内容説明
途方もなく巨大な一本の川が、世界を東西に分断して流れていた。人々にとっては川は唯一の交通路である。しかも川に出られるのは女だけ。男は二度川に出ると死亡する。だが対岸へ渡った者は一人もいない。川の中心に横たわる“黒き流れ”という謎の存在が全てを阻んでいるのだ。東側の町に育った少女は十七歳になって憧れの川ギルドに入り、川へと漕ぎ出すが…。稀有壮大な物語の開幕。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
亮人
18
《黒き流れ》三部作の一作目。三作読むと奇想でとんでもないところまで投げ飛ばされるとの噂をうっすら聞いたので、手に取ってみた。第一作は、異世界冒険ファンタジイ風味。異世界の作り込みが楽しい。そしてチョコチョコ出て来る謎用語がSF設定を匂わすようで、わくわくが止まらない。本格的に渦に飲み込まれる続巻が楽しみだ。またジェンダーSFとしても、「女が舟で男が港」と現代と反転した構図で興味深い。すぐさま第二部『星の書』に行きます!!2013/11/02
けいちゃっぷ
9
三部作の一作目ですが、早くも傑作の予感が。ワトスンはわれわれ読者をどこに連れて行こうとしているのか。第一作は主人公ヤリーンの成長物語でもあり、波乱万丈の冒険譚でもあり、もっと大きな世界が顔を覗かせる前兆でもある。もう二作目以降も目が離せません。357ページ2010/01/27
スターライト
4
世界を東西に分断する川。その中央部に位置し、人々の渡航をはばむ〈黒き流れ〉。川の東側に住む17歳の少女ヤリーンが、未知の対岸へと向かう旅は、この世界の謎を解明する旅でもあった…。異世界ファンタジー風SF。2010/04/25
ろびん
3
ラストの無敵感、結構好きです。2019/12/03
Yuji
3
名前だけは聞いていた有名どころ。思弁SFのハードなものを予想していましたが、全体の体裁はファンタジー。(しかもフェミニズムSF)前半やや単調(というかありがち感)でしたが、段々無茶SFと化し、ラストは怒涛の如し。評価は難しいですが、名作なんでしょう!2013/08/07