内容説明
フェザーンを制圧下に置いた帝国軍は、今や同盟首都の目前にまで迫っていた。ヤンはイゼルローン要塞放棄を決断、民間人を保護しつつ首都へ急行する。圧倒的な優勢を誇る敵軍に対し、ヤンは奇策を用いて帝国の智将たちを破っていくが、ラインハルトの大胆な行動により、彼との正面決戦を余儀なくされる。再び戦火を交える“常勝”と“不敗”。勝者となるのははたしてどちらか。
著者等紹介
田中芳樹[タナカヨシキ]
1952年、熊本県生まれ。学習院大学大学院修了。78年「緑の草原に…」で幻影城新人賞受賞。88年『銀河英雄伝説』で第19回星雲賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
- 評価
適当に購入した物本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
カピバラKS
125
●銀河帝国「常勝の天才」ラインハルトと自由惑星連合「不敗の魔術師」ヤンの二大英雄による決戦「バーミリオン会戦」を描く。両英雄による知謀の限りを尽くした大会戦は、本シリーズ最大の見せ場と言っていい。●さて、決戦前夜のこと。ヤンは「なけなしの勇気」を奮い、ヤンの悪友キャゼルヌとヤンの優等生的な舎弟ユリアンは、それを肴にウィスキーを味わう。何とも乙なシーンである。●また、謎めいた地球教総大司教は、ラスボス感がハンパない。物語は両英雄の決戦で終わることなく、更に深みを増していくのだ。2024/07/17
金吾
98
○直接対決はがっぷり四つで面白かったですが、美意識のために戦略的優位性を放棄するのは指揮官としていかがなものかなとも思いました。 あとポピュリズムに陥った民主主義の結果責任はどのような形でとっていくのだろうかと考えさせられました。2020/07/01
おかむー
90
折り返しの第五巻。一巻以来のヤン対ラインハルトの直接対決にして、同盟と帝国の戦争状態も一旦の決着となる。『よくできました』。帝国のフェザーン併合によってイゼルローンを唯一の防衛ラインとしていた戦略を覆された同盟は、いよいよラインハルト率いる圧倒的な帝国軍との闘いに挑まざるを得なくなる。■この巻に限っていえば、ラインハルトの鋭い覇気がいまひとつ精彩を欠く感触が否めない。決戦に挑むヤン陣営が、困難であればこそ登場人物が活きているのと対照的ともいえる。そもそも作品をとおして対比の構図こそが「銀英伝」といえるか2017/01/15
かえで
74
シリーズ5巻目。これで物語は半分です。めちゃくちゃ物語が動きます。ラインハルトとヤン、ついに直接対決&直接対面。2人の会談場面は名シーン。どうしてもヤンの方に感情移入してしまうけど、ラインハルトも実はとても人間味に溢れる人であることがわかってきます。物語はこの5巻で一段落を迎えます。それにしても、登場人物の戦争や政治や社会に対する考え方は、そのまま僕らの生活に当てはめることができる。読んでいて考えさせられます。あと、ヤンが恋愛に対して不器用すぎるのが微笑ましいです。次も楽しみ。2018/07/06
いーたん
72
再読。帝国と同盟の戦い。ラインハルトとヤン生き様。魅力的な登場人物と台詞。銀河英雄伝説を彩る様々な要素がありますが、この巻の中で一番印象的なのは、イゼルローン要塞を放棄し脱出のエピソード。戦闘用艦艇にも民間人が搭乗する場面。幸運艦である戦艦ユリシーズに600人の乳児とその母親が搭乗することに。ユリシーズの乗組員フィールズ中尉が、女性のもっとも美しく見えるのは出産直後で、そのような女性が三個中隊分も乗りこんでくるのだ、と説いて士気を鼓舞しようとした場面です。2014/07/20