感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
詩歌
30
他人の都合で遺伝子を操作され生まれ、社会に出れば迫害確定。その上スポイルされて育ち、基本的に奴隷なので人に逆らえない。だが探究心を失わず新しい一歩に踏み出せる。そういう身の上は彼らだけではないけれど、教育者の情熱、読書のめまいと科学の喜びはこの初読の面白味だった。この世界の人々のミュータント嫌悪の根底は、いずれ描かれるのだろうか。彼らの未来に幸多からんことを。2015/10/24
ノベツ
17
クァディーたちの暮らしぶりと、大脱出、2本の柱を軸に語られるが、両方素晴らしい。特に大脱出が凄い。1000人も居るのに、企業に切り捨てられたので、逃げても補給はない。そもそも誰も助けてくれないので行く先が無い。どこにどう逃げるのか。どうしろというのか、という閉塞感からでる凄まじいアイデア。もうそれしか無いとはいえ、よく思いついたな、と感心しきり。自分なら速攻で諦めてしまうなぁ。長文感想⬇ https://note.com/nobetsu/n/n6a36b9748900 2020/10/06
本の蟲
12
<クァディ―>。無重力環境下での労働のために、遺伝子工学で造られた新人類。宇宙空間に適応した代謝、足の代わりにもう一対の腕がある子供たち。ベテラン宇宙溶接工の主人公、レオは彼らの教官としてクァディ―1000人が暮らす研究衛星に派遣され、仕事を教えていた。しかし他星系において新技術「人工重力装置」が発表されたことにより事態は一変。実験の中止、それに伴い全クァディ―も「備品」として廃棄されることに。彼らを救うため、レオは行動を起こすが、予想できなかった問題は次々起こり…。『ヴォルコシガン・サガ』と同一世界(続2020/09/14
鐵太郎
12
主人公は技術者、レオ・グラフ。惑星ロデオに到着して、軌道を巡る人口居住衛星(オービタル・ハビタット)に到着した彼を迎えたのは、新しいテクノロジーの成果である「クァディー」。「クァディー」とは、両手があり、そして下半身にもまた両手がある、遺伝子改造人類。ゼロGで生活するために創造された「新人類」、いや「実験動物」でした。彼らの数は約千人。彼らの未来が、レオに託されます。2005/05/14
ニミッツクラス
8
91年の初版(650円)を読んだ。マイルズの出ないヴォルコシガン・サガ(本書)を入手するのに手間取った。Wikiの同サガの年表では、本作はマイルズ生誕の200年前の話だそうだ。カバーは惑星ロデオの軌道上の企業衛星で、増築を重ねた旧態な印象を醸している。本国での刊行は88年で、ネタてんこ盛りのソウヤーや“マッカンドルー”より少し先行している。主人公に対抗するヴァン・アッタの行動が後手に回りがちで、読んでいて愉快。その後を描いた中編集にもクァディーは登場するが、本作直後の話も書いて欲しかったなぁ。★★★★☆☆2014/11/02