内容説明
2007年の日本SFの精華、選りすぐった16作を収録。
著者等紹介
大森望[オオモリノゾミ]
1961年高知県生まれ。京都大学文学部卒。翻訳家、書評家
日下三蔵[クサカサンゾウ]
1968年神奈川県生まれ。専修大学文学部卒。書評家、フリー編集者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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- 評価
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ほぼひつじ
14
2007年の国産SF傑作選。当時、自分は中学生。国産SF事情について知らなければ、本もあまり読まなかったので、「この時から、この人が」と思いながら読みました。年刊アンソロジーは、その年の空気感を含むと言うけど、リアルタイムに読む感覚はもう味わえない。こういう本を遅れて読むと、そこが残念に思います。516ページに選りすぐりの16人と量も質もボリュームが有るが、笑えるものから、ぞくっと怖いものまでジャンルは様々。読めば何編か気に入るものがあると思います。知らない作家を切り開く、良いキッカケになりました。(→)2016/02/20
JACK
14
○ 2007年の国内SF短編アンソロジー。身に付けているだけで増える怪しい物体が巻き起こす社会現象とカップルの危機を描く小川一水「グラスハートが割れないように」、人を愛する心を描く山本弘「七パーセントのテンムー」、何年も前に死んだ友人に会う物語、かんべむさし「それは確かです」、行方不明になった科学者を探す警察官が怪奇現象に立ち向かう平谷美樹「自己相似荘」、平和な世界を作るために終戦後の兵士に施されたある対処とそれが引き起こす悲劇を描く伊藤計劃「The Indifference Engine」が良い。2013/03/31
ふりや
12
大森望さんと日下三蔵さん編纂の日本SF年間ベストアンソロジー。第1弾となる2007年版。著者紹介や解説も充実しており読み応えがあります。印象に残った作品は、あるスピリチュアル系アイテムの流行に翻弄される恋人たちを描いた小川一水さん『グラスハートが割れないように』相変わらず良く分からないけどなんか楽しい円城塔さん『パリンプセスト』多元宇宙で離ればなれになった恋人たちを描いた八杉将司さん『うつろなテレポーター』何回読んでもやっぱり最高に面白い伊藤計劃さん『The Indifference Engine』など。2021/04/25
の〜けん
12
SFって色々あるのね。最後の伊藤作品で全部もってかれた。2017/09/01
佐倉
9
2007年の傑作選。既読は幽霊屋敷とSFが融合した『自己相似荘』平谷美樹。印象的だったのは怪物化する奇病が一般的になった世界を提示しながら縺れた痴情に感じがらめにされた男の悲哀に終始する『羊山羊』田中哲弥、スピリチュアルに傾倒した彼女と世界の熱狂と醒める瞬間を描く青春もの『グラスハートが割れないように』小川一水、人間に寄生する侵略者を見つけるための捜査官たちのバイオレンスな任務と『靄の中』北國浩二、とにかく骨太で終わりの見えない地獄を描いたような『The_Indifference_Engine』。2024/05/26