内容説明
三角縁神獣鏡製作場所の追究、纏向遺跡の多角的考察、「魏志倭人伝」の虚心な読破により、邪馬台国及びヤマト政権の実像を鮮明にする。
目次
第1章 邪馬台国への道程(道程;里;連続式と放射式 ほか)
第2章 考古学による追求(弥生時代の青銅器文化;銅鏡;纒向遺跡)
第3章 倭国の政治構造(王と官、大人と下戸;国家連合;女王卑弥呼)
第4章 ヤマト政権との関係(九州からの東遷説;三輪山、出雲系;皇統と香久山)
感想・レビュー
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hyena_no_papa
3
特に刺激のある本ではない。「穏当」の2文字がこの本を評するに最適では。「教養の日本史」シリーズとして刊行された1冊であり、なるほど感を味わうことが出来た。前半数箇所で古田説を取り上げて批判しているのも、まさしく「穏当」を裏付けている。著者は邪馬台国をヤマトに求めているが、概ね従来説を踏襲しているためか、位置論的には印象に残らない。「教養の日本史」を謳うにふさわしい姿勢かも知れない。ただ、根拠をあげつつ邪馬台国と大和朝廷は連続しないとの見立てをしているが、ここは個人的に譲りたくない気がした。好著として推す。2021/05/12
磯部
1
九州説、畿内説が対立する邪馬台国であるが、本書では畿内説を支持している。引用を多く用いるのに加え、多数の他書と比較しながらじっくりと説明されているが、知識がなくともおおまかに理解できた。畿内と九州の文化の違いははっきりとしており、いまだに邪馬台国の場所が特定できないのが不思議なほどである。ユダの福音書のように、新たな発見がなければもうこれ以上議論の進展はないのだろうか。2015/09/07