
1 近世国家の成立と展開(対馬宗家の近世朝鮮貿易に関わる以酊庵史料について―建仁寺両足院所蔵文書を中心に;奥州伊達氏の外交政策―16世紀後半から17世紀への展望;家光政権期の高家 ほか)
2 中後期における地域の変容(開発の地域史―享保期新田開発と関東;近世多摩川の用水普請と堰料徴収―大丸用水堰・二ケ領用水堰を中心に;近世山村における村と組―秩父郡古大滝村を事例として ほか)
3 近世から近代へ(伝統芸能の近代―東京府における能楽関係者への課税を中心に;時の鐘の変遷と衰退をめぐって―上野寛永寺の例を中心として)



