内容説明
およそマニア的な拘泥とは対照的に文化、文明論の現在を見すえる大きなスケールで『シャーロック・ホームズ』を論じた構成といい、文体といい、余り例を見ないタイプの本。
目次
第1章 序―割り出し人事件
第2章 シャーロック・ホームズ正典の神話的構造―叙事詩、サーガ、中世ロマンス
第3章 医学のモデル
第4章 文学的な祖型
第5章 一般捜対性理論―科学のセンスとノンセンス
第6章 特殊捜対性理論―シャーロックホームズの症候学
第7章 ワトソンの書―不確定性の友情
第8章 結論―推理の統一場理論
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Ecriture
2
ホームズをドン・キホーテに、ワトスンをサンチョ・パンサに、アイリーン・アドラーをドゥルシネア姫に準えて時代錯誤の騎士精神を発揮するホームズシリーズを読み解く。過去の文学作品の影響を受けつつ自身もまたパランプセストの餌食となる「パランプセスト・シンドローム」としてのホームズシリーズは更新されゆく神話に他ならない。ドイルが虚構の地名を出し、時間も曖昧に描くのは神話性を高めることに一役買っている。「黄色い顔」→憶測ばかり→後で修正すれば良い。「ソア橋」→「いつだって他の説明の仕方はある」。2013/06/12
monado
1
博学の医師によるシャーロック・ホームズの批評書。前半はシャーロック・ホームズの祖型を追っていく論評であるのでわかりやすいが、後半はかなり散漫な感じを受ける。総じて、シャーロック・ホームズの語り口が科学万能主義の語り口をつかいながら、科学的理論には寄っていないことを明らかにしている。 ただ後半で作者がつなげようとしてみせるアナロジーも、話としては面白いが、それほど論理的とは思えないところもあり、もやっとさせられる。2021/06/29




