- ホーム
- > 和書
- > 人文
- > 文化・民俗
- > 文化・民俗事情(日本)
内容説明
切腹のフォークロア、民俗学の手法による、洞察力に富んだ日本文化論が縦横に展開される。
目次
序章 近世切腹のイメージと実態
第1章 切腹とその生理的基礎
第2章 切腹の類型とその時代
第3章 切腹起源論―新渡戸説を中心に―
第4章 切腹民俗研究の目的と方法―ことに資料の吟味とその実例―
第5章 習俗の起源から伝統へ―その維持と変容―
第6章 人を切腹に志向させるもの
終章 切腹の未来
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Toska
4
切腹は「日本人」「武士」「男性」だけの習慣である、という思い込みをものの見事に覆してくれる。元来は内臓(=その持ち主の真心)を他者に示してみせるのが目的で、死はそれに付随する結果でしかなかった。高度に演出された、他者との関係性が前提となる自殺の形式。エロチシズム云々までいくと著者の悪ノリではとも思うのだが、その辺りまでひっくるめて凄いもの読んだな、という感想。ただ、「なぜ」だけではなく「どのように」切腹するかまで具体的に説明されているから、気の弱い読者にはお勧めしません。2022/02/24
半木 糺
3
「切腹」という日本人固有(と思われている)の習俗を民俗学的見地から考察した書籍。切腹の起源は自らの腹を開くことによって己が心に偽りが無いということを証明する古代の儀式であった。この習俗が、武家社会の誕生と発展に伴って洗練され、様式化し、現在の我々がイメージする「切腹」の形になったことを豊富な史料から解き明かしている。さらに、単に「切腹」の起源とその歴史的変容を考察するに留まらず、なぜ日本人は「腹を切る」という行為に至ったのか。そこに至る精神的・心理的プロセスにまで思考を広げている。2015/03/24
晴嵐
3
切腹は動物などの内臓によって占いをする内蔵占いに端を発するもので、腹の中をみせることで真心を示す意図がある。2013/10/11
さっちゃん
2
著者の情熱が伝わってくる内容だった。著者の子供時代は切腹ごっこが行われていて実際に命は助かったが肥後守を使って切腹してしまった同級生が2人もいたエピソードとか、主婦が普段から切腹ごっこしていて遂に本当に切腹してしまう話とか強烈。縄文の死生観に鉄器の登場と農業の伝来が組み合わさり、切腹が生まれたというのは結構納得いく。首狩り族が首を狩るのは心の宿る場所が腹から頭であるというふうに変化した結果だというのも面白い。豊作祈願の為に血から内蔵それから首を供えたんだ。
ちちもん
2
過去の切腹の事例,切腹の作法や意味,そして切腹の起源をたどる内容。突然実際の切腹の写真が出てきたのには驚いたが,大変興味深かった。縄文土器にもその起こりが観察できる点など特に面白かった。2011/08/31
-
- 和書
- 英米児童文学辞典