内容説明
00年代(西暦2000年~2009年)の10年間に国内で発表されたSF短篇から、歴史に残る作品をよりすぐった傑作選。
著者等紹介
大森望[オオモリノゾミ]
1961年高知県生まれ。京都大学文学部卒。翻訳家、書評家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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SF・ホラー本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ざるこ
38
12篇。錚々たる顔ぶれ。既読3篇。野尻抱介「大風呂敷と蜘蛛の糸」小川一水「幸せになる箱庭」上田早夕里「魚舟・獣舟」いいものは何度読んでもおもしろい。菅浩江「五人姉妹」は感情に、飛浩隆「ラギット・ガール」は感覚に訴えてくるような作品。飛浩隆はそういうの多いような。肌がざわざわしてくる。好き。田中啓文「嘔吐した宇宙飛行士」タイトルまんま。ゲロは命を救う!あほらし…と思いつつしっかり読むw相性悪いと思ってた桜庭一樹と円城塔を普通に読めたのでよかった。神林長平「ぼくの、マシン」独特な世界観。豪華で贅沢な1冊。2025/03/14
巨峰
33
Sの巻は、ハードSFを中心に本格的なSFを取り扱う。スピンオフ作が多くて全体を知っていたら、もっと理解できたのにといううらみはある。その中でちょっと無理かなと思っていた神林長平さんの作品が意外に読みやすかったので今後挑戦してみたい。今回一番良かったのは野尻抱介さん。その「風景」を想像しながら読んでみた!高所恐怖症気味の僕には無理だけど、人間の存在のはかなさとか矮小さを感じるとともに、主人公の勇気・使命感も感じた。上田早夕里さんの「魚舟・獣舟」は再読だけど初読の時より更に感銘を受けました。2024/11/11
たまご
14
宇宙を目指すもの,first contuctものに見せかけて…,継ぐ繋がるそれを否定する,って感じの,やや未来・ハードよりに感じた短編集.シリーズ物からの作品も結構あって,もとを読んでいなくてちょっと残念.物理苦手な私として覚悟して読んでいたらとても面白かった「大風呂敷~」が収穫.安定の「ラギッド・ガール」.あれもこれも私,とこんがらがった「~箱庭」.てえへんだてえへんだ,の裏にそんなことが…!の「Yedo」などなど,おかしろくこんがらがり時に叙情に浸る作品たちでした.10年代,とかあるのかな.2021/11/28
ふりや
14
大森望さん編纂の日本SFアンソロジー。現在の日本SFの流れを作り、支えている作家たちが並ぶ豪華なラインナップ。半分ほどは既読でしたが、再読しても変わらない面白さでどの作品もハズレなし。特に飛浩隆さん『ラギッド・ガール』の飛び抜けたクオリティの高さに感嘆し、伊藤計劃さんの作品には胸が熱くなりました。その他に印象に残ったのは、特異体質を持った主人公の活躍がヒロイックだけど悲しい上遠野浩平さん『鉄仮面をめぐる論議』クローンの姉妹たちの切ない交流を描いた菅浩江さん『五人姉妹』上田早夕里さんの『魚舟・獣舟』など。2020/12/20
雪守
14
全ての作品が面白かったSFベストアンソロジー。それにしてもあとがきには驚きました。ゼロ年代SF傑作選の陰の立役者がここに! どおりでタイトルの許可が下りるはずだよ。特に面白かったのは二編。上田早夕里「魚舟・獣舟」、終末を感じさせる世界の美しさが際立っていました。表題作の神林長平「ぼくの、マシン」、番外編とのことですが、本編で一体どんな世界を描いているのかすごく気になります。いいアンソロジーを読むといつも感じますが、許容量をオーバーしてどんどん読みたい本が増えていく…。2010/11/06