創元推理文庫<br> 去年を待ちながら

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創元推理文庫
去年を待ちながら

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  • サイズ 文庫判/ページ数 410p/高さ 15X11cm
  • 商品コード 9784488696016
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

2055年。地球は国連事務総長モリナーリをトップに星間戦争の渦中にある。モリナーリは、死しておな蘇り、熱弁をふるい人々を鼓舞する最高権力者だった…。ある日、モリナーリの専属担当を要請される人工臓器移植医エリック。そしてエリックの妻キャサリンは、夫との不和から禁断のドラツグJJ180を服用してしまう…時間と空間が交錯しはじめた。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kochi

22
人類と遺伝的に近いリリスター星人と同盟を結んだことにより、昆虫型リーグ星人と戦争状態にある21世紀半ばの地球、臓器移植医のエリックは地球政府のトップ、モールの主治医となる。同盟関係か、地球の自主独立かの間で危ういバランスをとるモールだったが、時間を超越する薬物JJ180を妻が入手したことにより、エリックは自らが未来を左右する立場に… 手に汗にぎる近未来のSF政治劇かと思えば、常に、夫婦関係の危機に立ち戻らねばならないエリックに、世の男性は喝采を送るはずf^_^;2015/09/23

Kajitt22

16
たぶんこの謎めいたタイトルで手に取ったのだろう。星間戦争に巻き込まれた地球の指導者の苦悩を軸に物語は進むが、それよりもエリックとキャシー夫婦の愛憎の激しさが大きな比重を占める。ドラッグによるタイムトラベラー体験は、実はドラッグによる幻覚だったのかと思わせる描写は、作者らしい夢と現、虚と実、時間の揺らぎを感じさせ、また、最後は人間の再起の物語とも読め、少なからず楽しめた。再読2017/05/31

白い駄洒落王

8
異星人・ドラッグ・タイムトラベル。ディックだねぇ。2013/09/05

スターライト

5
やっぱ、ディックは癖になるなあ(笑)。ドラッグ、戦争、本物と偽物など他のディック作品と重なるモチーフがここにも出てくるが、そこに時間が加わって物語をさらに面白くしているところが本書の特色か。星間戦争に巻き込まれた21世紀の地球というスペース・オペラかミリタリSFになりそうな設定を、まるで違う読後感に着地させるのはもうディック独特としかいいようがない。主人公のダメダメぶりと妻の恐ろしいまでの執念は読んでいて苦笑するしかないが、ディック自らの生活の反映、と見るのはうがちすぎ?ともあれ、面白かったです。2012/04/28

嫁宮 悠

4
切ないディック。これまで読んだ長篇の中ではベスト。星間戦争中に開発された危険ドラッグJJ180。高い中毒性をもち、時間跳躍を可能にするこのドラッグが、主人公と周りの人々の運命を狂わせる。星間戦争・地球存亡の危機が、妻との関係を巡る個人的な戦いにシフトしてゆく辺り、セカイ系の趣きがある。この鬱屈して感傷的でさえある主人公の葛藤が私好みで、最後は感動しました。彼が戦っていたものは何だったのか。人間らしさについて問うディックらしさも健在。2017/10/27

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