内容説明
第三勢力フェザーンに操られた門閥貴族の残党が七歳の皇帝を誘拐、自由惑星同盟の協力を得て帝国正統政府樹立を宣した。だが、フェザーン高官と密約を交わしていたラインハルトはこの状況を逆手に取り、フェザーン回廊を通って同盟へ大進攻することを目論む。その真意を見抜きながらもイゼルローン防衛から動けぬヤンと、帝国軍の双璧の一人ロイエンタールの死闘が幕を開けた。
著者等紹介
田中芳樹[タナカヨシキ]
1952年、熊本県生まれ。学習院大学大学院修了。78年「緑の草原に…」で“幻影城”新人賞受賞。88年『銀河英雄伝説』で第19回星雲賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
カピバラKS
122
●銀河帝国軍最高司令官ラインハルトは、神々の黄昏作戦を発動。独立不覊の国フェザーンは重大な危機に瀕し、自由惑星連合の智将ヤンは帝国の勇将ロイエンタールを迎え撃つ。●本シリーズは社会批評の言辞が多い。策謀編の「腐敗した民主政治と清潔な独裁政治のいずれをとるか」は、本シリーズ紹介時によく引用されるものだ。●また、過去の美化は遠ざかる後ろ姿の女性を美女と決めつけるようなものとか、絶対善と完全悪が存在するという考えは精神を荒廃させるとか、納得の指摘に自省を促されることも多い。ラノベ調でも教養溢れる凄本だ。2024/07/10
ぶち
109
"マキャヴェリズム"という言葉が目立った巻でした。それは、政治目的のためにはいかなる反道徳的な手段も許されるという思想です。その言葉の通りに、フェザーン自治領が権謀術数を弄し、帝国のラインハルトがそれを上回って利用するという策略の戦いです。そして、自由惑星同盟の政府首脳陣の浅はかさにイライラさせられるのです。『十二国記』でも感じたのですが、どこかの国の現状をみると腐敗した民主主義と清廉で有能な指導者による専制政治のどちらが良いのか比べたくなっちゃいます。2021/04/24
おかむー
103
和製スペースオペラの金字塔、第四巻。サブタイトルどおり“策謀”がメインになっているので戦闘はほんのちょっぴり。『よくできました』。幼帝の誘拐を起点にフェザーンへの侵攻が決行され、物語はラインハルトによる銀河統一へと大きく動き始める。全体に地味目なこの巻のクライマックスは絵的にも浮かびやすい黄昏に降り立つラインハルトを迎える兵士たちの「ジーク・カイザー・ラインハルト」ですが、さまざま暗躍していたようで結局これといった結果を出さずに退場したルパートの扱いに「皆殺し(というか無駄殺し)の田中」が出始めてますね。2016/08/03
金吾
92
○戦略面で大きなひらきが出てきたと感じます。正に帝国側の行動が英雄叙事詩のようだなと思いました。ただルビンスキーが一体何をやりたいのか理解できないままです。2020/06/30
かえで
84
シリーズ4巻目。ついにラインハルトは銀河帝国による銀河統一のための大攻勢を計画します。それに気付きながらも自由に動けない自由惑星同盟のヤン、そしてラインハルトの掌の上で踊らされるフェザーン...物語はひとつの大きな山場を迎えるところで、その前の段階のお話。いよいよ止まらないところまで来ました。ヤンの被保護者、ユリアンの成長と活躍も見逃せない。キャラクターたちも相変わらず魅力的。ロイエンタールとミッターマイヤーがかっこいいなあ..次も楽しみ。2018/07/02